時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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March 23, 2009
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 言動はとんでもない迷医だが、実はものすごい名医(かもしれない)ドクター伊良部がまたまた大活躍。先日東京駅の中の書店で見かけて買った 「町長選挙」

○「町長選挙」(奥田英朗:文藝春秋)


 収録されているのは以下の4編。
・オーナー
・アンポンマン
・カリスマ稼業


 最初の3作品は、これまでの作品の流れを汲み、色々な悩みを抱えた人が、ドクター伊良部に遊ばれているうちにいつのまにか悩みが解決しているというもの。伊良部の犠牲者いや患者となるのは、それぞれ、パニック障害の新聞社会長でプロ野球球団のオーナー、ひらがなを忘れてしまうという若きIT長者そして美容のこととなると我を忘れて変な行動をとってしまうカリスマ女優だ。それぞれ、誰がモデルかすぐ分かってしまうので、クレームは来なかったのかとちょっと気になったが、モデルにされた人たちにとっては、これも有名税ということだろうか。 

 最後の町長選挙は、これまでの伊良部シリーズとはちょっと趣の違う作品だ。二ヶ月間の任期で離島に派遣された伊良部だが、街は町長選挙で2人の候補者が熾烈な争いをしていた。なにしろ負けた方は、最低でも次の選挙までの4年間冷や飯を食わされてしまうのである。一人でも多く自分の陣営に取り込もうと大変な騒ぎだ。ここでは、伊良部センセイ、老人キラーぶりを発揮し、敬老会の支持を得て町のキーマンになってしまう。両陣営、伊良部を取り込もうと必死だが、伊良部流の解決方法は、なんと棒倒し。

 いずれも、抱腹絶倒と言った感じだ。帰りの新幹線の中で読んでいたのだが、他の乗客から変な人と思われないように、笑いをこらえるのに困った。

 この作品の面白さは、ドクター伊良部のまるで子供のような度を越した無邪気さぶりと精神科医といういかにも知的な職業とのギャップの大きさにあるのだろう。伊良部を訪ねた患者たちは、最初は呆れたり怒ったりするが、伊良部に遊ばれているうちに、症状が軽減してくる。伊良部は、 <・・・神経科はいい加減でいいの。理屈に合わない病気の治療をしているんだから> と言っているが、彼の <いい加減> な治療は、患者たちの肩の力を抜き、心の中の固まったものを解きほぐしてくれる。伊良部の本質を、町長選挙の舞台である離島の敬老会のオババたちがよく言い表している。 <あほうはしょうがないのう>・・・<・・・でもみんな伊良部先生のことは好いちょるよ。あほうは可愛い。気が楽でいい。><・・・わしらは構って欲しいんじゃ。伊良部先生は相手になってくれる。> 尊敬しなくて済み、子供のように無邪気に患者の相手をしてくれる。ドクター伊良部は、ある意味天才なのかもしれない。でも、私は伊良部センセーに診てもらうのはやっぱりいやだな。すぐ注射するし・・・。


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