ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

2026年09月30日
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こちら『​ 山をはしる ​』も昨日同様に、大峯奥駆けの体験記です。

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ただこちらは、大峯だけでなく、八海山の奥影、羅臼岳登拝、富士山登拝についても記されています。

大峯奥駆けは、昨日の者よりも短くて、8泊9日で、間で車移動などがあるのですが、それでも、前書で書かれていない部分の奥駆けに関する背景などを埋めてくれる程の内容で、私にとっては濃いかったです。
更には八海山にも奥駆けがあることにも驚き、それを驚異の速さで突き進む山伏さんがいること。
日々の訓練というか、修行というのは確実に身につくものなんだということを、今回の体験記を通して知ることとなりました。

印象的だったのは、著者がアメリカを旅した時に目にした砂漠の荒涼とした風景と日本の車窓からの風景を比較してこのように語っているところ。
引用します。

しかし、多種多様な生命と自然に道が我が国は違う。大昔には八百万の神々がいた。いまでは神さまも仏さまもいる。大みそかは寺で除夜の鐘の音を聞き、新年が明けると神社に詣でるという、ある種節操のない宗教感覚。しかしよくいえば、さまざまな変化を受け入れる、懐の深い寛容さに満ちた国民性ともいえる。忍耐強さともいえようか。日本人と日本の風土に組み込まれたDNAなのかもしれない。(p311)
​
後半の日本に関する文章はどこでもよく聞くことではあるのですが、アメリカの車窓からの風景との比較というものにこれまでは出会ったことがなく、このように砂漠のことを解説されると確かに多様性というよりは、白か黒かではっきりとして欲しいと思わせるものなのかもしれないと思いました。

また、著者は自分は登山家でも、プロの格闘家でもなければ、僧でも、神職でもないけど、万物に感謝し、山を畏怖し、己を見つめながら登ると記してある辺りは、とても共感しました。
私自身修験の行いや教義など、関心を持ち、修験のお山を中心に登拝していますが、やはり僧侶でもないし、山伏でもないし、登山家(いわゆるピークハンター)でもありません。
でも、お山に入らせてもらうようになって、万物に感謝するし、何よりも、今歩いているこの道を切り開いてくれた先人たちの空気を感じるのがとにかく楽しくてうれしくて、そして多くの犠牲を出した上を歩いていることに畏怖の念と共に感謝を持ちつつただお山を歩いているだけで、何者でもないんですよねー。

実は著者と私は同い年。
こうして、これを書いている今もどこかのお山に入られているのかなーと思うとちょっと親近感がわいてきます。


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最終更新日  2026年09月30日 06時35分52秒
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