森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.10.13
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「神経質の本態と療法」(森田正馬 白揚社)の解説は、河合博先生が書かれている。

この中に「逆説療法」について詳しく解説されている。
本書の中に発作性神経症の治験例があるが、この治し方は、できるだけ発作を起こすように努力してみよ、ということである。
症状は神経質患者の意識の中心にあり、これを忘れよう、意識すまいと努力する。
すなわち意識の中心より周辺に押しやろう押し込めようとする。
そうすればするほど、それは意識の中心を占領する。
意識しまいとすればするほどますます、一点に凝集強化される。

これが神経質の症状である。しかし意識は、耐えざる流動・変化である。
神経質症状も、環境の中で力動的に変化消長する。

これは平素の患者の努力とは反対の心のはたらきをさせるのである。
すると、ここに意外なことには、中心に持って行こうとする努力とは逆に、周囲に退くのである。
(同書 267ページ)

森田先生は、不眠の患者や心悸亢進発作の患者に逆説療法を試されている
不眠の患者には、今日は寝てはならない。今日一晩寝ないでその結果どういう心理状態になるか、あるいは体調の変化の様子を明日詳しく報告するように指示された。
いつもは寝ようと色々と工夫していた患者に、森田先生は逆に朝まで寝ないで起きておくようにという逆説療法を行われたのです。
その患者は、憑き物が取れたようにその夜はぐっすりと眠り、目が覚めると朝になっていたという。

心悸亢進発作の女性の患者は、一度発作が起これば、多くは3日あるいは5日間、同様の発作が起きていた。
森田先生は、まずこれが器質的な病気ではなく神経性のものであることを確認された。
本患者は私が往診したとき、ちょうど昨夜その発作があって、今夜もまた同じ発作が起きるに違いないと言って、これを期待していたので、私はこれ幸いと患者に向かい、「今夜寝るときに、発作がもっとも起こりやすいという横臥位をとり、自分から進んで、その発作を起こし、しかもその位置のままに苦痛を忍耐し、かつその発作の起こり方から、全経過を熱心に詳細に観察するようにして下さい。そうすれば私は、あなたの体験によって、将来けっして発作の起こらない方法をお教えする」と伝えた。

この患者は森田先生が指示されたようにしようとしたが、自分で発作を起こすことができないで、5分も立たないうちに、眠りに入り、翌朝まで気が付かなかったという。





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Last updated  2025.10.13 06:20:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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