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春雷の彼方から
」に似たタイプの曲と言ってもよいでしょう。
前にアルバム『 DAYDREAM COAST
』の記事で触れたように、84年秋頃のテレビ番組の中で、ポータブルシンセを弾きながらこの曲を楽屋で歌っている奈保子さんの映像が残っていますが、私が時々参照させていただいているJR120XEさんのブログ記事によると、この曲は84年秋のコンサートのために作曲されたということです。「銀杏の葉」をテーマにした歌詞は、コンサートの季節を意識して作られたものかもしれません。こちらの記事に掲載されている奈保子さんの自筆譜(貴重!)を見ると、リズムや音型などの細かいところが映像やCDとして残っている85年以降のものとは微妙に異なっているのが興味深いところです。自筆譜が84年秋のコンサート当時のものだとすると、その後、「秘めやかなラヴ・ストーリー」には多少の手が加えられたということなのかもしれません。
ということで、自作曲としては最も早い時期に披露されていた「秘めやかなラヴ・ストーリー」ですが、アルバムに収録されたのはだいぶ後のことで、89年5月1日にリリースされた、自作曲のみによる企画盤『Masterpieces -河合奈保子作品集- 』が最初でした。こちらは同時期に奈保子さんのプロデュースを担当するようになったミッキー吉野さんによる編曲になっています。奈保子さんのピアノのみの弾き語りを仮にオリジナルバージョンとすれば、ストリングスを入れたこちらのアレンジは、かなり雰囲気の異なる仕上がりになっています。曲のキーも原曲はDメジャー(ニ長調)だったのが、一音低いCメジャー(ハ長調)になっています。歌い方も異なっており、元は高音に上がる最後のパートでヘッドボイスを使っていたのが、Cメジャーに下げたこともあってか、ヘッドボイスを使わずに歌われています。また、前半の「銀杏の葉」の朗読パートで、ピアノ伴奏がマイナー調(イ短調)になっているのもポイントでしょうか。
また、正確な時期がわからないのですが、この曲は服部克久さん、羽田健太郎さん、布施明さんという豪華メンバーと共演した90年代のコンサートでも演奏されています。この演奏は、今映像を確認することができないのですが、たしかピアノとオーケストラをバックにしており、おそらくアレンジは服部さんが担当されたものと思われます。ちなみに、童謡から洋楽までさまざまな曲が歌われたこのコンサートで布施さんと奈保子さんが出演者として選ばれたのは、幅広いレパートリーをこなせる二人の表現力が買われたものと勝手に推測しています。
「秘めやかなラヴ・ストーリー」は、河合奈保子さんがソングライターとしての活動の第一歩を踏み出した記念すべき楽曲であり、さまざまなボックスやCDに収録されていますが、いずれも異なるアレンジで演奏されているため、それぞれに違った色合いを見せる作品でもあります。
<参考文献>
1984年 秋のリサイタルで・・・|JR120XEのブログ|Fifty Bellが聞こえる・・・ - みんカラ
君は綺麗なままで 2024.11.26
the Gentle wind 「Deep Mountain Forest」 2024.11.25
MANHATTAN JOKE 2024.11.22