読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2006.09.05
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学校という場所はやっぱりどこか変です。
特に義務教育の場である小学校や中学校においては…。

義務教育、という言葉を聞いて生徒たちは
「学校とは嫌でも行かねばならない場所」と思ってる子も多いのでは?
ここでいう“義務”は
親(大人)たちが子供に教育を受けさせなければならない義務であって、
子供たちからすれば教育を受ける“権利”があるという意味の筈なんだけど。

学校に来ている中学生たちを見ていると
「ここに来てやってるんだ」的オーラをひしひしと感じます。

(かつては柊自身そう思ってたしな。)
全員が全員、そうではないけれど。

たくさん、いろんな人が集まれば集まるほど淀みが出てくるのは
大人の世界も同じで、まして人間形成の途中にある中学生たちが
集まる場所であればそれは避けられないことなのかもしれない。でも…。

温室デイズ

   日本の平和ボケは、学校の場でも存分に発揮されている。
   この温室のどこかに、出口はあるのだろうか-。
                       (bk1説明文より)


読んでいてどんよりしてしまったのは、ここに描かれている中学校の様子が
柊が毎日足を運んでいる中学校と似たり寄ったり(というより物語の舞台か!?)と


物語の冒頭のように…プリント類が紙飛行機となって飛び交う様も、タバコの吸殻も
授業を抜け出して放浪して歩く生徒たちも、素行の良くない生徒たちが保健室を
溜まり場にした結果、具合の悪い生徒は職員室で休まなければならないのも、
窓ガラスが定期的に割れるのも、上から物が落ちるのも、非常ベルのいたずらも、
もう何でもありすぎて柊も感覚的に既に麻痺しはじめているかもしれないです。



考えさせられるとか、問題作であるとか、そういうこと以前に
「これが今の、あるがままの中学校の現実です。」…そういわれている気がしました。

学級崩壊やいじめの問題は取り上げられはじめてもう随分経つのに
ちっともなくなる様子はありません。

学校を責めても、親を責めても、何も解決しない…そんなあきらめに似た雰囲気を感じます。

真面目に受け答えすればするほど浮いてしまう、馬鹿をみる、そんな場所では
せめて自分を見失わないように、自分はどうしたいのか問い続けることだけが
そこを生き抜く唯一の方法に思えます。

そこでは見て見ぬ振りをするのも、正攻法で戦うのも数ある選択肢の一つに過ぎず
必ずどれを選ばなくてはならない、どれが正しい、とは言えない気がします。
(但し、ナイフを持ち出す、相手に怪我を負わせるなどは問題外です)

理屈の上では見ぬ振りするのは悪いことだと言えますが、
そういう怖さを本当の意味で克服できる人ってきっと多くない。

柊は今日、生徒同士の喧嘩めいた場面に遭遇したんですが、
「止めなくちゃ」と思いながらも足が動きませんでした。
巻き添えくって怪我したら…という保身を先ず第一に考えてしまいました。
情けない話です。

教師ではない柊に出来ることといえば、先生に「こういうことがあった」と
報告することだけ。

暴力沙汰になる前におさまってくれたから良かったですが…(良くはないけど)
なので柊にはとてもえらそうなことなどいえません。

好きなことを仕事にはしない方がいい、ってよく聞きますが
近頃それを実感します。

今日もまた図書室にて、本を乱雑に置かれるだけならまだしも(?)
棚から落ちた本を蹴ってる姿を目にして、情けなくなりました。

柊は本が好きだから、面白い本を探す手伝いとか出来たらいいなと思ってますが
本を粗雑に扱っているのを目にすると悲しいというか落ち込んでしまって
その日一日気が滅入ります。

気持ちを切り替えようと思ってもそうそう割り切れるものでもありません。
これが毎日続くとすべてが惰性になってしまうんだな…なんて。

この本の主人公と同じように、どこかでこの流れを変えなくちゃと思います。
だけど教師でもない自分に、何が出来るだろう…と思うとそこで立ち止まって
しまいます。

自分にも失望するし、苦しいです。


(本の感想というより、柊の日々の感想になってしまいました。)







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最終更新日  2006.09.05 20:11:16
コメント(10) | コメントを書く


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Re:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
kayokorin  さん
柊さんのことば、ぜんぶ「ぐぐぐぐ~っ」と胸の置くまで伝わってきました。
わかるような気がしました。
どこにでも、あるふうけいなのかもしれないと、私も思います。
目に余る行動をした生徒を注意した非常勤の先生が逆ギレした生徒から殴られて怪我をされ、
中学生が逮捕されたとニュースもつい最近ききました。
悲しい現実が ごろごろある「いま」なんですよね。
でも、まっすぐに前を向こう、風向きを変えようと思っている子も
たくさんいると思います。
難しいですね。でも、それでも 彼らに希望を持ちたいと
「母」としては 強く思います。  (2006.09.05 19:06:36)

Re:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
machirun  さん
私の感想は現実のものだったんですねぇ。
まさかそんなにも酷い状態になっているなんて、と読みながら思い、これは小説だから、と言い聞かせながら読み。
でも現実だなんて・・・。
けれどもし私が柊さんと同じ立場にいたとしても、きっと同じ行動をとっていると思います。気持ちはあっても動けない。
子供達の心は何を訴えたいんだろう。 (2006.09.05 23:21:48)

Re[1]:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
柊♪  さん
kayokorinさんへ

>でも、まっすぐに前を向こう、風向きを変えようと思っている子も
>たくさんいると思います。
>難しいですね。でも、それでも 彼らに希望を持ちたいと
>「母」としては 強く思います。 

そうですね…希望を持ちたいです。
柊の子どもたちは今小学生で数年後には中学校に入学しますが…。
正直、「こういう中学校(環境)にはやりたくない」と思ってしまいます。
でも程度の差はあれど、波風のまったくない学校なんてないんだろうな。
どういう状況にも負けない子供に育てるのが一番大事なことかも、なんて思いました。
(2006.09.06 05:37:24)

Re[1]:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
柊♪  さん
machirunさんへ

>けれどもし私が柊さんと同じ立場にいたとしても、きっと同じ行動をとっていると思います。気持ちはあっても動けない。
>子供達の心は何を訴えたいんだろう。

何だか自分のことが情けなくて日々落ち込んでしまいます…。
でも自分に何が出来るだろう…と思うと考えは堂々巡り…うーん。
図書の仕事は好きだけど、それ以外の部分で悩んでばかりです。
(2006.09.06 05:42:25)

Re:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
arsha  さん
柊さんが行かれている学校ってそんなに酷い所なんですね…
ご苦労お察し申し上げます。。
私も今の仕事10年近く続けて小中高校回ってますが、幸いにもいい学校ばかりで、そういう意味では楽させてもらっていなぁって思います。
細かい問題を取り上げればキリはないですが…
でも本当に現場で色々見ていると、本当に自分が子供を産んで学校に通わせるのが不安になります。
自分が大事に育てても、学校でどういう影響を与えられるかわからない。。
でも今の教育体制では、先生が出来ることって少ないような気がします。
実際にまだ新任だった女性の先生で、中学生にボコボコに殴られて、結局学校をやめてしまった人もいます。
そういうのを聞くと、私はただ恵まれた環境にいるだけなんだなぁって、本当にこの職業が恐くなりますね。
刃物なんて出てきたら、もう防ぎようがありません。
柊さんは五字分のお子様もいらっしゃるから、学校の現状を見てさらに複雑な思いをされているのだろうなぁって思います。
本当に、どうすればいいのでしょうね…

(2006.09.06 07:17:19)

Re:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
「るか」  さん
たしか、瀬尾さんは、中学校の先生なんですよね。
柊さんの苦しさって、瀬尾さんと共有している感情なのかも。

>これが毎日続くとすべてが惰性になってしまうんだな…なんて。

そんな状態って、ほんとうに苦しいですよね。
どうか、無理しすぎないでくださいね。
自分自身を守るための、勇気とパワーまで、使い切ってしまわれませんように。

学校に漂う、あきらめムードって、大嫌いだったなぁ。
それが嫌いで、次々と、やってはいけないことを、やってみようとしたのかもしれないなぁ。
わたしも、誰かを、苦しめていたのかなぁ。うぅ。
(2006.09.06 22:07:52)

Re[1]:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
柊♪  さん
arshaさんへ

ご心配おかけしてしまい、すいません^^;
毎日毎日嫌な出来事が続くわけでもなく、普通に終われる日もちゃんとあります。
ごくごく普通に、元気よく生徒が挨拶してくれるだけで嬉しくなる日もあります。

>自分が大事に育てても、学校でどういう影響を与えられるかわからない。。
>でも今の教育体制では、先生が出来ることって少ないような気がします。

そうなんですよねー。
柊が仕事で行ってる学校は、いずれ子供達が通うことになる学校とは別なんですが
こういうのって、今は良くてもどんな学校にも波があるんですよね。
大丈夫かなあ…。
周りの雰囲気に流されない強さを持って欲しいと思ってます!
(2006.09.07 05:49:57)

Re[1]:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
柊♪  さん
「るか」さんへ

>たしか、瀬尾さんは、中学校の先生なんですよね。
>柊さんの苦しさって、瀬尾さんと共有している感情なのかも。

瀬尾さんの学校もこういう問題を持っていたりするのかな…と思いながら読みました。
でも瀬尾さんは教師の視点からではなく、生徒の視点からこの物語を書かれてるんですよね。
多くの中学生に向けての、瀬尾さんのメッセージが込められているのかなあと思います。

>そんな状態って、ほんとうに苦しいですよね。
>どうか、無理しすぎないでくださいね。
>自分自身を守るための、勇気とパワーまで、使い切ってしまわれませんように。

ありがとうございます。
消耗しないようにしつつ…今度は自分に後悔しない行動を取れるようにしたいです。

先生方の間にはいろいろやれるのも中学校のうち…というどこか容認?している空気もあります。
(もちろんやれることの限度はありますが)
社会に出て行けば嫌でも教えられることがたくさんあるのだから、
せめて義務教育という温室にいる間は多少羽目をはずすくらい?なんて。
でもダメなことはダメだとはっきり教えなくてはならないし、
その間で先生も色々考えているんじゃないかと思います。
(2006.09.07 05:58:48)

Re:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
「温室デイズ」読みました。
自分が通っている高校は比較的落ち着いているのでああいうことはありませんが、何だかすごくリアルでした。
同じ学生として重かったです。 (2006.09.10 00:56:26)

Re[1]:『温室デイズ』瀬尾まいこ著 読みましたが…とっても苦しい。(09/05)  
柊♪  さん
otsuichi330さんへ

>「温室デイズ」読みました。
>自分が通っている高校は比較的落ち着いているのでああいうことはありませんが、何だかすごくリアルでした。
>同じ学生として重かったです。

メッセージありがとうございます。
学校全部がこの『温室デイズ』に登場する学校のようではもちろんないですし、
むしろ限られた時間を一生懸命過ごす生徒の方がきっと多いと思います。

著者である瀬尾さんは現在中学校の先生をしておられるんですよね。
人が大勢集まる場所だから、“流れ”や“根”が今目に見えなくても、きっとある。
それを崩壊してしまうまで見逃さないこと、って誰かに伝えるというより
自分自身に訴えるつもりで書かれたんじゃないかなあと柊は勝手に解釈しています。
何より先生からの視点じゃなく、生徒の視点から学校を描こうとしているのが瀬尾さんらしいと思いました。
(2006.09.10 16:08:06)

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