ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

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2014年09月04日
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かれこれ何年前だったでしょうか。
児童書コーナーに平積みになって並べられていたのは。
アメリカでかなりブレイクした児童文学というのが、当時の売り言葉だったような気がします。
気にはなりつつも、あまり気乗りしなかったので、そのままスルーしていたのですが、気が付けば、文庫になっているではありませんか。
しかも、「ハリーポッター」シリーズや、「ダレン・シャン」のシリーズなどは、文庫でも児童書的文庫として扱われているのですが、これは、一般文芸扱いの文庫。
気になるではありませんか、『 穴 Holes. 』。



もちろん、文庫で読みました。

作品そのものですが、日本の物語では見かけない設定です。

それだけで、物語が成り立ってしまっています。

子どもたちの淡々とした動きとその隙に見せる本来の姿。
そして、穴を掘る理由が矯正だけでないということが物語を読み進めると分かってきます。

過去と現在が交錯し、意外な人物の縦糸と横糸が徐々にほぐれていきます。

その辺りは、ミステリィっぽくも感じます。

この時点で、正直「児童書」ではないよなぁと思うのですが、おそらくアメリカの子どもたちに受け入れられたというのは、先にも書いたように文化的な背景が大きいような気がします。
日本では難しいなぁ~。

うん、だから、一般文芸の文庫にしたんだなと納得した次第。
大人だったら、この面白さと怖さが理解できると思います。
子どもの敏感な感覚でもこの作品は難しい(と思ってるだけで、思い込みだったりして)。

そして、ラストがこれまた謎を残して終わっています。


文庫の解説は森絵都さんが書いています。

彼女は、刊行当時(単行本)これを読んだ知人たちが「面白かった」「楽しかった」という形容でしか言い表さないことに不満を持っていたのですが、2年半後にこの作品を読んで、その事情に納得したと綴っています。

そう、まさにその通り。
大人ですら「面白かった」「楽しかった」としか語れない、微妙な作品の温度なのですから、これを子どもたちに勧めて読むのはかなりの至難の業。

子どもたちが偶然にこれを手にして、投げ出さないで読めた子だけが作者ルイス・サッカーの世界に浸れる特権なのだと思います。



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最終更新日  2014年09月04日 20時23分31秒
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