GOlaW(裏口)

2006/01/25
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カテゴリ: 西遊記



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 今回は「だから、ここの描写を練ってくれ~!」という9箇所に、ツッコみたいと思います。

 『第三話』は大筋での破綻が無く、主題も展開もきちんと練られていて、すごく良かったんです。
 だからこそ、折角の主題や展開を生かす描写をもっと練りこんで欲しかったんです。
 例えば『こんな描写が欲しかった』などを語りつくしたいと思います。

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★1.凛凛の妖怪解説シーン

 役者二人の長台詞シーン。二人の表情や言葉の抑揚もすごく良かったし、現代劇ならこれでOKなんですが…。

 しかし、ファンタジーを映像として表現する場合、台詞にだけ情報を詰め込むのはヤバイです(汗)。
 小説や漫画ならば読み返すことも可能ですが、ドラマではそういう訳にいきません。耳で聞いただけでは、どうしても視聴者の情報処理が遅れます。ファンタジー慣れしていない人なら、固有名詞や専門用語一つでも止まってしまうんです。
 こういった場合、視覚での印象を利用するのがセオリーです。



 そうやって印象を強める工夫を凝らして欲しかったです。

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★2.「明日だよ…」の長台詞

 『経験を伴わない言葉での説得は薄っぺらくなる』というのは当たり前なんですが。
 初回・第二回と違い、今回は視聴者も知っている有名なエピソードと絡め、説得力を増すことも可能でした。

 坂元さんをはじめとした脚本スタッフの皆様、第一回の脚本をちゃんと見直してくださいよ(泣)。

 ここはやはり“少年の苦しむ映像”と“一人孤独に岩の中で苦しむ悟空”の映像を重ね合わせてから、この説得に移って欲しかった。
 “かつては『自由』を夢見、だけど苦しんで現実に向き合っていたからこそ、三蔵達と出逢い、新しい夢に出会った”という結論を、垣間見せて欲しかったです。
 それが見えないために、やっぱり悟空の台詞が空回りしちゃっています(…しかも、台詞が長い分だけ痛い。滝涙)。

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★3.三蔵が記憶を手繰るシーン

 ラストの対戦が無いんですから、それならすっぱりと『三蔵vs.獏』の心理戦として描いても良かったと思います。

 30分頃からずっと続く三蔵の独白(母は“自分の心が映す鏡像”に過ぎないので、結局は自分に語っている事になる)は、ずっと場面が固定されることになります。それは物語の流れも止める事になります。


 しかしやはり『言葉だけで情報量が多すぎる』こと、『展開が止まる事』はどうなんでしょうか。

 もう少し映像(過去の映像など)に情報を委ね、それでも台詞として残った言葉を大切にしてはどうでしょうか。
 そして展開を止めないよう、他の展開を同時進行させる工夫も必要だと思うんです。

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★4.獏の心理描写

 ラストが自決未遂ならば、『獏が自分の行いに疑問を持つ』過程を挿入して欲しかったです。


 ここで前述の『三蔵が記憶を手繰るシーン』を利用します。

 この亜空間は“獏の夢”。つまり、その細部全てが獏の意識・無意識によって構築されているのです。
 ならば、三蔵の夢から作り出した“母の幻影”と、獏自身が五感を共有している設定でも良かったはず。そして“ 三蔵が『夢』に囚われながらも、自力だけで脱出する姿”を目撃させるんです(本体の獏は、三蔵とは別室に)。
 そうして、獏の気持ちや倫理観を揺さぶる展開を希望します。

“三蔵が覚悟を決めていくのと反対に、動揺を激しくする獏”。
 それは絵になると同時に、主題に更に重みを与えたと思います。

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★5.八戒・悟浄の“本当の夢”、そして復活

 ここはしっかりと描写する必要があったかもしれません(苦笑)。
 三蔵の長台詞に描写が頼りすぎであり、説得力が減少(←「二人にとって、煩悩よりも大切な願いなのか?」)しています。

 また、二人の本当の夢の描写を深める事は、
『無理矢理、現実に戻された人間達が後で納得したか?』
という点を補強します。

 つまり『二人が煩悩に溺れながらも、それに矛盾や罪悪感を感じる』描写をいれることで、
「三蔵だけでなく、他の人間にとってもこの状況は不幸だ」
と、より説得力を深めるんです。

 勿論、自力脱出は三蔵だけでいいんですし、葛藤させる必要も無いと思います。冒頭で“妖怪三匹は誘惑に弱い”という描写も入れていますしね(“酒を飲んだか”という下りのことです)。
 ただ、ほんのちょっと、三蔵の“本当の夢”に重ねる映像を“寝姿”ではなく、“僅かに不幸な姿”にすればいいんです。

 例えばまず、悟空の「天竺行きはどうするのか」という言葉を二人に言わせておきます。その後で、ちらりと思い出させるんです。
 その上で。

“ご飯を大量にほおばる八戒。ふと『天竺』という言葉を思い出す。
「なんで、故郷の皆を思い出しちゃうんだろ」
 頬を一筋の涙が伝う”

“悟空の言葉が脳裏を過ぎる。
「…なぁ、俺は幸せでいいのか?」
「どういうこと~(甘い声)」
「いや、なんでもないよ」
 軽い声で押し倒す。だが、二人の女には見えないところで、悟浄の顔は歪む”

 …すっごく見たかったです…。

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★6.悟空が現実とぶつかるのを怖がるシーン

 悟空は『人間になりたい』という夢を持っているんですね。これは以前の話から照らし合わせても『儚いが故の、強さ』を求めているためだと思われます。
 でもいくらなんでも、本人がまだ理解できないものを実現化するのは不可能です。

 そんな『外見だけで、中身(こころ)の伴わない夢』が叶ってしまったことに、悟空の感想が欲しかったです。
「こんな夢、いらねぇよ!」でも「人の心、確かに欲しいよ…。だけど」でも、一言でよかったのですが。

 だから現実の塊にぶつかられるときも、『ただ単に気色悪い塊だから嫌がった』だけにしか見えないんですよね。

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★7.三蔵や悟浄・八戒が現実とぶつかるシーン

 やはり、“三蔵が現実を受け入れると同時に母が消滅”は欲しかったですね。“消滅を知り、一瞬でも幻の母への感情を表す”のは、絵になるはず。
 悟浄や八戒にしても、現実を取り戻して立ち直る過程(これは表情の変化だけでいい)を見せて欲しかったです。

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★8.残された人々、そして老子が扉を越えるシーンについて

 亜空間ゲート前に取り残された人々がどこに消えたのか。その描写は必要だったと思います。
 …なんの為に凛凛を外に残したんですか(汗)。

 老子の力でゲートが消えたなら、彼の触れた部分から“鏡が溶ける”CGを。
 獏が自分の意思でゲートを開いたなら、前触れなく向こう側を出現させるCGを。
 振り子が止められてゲートがこじ開けられたのなら、“鏡が細かく砕けて消える”CGを。

 そして、取り残された人々を出現させればよかったと思います。

 …凛凛と老子のコントを短くテンポ良く纏め、このシーンを挿入して欲しかったです。

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★9.獏、連行

 ここで一言、三蔵が「優しい夢、ありがとう」と呟くのはお約束ですよね(←そう思う自分は重度のライトノベル中毒者)。
 あるいは“自力で夢から脱出した三蔵に対し、獏が畏敬の念を示す”場面かな。

 “四人が連れ去られる獏の姿を見つつ。自分が見た夢に対し、『反省』でも『罪悪感』でも『僅かな嬉しさ』でも、なんでもいいので感想を呟く”
 そんなシーンも作ることができたはず。
 それはキャラクターの描写も深めるいい機会でした。

 ここを無視することで、スタッフは見せ場の一つを見事に殺していますよね…(滝涙)。

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 今回は30秒程度でも、差し替えるだけで変わってくるシーンがゴロゴロしていました(惜)。

 でもこれは“慣れてない”から零れてしまったんであろうシーンばかりです。
 スタッフの皆さんが頑張って、この感覚を磨いてくださるなら。このドラマ、化ける可能性ありです。
 応援していますので、頑張ってください!





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Last updated  2006/01/26 09:49:06 PM


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