ある後追いファンが語る河合奈保子さん

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2024.10.15
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カテゴリ: 河合奈保子
河合奈保子さんのアルバム『SKY PARK』に続く作品は『HALF SHADOW』になりますが、その前に20歳を記念して発売されたミニアルバム『ビューティフル・デイ(It's a Beautiful Day)』について紹介したいと思います。この作品は1983年7月21日、誕生日(7月23日)の直前に発売された6曲入りの企画アルバムですが、作詞作曲陣が1曲ごとにすべて異なるのが特徴です。「Birthday Night」は尾崎亜美さん、「こわれたオルゴール」は谷山浩子さん、「あの夏が続く空」はNSPの天野滋さんがそれぞれ作詞作曲を担当、4曲目の「Twenty Candles」は大村雅朗さん作曲・売野雅勇さんが作詞、続く「BOSSA-NOVA」はオフコースの松尾一彦さん、最後の「薔薇窓」は来生えつこ・たかお姉弟という陣容になっています。ちなみにアレンジは鷺巣詩郎さんが2曲(「Birthday Night」と「薔薇窓」)、瀬尾一三さんが2曲(「こわれたオルゴール」と「あの夏が続く空」)、大村さんが自作曲を含む残り2曲を担当しています。

尾崎さん、谷山さん、来生姉弟らは他のシングルやアルバムでの楽曲提供がありますし、大村雅朗さんはアレンジで奈保子さんの作品を多く担当していますが、天野さん、松尾さんに関してはおそらくこの作品しか河合奈保子さんへの提供がなく、その意味でも貴重です(大村さんも作曲という意味ではこのアルバムの「Twenty Candles」1曲のみのはずなので貴重ですが)。

このアルバム収録曲、いずれも異なる魅力があり、曲調に応じて表現を変える奈保子さんの歌唱の幅を楽しめる充実した内容になっています。作曲メンバーがすべて異なるので当然といえば当然の話なのですが、これまで何度か書いたようにポップシンガーは曲がどうという以前に自分の「個性・スタイル」で勝負する面が強く、その結果、曲よりも自分のキャラクターが前に出てしまうためにどんな曲でも同じように歌われる方が少なくないので、奈保子さんのように1曲ごとに歌唱スタイルを柔軟に変化させる人は、意外と少ないのではないかと思います。

さて、松尾一彦さん提供の「BOSSA-NOVA」、曲名のボサノヴァってそもそも何?ということでちょっと調べたところ、「BOSSA NOVA」とは「新しい傾向」というような意味で、サンバの新しいスタイルとして1950年代にブラジルで生まれたジャンル、ということです。前に紹介したのが「レモネード・サンバ」ですから、期せずしてちょうど良いつながりと言えそうです(笑)。様式としては、クラシックギターでサンバのリズム(2拍子+シンコペ)を演奏し、テンポはゆったりめ、複雑なコード(ハーモニー)を使ういっぽうでパーカッションがシンプルで、ヴォーカルも基本的に穏やかなのが特徴ですが、その後ジャズの要素が入って作法が変わって来たとのことです。

…というような前提知識がなくても、河合奈保子さんの「BOSSA-NOVA」を聴くことはもちろん可能です。この曲での奈保子さんの歌い方は、比較的息漏れの多そうな(じっさいに多いのか私にはわかりませんが)ソフトな歌声を使っており、その点ボサノヴァ風に歌っている、と解釈することはできるかもしれません。ただ、ここからは私の妄想ですが、奈保子さんはボサノヴァの様式を踏まえてそのように歌った、のではなく、曲調や歌詞を踏まえて自然に歌った結果が、この演奏のようになったのではないかと思います。いずれにしても、同じ「ビューティフル・デイ」での「Twenty Candles」のような緊張感のある表現や「エスカレーション」以降の筒美&売野作品のようなエモーショナルかつパワフルな歌唱の一方で、「愛が痛い 薔薇の棘のように」と寂寥感をもって歌う奈保子さん、「少女から大人へ」というような定型的な言い方はあまりしたくありませんが、硬軟併せ持つ表現力が本格的に開花しつつあるのを確かに感じることができます。「BOSSA-NOVA」はバラエティに富むこのアルバムの中では、一聴するとやや地味な印象を受けるかもしれませんが、ピアノのドラマチックな展開やストリングスの使い方も印象的な大村雅朗さんのアレンジと相まって、飽きのこない魅力があります。

ここで「BOSSA-NOVA」という曲名に立ち返ってみると、これは実は曲が「ボサノヴァ調」であることを意味しているのではなく、河合奈保子さんの「新たな一面」を引き出す、という意味で「BOSSA-NOVA」なのではないか、という気がしたのでした。

さて、「BOSSA-NOVA」を提供したのはオフコースの松尾一彦さんでしたが、このアルバム発売直後、20歳の誕生日に行われた初のEASTライブでは、そのオフコースのヒット曲「YES-NO」も歌われました。幸いなことに、この「YES-NO」の貴重な歌唱は「Naoko Premium」ボックスの特典DVDで見ることができるほか、合歓の郷での合宿風景(たぶんもとはVHSとして発売されたもの)が、インターネット上で見ることができます。





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最終更新日  2024.10.15 00:00:14
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