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書籍の感想です。今回は「街角ファンタジア」です。街角ファンタジア [ 村山 早紀 ]世の中には魔法がある。そんな派手なものじゃない。優しい心の持ち主を見守るささやかな魔法は確かに存在するのさ。昔、バイト先の店長に言われた言葉を淳はその時はそこまで信じていたわけではありません。しかし、クリスマスの今日、いつもより少しだけ優しい気持ちで行動した結果、失恋記念日になるはずだったクリスマスが素敵な想い出に彩られた日になったのでした。それは魔法と呼んでも良いのかもしれません。猫神様の奇跡なのかな。各話、それぞれにネコが出てきて、優しく心を癒してくれます。2話目以降はもっと魔法らしい話になり、お祖父ちゃんの過去のある選択を変える夢を見たと思ったら、その影響で今が幸せになったり、自分を守って死んでしまった想い人が生きていたらという未来を垣間見たり、戦時中に亡くなった祖先の幽霊と本の話で盛り上がったり、子どものころの親友に夢で出会ったり・・・みたいな感じでこれは流石に偶然ではなく、魔法なのだと思いますが、ささやかなでもとても素敵な魔法です。どれも嫌な話はなく、明日から頑張ろうと思えるお話です。
2025.01.31
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書籍の感想です。今回は「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」です。【中古】 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活/奥泉光【著】ダメダメな准教授である桑潟がたまたまやる羽目になった文芸部の顧問。その文芸部の面々の推理力、発想力、行動力により、ちょっとした謎を解いていく話です。桑潟自身はなんにもしていません。何にもしてないのですが、世間的には桑潟が解いたかのように思われ、名探偵なんて一部では言われちゃったりするわけですが、実際には文芸部の女子連中に好き放題扱われ、研究室も文芸部の部室と化し、ある意味底辺中の底辺な感じ。まあ、色々ありますが、「スタイリッシュな」というタイトルはかなり詐欺ですよね。こんなアホみたいな、というか実際アホな准教授の生活がスタイリッシュなわけがないです。もしかしたら、桑潟は自分のことをそう思って慰めている可能性はありますが。ちなみに本筋と関係ないですが、途中で出てきた駄洒落大辞典という本のダジャレがかなりツボで笑ってしまいました。
2025.01.30
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書籍の感想です。今回は「タクジョ!みんなのみち」です。タクジョ! みんなのみち [ 小野寺 史宜 ]タクジョの続編ということになります。ただ、1巻を読んでなくても全然楽しめます。前巻ではタクシー女子、略してタクジョの高間夏子が主人公でしたが、今回は同じ営業所の色々な視点から語られるタクシーの話です。女性ドライバーに関する話も多いですが、男性ドライバー視点の話もあり、いろんな視点から語られます。女性ドライバーは3%程度とまだまだ少ないようですが、高間やその下の子など新卒でタクシードライバーになる女性も出てきました。それを異分子のように見る人もいればタクシー業界を変える次代の担い手の見る人もいます。そんなドライバー同士の話もあればお客さんとの話も展開されます。しかし何か大きな事件があるわけではありません。小さな、ささやかな事は色々あります。例えば、まあまあ有名なユーチューバーを載せてその女性からナンパされて、断ったけど、一回くらい行っとけば良かったかと後悔するとかタクシードライバーへの適正に悩んで、事務職へ転換するとか、顔が怖くて、中卒のオジサンドライバーが痴話喧嘩するカップルを載せる話とか。痴話喧嘩するカップルから「どっちが悪いと思います?」なんて聞かれちゃいます。でも「うーん、どっちとは」みたいな曖昧な返答するだけで、別に解決するわけではない。もちろん、煽ったりもしないですが。最後のお話は高間夏子視点です。彼女は女性が安心してタクシーに乗れるようになって欲しいと思ってドライバーを続けていますが別にそこまで気合い入っているわけではありません。自分の手が届く範囲の部分で一生懸命やるという感じです。普通だからこそ、高間さんを応援したくなるのかも。何でもない日常、何でもない仕事。でもそこに喜びもあるわけですよね。小野寺さんの作品は派手さはないのですが、ふんわりと幸せを感じる作品が多いですねー
2025.01.26
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書籍の感想です。今回は「チーズ屋マージュのとろける推理」です。チーズ屋マージュのとろける推理 (新潮文庫nex(ネックス)) [ 森 晶麿 ]チーズ屋さんというお店でのちょっとした謎のお話です。お客さんが持ち込んできた、というか、無理やり聞き出した(?)謎を、チーズ料理になぞらえて解決するというスタイルです。謎は軽めで奥さんが怒っている理由とか、ベテラン俳優とそのファンを自称する女性との関係とかそんな感じです。チーズ料理を出して、それに絡めて謎解きをしますが、チーズとの関係はそこまで強くはありません。ただ、何もなしに理路整然と言われても飲み込めないけど、美味しい料理を食べながらだと自身の本心を正直に言いたくなる効果はありそうです。そのくらい、チーズ料理も一緒にでてくる飲み物も美味しそうです。ちなみに、登場人物はクセが強いです。店長は女性と目を合わせて話せないし、アルバイトの女性はその店長が唯一まともに話せる女性ですが、拘束の強い母親に育てられ、家で同然に出た先でヒモ拘束男に捕まり、今はこのチーズ屋に居候しています。飲み物を卸してくれる男は貴族然としたキザ男で、店長の元同僚の奥さんの愛し方は特殊過ぎて難しすぎます。まあまあかな。
2025.01.23
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書籍の感想です。今回は「俺ではない炎上」です。俺ではない炎上 (双葉文庫) [ 浅倉秋成 ]炎上って怖いですよね。今回はそんな炎上に巻き込まれた男の話です。ある男のTwitterに死体を晒したような投稿が上がる。それを見た初羽馬は本物であるように感じ、さらにリツイートがまだ26件しかないことに気付く。「自分がこの事件を広めた」と思えるかも、という状況に高揚し、引用してツイートする。その後、爆発的に拡散し、すぐに男の身元等が判明する。男は大手住宅メーカー部長の山縣泰介。住所や顔写真などもアップされ、山縣は休職を余儀なくされる。これが完全な誤解であれは山縣ももっと堂々としていられただろう。しかし、問題のアカウントがこれまで投稿している内容は正しく山縣の日常を切り取ったかのような内容だった。これでは言い逃れできないと感じた山縣は決死の逃走を開始する・・・犯人と確定していないので、テレビには顔は出ないものの、ネット上には顔が出ている状況で逃げ切るのはよほどのことがない限り難しい。腹心だと思っていた部下からそんなに好かれていない事実を突きつけられ、さらに同僚、取引先、さらには清掃業者の方にもよく思われていないという事実は山縣を打ちのめす。ネットは山縣犯人説で盛り上がり、過激な犯人狩りの若者たちが街をうろつく。もう逃げ場もない。そう思った山縣だったが、ある手紙を思い出し、ある場所へ向かうのでした。みたいな話なのですが、ネタバレはしませんがうーん、ちょっと分かりにくいです。途中で、「これは実はSFものなのか?!」と思ってしまった程です。山縣のパートと山縣の娘のパートとの繋がりが分かりにくいし、なんで犯人に辿り着いたのかもイマイチピンと来ませんでした。炎上していく様とか、逃走劇とかは楽しいので、その辺はおすすめなのですが、謎解き部分はどうかなー
2025.01.21
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書籍の感想です。今回は「禁忌の子」です。禁忌の子 [ 山口 未桜 ]救急搬送されてきた男が自分とまったく同じ顔だったという出だしから始まります。似ているというレベルではなく、瓜二つのその男は搬送された時点で意識もなく、死亡が確認される。ただの患者の一人と思いたいところですが、どうしても気になってしまい、高校時代の友だち、城崎を頼ることにします。城崎は一緒に調べてくれることとなり、一卵性双生児なのではないかという予想の中、ある病院を訪ねます。しかしその理事長は「すべてを話す」と言って約束したその日に謎の死を迎えることとなります。一見自殺に見えますが、「すべてを話す」と約束していたその直前に自殺するとは思えない武田と城崎は警察とは別に調査に乗り出すのでした。果たして、瓜二つの男は誰なのか?武田との関係は?理事長はなぜ死んだのか?みたいな話です。ミステリと密室殺人の謎解きがうまい具合に混ざり合い、最後まで楽しく読めました。途中不妊治療に関する話もいろいろ出てくるのですが、平易に語ってくれるので、すんなり入ってきます。武田と城崎が医者ではあるものの、産科ではないので二人に説明しつつ、読者にも説明する感じは良いですね。ラスト大きな新事実が明らかになり、なるほどねーという感じでした。私はこのラストはアリだと思いました。
2025.01.19
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書籍の感想です。今回は「野球が好きすぎて」です。野球が好きすぎて [ 東川 篤哉 ]私も野球が好きなので、思わず手に取った作品です。野球にまつわる事件を野球大好き警部が解決する話、ではあるのですが、実際に解決するのはスポーツバーである「ホームランバー」にいる広島ファンの女性です。その女性は名前も詳細も不明。初対面で、かみってる、から、神津テル子と呼んで、などとふざけたことを言ってきます。広島ファンで、神ってると言えば鈴木誠也ですが、2016年のお話という設定です。そしてカープにまつわる謎をあざやかに解き明かします。そして翌年、2017年のカープと言えば「田中菊池丸」の123番トリオです。神津さん、田中菊マル子と改名します(笑)そして新井の2000安打にまつわる謎を解くのです。そんな感じでパットンの冷蔵庫殴打事件とか野球好きなら、ニンマリする話を絡めながら広島ファンの彼女の改名も楽しめる作品です。謎解きの部分は軽めです。
2025.01.15
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書籍の感想です。今回は「偶然屋」です。偶然屋 [ 七尾 与史 ]タイトルとあらすじから偶然を演出するお話だと思ったのですが、ちょっと違いました。もちろん、偶然を演出するという部分も少しはあるのですが、メインは偶然というか、人を操って悪い方向に向かわせる男を追う話です。銭天堂のヨドミみたいな悪意の塊のような男にも思えますし、浦沢さんの「モンスター」のヨハンを思い出します。人が交通事故に遭ったり、復讐と遂げたり、そんな一つ一つが徐々に洗脳じゃないけど、コントロールされ、それしかないと考えてしまうとしたら、恐ろしいことですよね。特に現代はネットは自分に都合の良い情報しか入ってこない場合があるので、バイアスがかかりやすいとも言えます。そしてネットでも直接話すでも、9割以上は本当に親身になって有益な助言を貰えたとすれば残りの1割に含まれる毒すら甘美に感じてしまい、見分けることは困難でしょう。心が弱っていたりすればなおさらです。ちなみに心が弱るような状況を作るのも仕組まれていると、なかなか抜け出すことは難しそうです。という訳で、そんな薄いけど確実に沈着していく毒を撒き散らす彼を追いかけていくわけですが、彼のことを調べる人が次々と死ぬのはやや無理感を感じました。周到に網を張り、脱げ出せなくなったターゲットが凶行に出るというのはあるかもと思うのですが、調べている人が階段から落ちたり、自動車に轢かれたりするのを証拠を全くなく実現するのは現実的なのかなあとちょっと思いました。このお話、1巻で終わるのかと思ったら、続きあるのですね。偶然屋という職業に恥じない活躍を期待したいです。
2025.01.13
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書籍の感想です。今回は「オーバーロード15 半森妖精の神人」です。オーバーロード15 半森妖精の神人 [上] [ 丸山 くがね ]モモンガ様の15巻です。最近、モモンガって言葉が出てこないですね。アインズに見も心も馴染んできたということなのかな?とはいえ、「会社員に過ぎない鈴木悟は・・」みたいな言い回しはよく出てくるのですが。さて、着々と版図を広げてきた魔導国ですが、次の目標をエルフに定めた・・・わけではないようです。エルフの国を目指すのですが、目的はダークエルフを見つけて、アウラやマーレにトモダチを見つけてあげることが、アインズの個人的な目的ですwアウラやマーレは見た目はかなり幼く見えますが、何歳の設定なんですかねーエルフ(ダークエルフ含む)は長命種であり、あの見た目でも100歳超えの可能性もなきにしもあらずで、アウラやマーレが「子どもなんだから友達と遊んで良いんだよ」と言って喜ぶとは限らないと思います。ちなみにアウラもマーレもなかなか設定が飛び抜けていて、男装している男の子と女装している女の子というのはどうなんですかねー友だち作るのタイヘンそうです。アンキロウルススという魔獣の大根役者の演技もあり、アウラはあっさりとダークエルフの村に入ることができました。アウラの力を示せば村一番の弓師より優れており、そんな子が小さな子どもと友だちというのはかなり難しいだろうなあ。さて、ラストに第8位階の魔法を習得した存在が出てきます。ちょっと唐突感はありますが、少しはアインズを焦らせるような存在足りうるのでしょうか。
2025.01.11
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書籍の感想です。今回は「猫のお告げは樹の下で」です。猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫) [ 青山 美智子 ]青木美智子さんの作品です。青木さんの作品は何気ないことをきっかけに気付きを得て変わっていくみたいな話が多いですが、まさにそのタイプです。神社に居付いているネコが落としてくれる葉っぱ。タラヨウというその葉は傷を付けると残るため、文字を書くことができます。その葉っぱにシンプルな言葉が書かれていて、神職は「あなたへのお告げ」だと言うのです。「ニシムキ」「ポイント」「チケット」「タマタマ」など、これだけでは意味が曖昧だし、広くて分からないですが、その言葉にピンときて、少しだけ勇気を出して、進むことで新たな風景が見えてきたりします。ネコもお告げもそれ自体は何もしてくれません。答えも方向も示してくれません。神職の言葉を借りれば「言われるまま行動しただけで期待した結果が得られないからと言ってさらなる手を求めるのは怠慢というものです」ということなのでしょう。結果を得るためにあれこれ考えることこそがその人を成長させるのかもしれません。ちなみに7つある作品の中で私は「マンナカ」という話が好きです。自分に自身のなかった和也が自分なりのマンナカを見つけていく様はとても良いですねー
2025.01.06
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書籍の感想です。今回は「風が吹いたり、花が散ったり」です。風が吹いたり、花が散ったり [ 朝倉 宏景 ]視覚障害を持つ女性ランナーの伴走をするという話です。ひょんなことから伴走をすることになった亮磨ですが、過去にいくつもの闇を抱えています。高校生の時に受け子をさせられ、逮捕。退学し、今は両親の元からも離れ、捲土重来という名前の居酒屋でアルバイトをしています。家族に迷惑をかけたという思いに底辺で静かに死んだように過ごす亮磨。そんなある日、一人の視覚障害者を駅でぶつかって転ばせてしまいます。一度は逃げた亮磨ですが、気になってさも親切な別人のように声をかけます。感謝され、ますます気まずい亮磨にさちは一緒に走って欲しいとお願いするのでした。悩みながらも依頼を受けた亮磨ですが、気持ちは行きつ戻りつします。自分は彼女の側にいる資格があるのか、走って良いのか。さちのことが好きになりかけることでますます困惑する亮磨。バイト先の愛からストレートな愛の告白をされ、愛も生きづらさを抱えていることを痛感するのでした。何度も「もう逃げない」と誓うのに逃げ出してしまう亮磨は弱いですが、それが人間であり、人生ですよねー普段は前向きなさちも闇を抱え、もう一人の伴走者である廉二も闇を抱えています。誰も彼も苦しみを抱え、足掻きながら生きているということを感じる作品でした。
2025.01.03
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