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2010年09月10日
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 水曜日のこと、まさか台風9号がこんなに早く近づくなんて、思っても見ませんでした。もっと北の、東北地方を通る予定が、どんどん南にずれてる、とは知っていましたが、まさか直に中心がやってくるとは、当日だって知らなかったんです。
 水曜日も、テレビの朝の予報は「東京は午後から雨」だったと思います。うちのほうは、「夜遅くには本降り」くらいでした。

  でも、午後を待たずに雨は降り出しました。「けっこう降ってる」くらいで、のんびり買い物。ぶうから3時過ぎに連絡あって「今日は部活は5時になった。台風接近につき、完全下校だって」とのこと。

 「あらあら」と車で出発しました。このとき、テレビでもパソでも「現在の雨雲の様子」を確認しておくべきでした。途中から雨は、一番早いワイパーでもはききれない、大量の超土砂降りになったんです。「あれ?こんなに?」
 すでに県西地区では3時に「洪水警報」が出て、すべての学校が授業切り上げ、下校させていたそうです。

 いつもの道を行くと、道路が浅瀬状態の箇所がいくつもありました。排水溝から噴水のように水が噴き上げているところもありました。「これってまずくない?」と思いましたが、こんなことはほんの序の口にしかすぎなかったのです。(写真は序の口の時「すごい」と思ってとりました)


 それでも、なんとか学校に着くと、気づいたのですが、私は傘忘れた。でも、大きな問題ではありませんでした。持っていても役にはたたなかったので。

 ぶうを迎えに行くと、昇降口に一年の車いすの女の子が困り顔でいます。お友達も心配そう。この子は、障害は違うのですが、小さい頃近所に住んでいたので、ぶうの幼なじみです。県西地区に引っ越して、偶然、高校で「また会えたね」という子です。


 「どうしよう!」

 でも、その子のおじいちゃんの家が学校からそう遠くないところにあるので、「今日はそこに行きなさい、タクシーを呼んでもらって」と友達の携帯借りて電話したらママは言ったのですが、「1000円しかないんだよ、行けるかなあ。だいたいおじいちゃんちの場所、説明できないし」と彼女。

 この外の状況でタクシー呼んだら、何時間かかるか・・・。先生たちも帰り始めてるし、事務の方たちも心配してやってくるし、担任もどうしたもんかなあ・・・とアイディアなし。

 私は、軽く『彼女をこのまま置いて行けないじゃない』と正義感を燃やし、「私が送って行きましょう。ナビに住所を入れれば大丈夫ですよ」と胸を張って、申し出てしまいました。(だって本当にそれしかないですよ。先生は、生徒を絶対車に乗せてはいけないのだ、と聞いてますし、後から思っても、タクシー待ってたら日付が変わったと思います)

 「大丈夫ですか?」と学校スタッフは言いつつ、『お願いします、やれやれ』的な雰囲気で、車いす3台(実はパンクして修理のため、どっちみち学校内用を取りに行く予定でした。外用、パンク中用、彼女のもの)積んで、出発しました。

 雨は、車の中でラジオも聞こえない、会話もできないくらいの勢いで、滝の中を進んでいるようでした。

 学校を出たとたんすでに、さっき普通に通った道さえ濁流に変わっていて、歩道と車道の区別がない状態にちょっとびっくり。でも、彼女の目的家は、ゆるゆるとずっと上り坂行って、台地にあります。だから平らなここをすぎれば大丈夫、と思ったのが甘かった!
 大きな通りに出たら、渋滞で全く進みません。でも路地は危険と思い、抜け道はせず、がまん。じりじり進んで、突然その理由がわかったのです。長く続く坂道の途中に大きな大きな池(陥没?)が目の前に出現! そこをぬけるのに2車線が合流していたのです。しかも大池をよけても、ものすごい量の水が流れています。坂道だけに水の勢いは、激濁流です。
 こっちは水没寸前の車状態。実際何台もテールランプちかちかなったまま、濁流に放置されてるんです。それをよけながら、進むのですが、もう車が浮きかかってるのを感じるんです!

 「かみさまぁぁぁぁ!!!! どうか車を止めないでぇぇっっ! このまま通して!!! 車いすの子二人抱えて、ここで止まったらどうなるのよぉ!!!」と本当に私は絶叫したんですよ。
 だけど、雨の音に消されて、ぜんぜん大きな声ではないんです。


 車に乗ってる人はみんな同じ気持ちなんだと思うんですが、「ここでエンジン止めたら絶対二度と動かない、排気筒から水が入ってもアウト」、だから早く動きたいのに、先が信号、その先が動かない、となかなか思うように進まないんです。
 本当にだめかと思いました。でも、なんとか脱出。「動いて!動いて!」と私は叫びっぱなしでした。

 やっとやっと、彼女のおじいちゃんのおうちに近づいたら、静かな住宅地のポーチにご老人が二人、レインコートというより厳重な雨合羽着て、傘さしてよりそって立っていました。気のせいか手を合わせて祈ってたような…。

 何度も何度もお礼を言われて、土砂降りの中車いすと彼女をおろし、にっこり笑って「ごめんくださーい」とそのおうちの前を去りました。だって、移動しなかったら、ずっとお二人がこちらに頭下げてるんだもの。

 角を曲がって、すぐ止まって、ナビ。どうやって帰る? この調子だと一般道はどのルートもどこかしか水没している可能性大。高速に乗るのが一番安全だろう、と判断しました。


 ナビ様におすがりするしかなく、指図通りに行けば、途中何度もエンスト、トラブルの車は見ましたが、水没地区はなくなんとか高速入り口に近づいたのですが、初めての場所、入り口付近の大きな看板「こっちの方向が○○、あっちが△△、そっちは□□」がなんだかよくわからなくて、右と左を間違えて進んでしまったんです。予想外の大きな交差点に出て、思わずブレーキを踏んでしまったワタシ。

 ガシャン!!!

 「事故った!」
 「え!何!何!」とぶう。

 後ろの車も止まって、外に出ると「なんで赤でもないのに止まるの!!!!!」とおじさん大激怒。
 そりゃそうだあ…。
 (でも、幸か不幸か悪い感じの人ではなかった)
 「どこ行くつもりなんだ!」「高速へ」「こっちは違うんだよ。どっか路地でUターンしなきゃ行けないよ。こっちが悪いことになっちゃうんだ」

 とものすごく怒りながら、車を見るとちょっと擦り傷くらいだったんです。
 「いいです」とワタシ。「本当に?うちもそうたいしたことない。うちはもういい。本当にお宅もいいいの?」、大声で言わなければ聞こえないほどの雨、もう「本当にいいです」とずぶぬれのばかなおばさんのワタシは言い、解散。

 本当にもう、すぐ今、家に帰りたいよぉ…。

 「どうしたの?どうなったの?心配だから言ってよ!」というぶうに答える気力もなく、路地に入り込み、停車…。かけてるめがねが水滴で前見にくいし。「ぶつかったけど、たいしたことないから、もうよし、とした」

 「落ち着いて、落ち着いて」とぶうに励まされ、もう高速にも乗りたくなかったけど、さらに雨はひどく、帰る手段は「高速道」しかなし。

 だけど、幸い、ここからは込んでいたけど、前の車について行けば高速入り口があり、速度規制のかかった高速は、逆に走りやすく、家のまわりもひどい水没はなく、無事に家に着いたのです。ぶうもワタシも無事だった………。

 学校5時に出て、1時間弱のコース、着いたのは8時過ぎでした…。

 テレビのニュースで知りました。ちょうど車が流されそうになっていた、まさにその時、雨はうちの市の一時間に降る雨量の記録を、更新中だったのです。

 もう、泣きたいし熱出るかと思った…。けど、おばさんの目はカラカラで涙も出ないし、熱も出んかった…。

 送っていった彼女のママからは、半泣き状態で連絡があり、「助けてくれてありがとう」と何度もお礼を言われました。ぶつかったことは内緒。

 まだ、「あの激流の中で車が止まったらどうしたらよかったんだろう、119番かなあ、JAFかなあ」と気づくと考えていたり、ぶつかった瞬間の感覚がよみがえってぶるっとしたり、後遺症は続いています………。怖かった…。
 しかしあのとき止まってたら………。






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最終更新日  2010年09月10日 11時42分04秒 コメント(4) | コメントを書く
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