読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2009.02.16
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「リピート」乾くるみ著



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。

「今」を一生懸命生きようとしない人に幸せな未来は約束されないかもよ!?…と警告されている気がしました。
主人公に感情移入出来なかった分結末の驚きは減ってしまったかもしれません。

読みながら「バタフライ・エフェクト」という映画を思い出していました。
後味の悪さ、苦さ、やり切れなさは共通項かもしれません。








「少女」湊かなえ著

結末に、構成の緻密さより著者の執拗さを感じる…。
粘着質な因果の糸でもって、登場人物たちの未来を絡め取ってやろう、みたいな執着心を。
著者は読者にこういう作品を読んでもらって、どんな気持ちになって欲しくて書いているんだろうなんて想像してしまう。
ふと気がつけば、読者の思想まで絡め取ってやろう、みたいな視線を感じてしまい…それが一番怖い。

『告白』を読んだ時ほどの衝撃はないけれど、読後の後味の苦さみたいなものはこの作品でも健在でした(笑)




「人が死ぬところがみたい」という少女たちの好奇心がどう転んでいくのか。
あらすじだけ読むと「スタンド・バイ・ミー」みたいなお話なのかと想像するけど…☆

好奇心や自身のエゴ、他者や身内に対する残酷さ、表面と内面の乖離…。
人が、或いは若さゆえに持っている負の感情を露わにしたらこんな感じ…になるんだろうか。
うーん、人間そんなに薄っぺらくないと反発心も湧いてくるんだけど、そういい切る自信もない…かも。



作中で気になったのは、子供たちに絵本や昔話を読み聞かせるシーンで
残酷な結末を変えて話して聞かせる女性が登場したところ。

…とはいえ、ここから先の話は物語とは全く関係ないのですが。

最近は童話の結末を変えて出版されている絵本も多くなってますが
(例えば「アリとキリギリス」。冬の寒さに凍えて死ぬ筈のキリギリスがアリの家で

柊は不用意に結末を変えるのは良くない、と思ってます。
元の話に含まれていたせっかくの教訓が変に歪められてしまう気がするので。

ところが。

昨今の子供達は残酷な場面に差し掛かった際、「お話」以上のリアリティでもって
その場面を頭の中に思い描いてしまうらしい…。ほんとかなー。
というのも映画やゲームなどで過激な演出をされた映像を目にする機会が多くなってしまったため、らしいです。

柊が子供のころを思い返してみると(今でも?)
たとえば「オオカミと七匹の子ヤギ」の最後の場面でお母さんヤギがお腹をハサミでチョキチョキ
切って子ヤギたちを助け出す場面など、読んでいても可愛らしい挿絵の印象止まりなのですが
今の子供達はリアルな手術の場面さながらのシーンを思い描いてしまう…らしい。
童話などにはよく「首を切られた」なんて場面が登場しますが、柊なんかは
「悪いことをしたからそういう目にあったのね」と結論づけるところ、子供達はそういう結論に
至る前にホラー映画さながらの映像を頭に思い描いて恐怖心の方を植え付けられてしまうのだとか。

うーん…それは極端な例で、そういう子供はまだまだ少数だと思うんですけどね…。

つまりは子供たちに与えるものは(ごく小さいうちは特に)親が注意してあげることが
必要だということかな。特に視覚、映像といった分野においては。
本においては、一緒に読むことで残酷な場面があっても感想を共有することでフォローしてあげることが可能だと思います。
けれどまだ想像力が発達途上にある子供に対し、いきなりきつい映像を見せてしまうことは
イメージが一つのものに固定されたり、限定されたりしてしまうので危険だということです。

これは原作本を読むより映画を観る方が二時間で済むからいいや、という子供たちにも言えるかな。
原作を読まずに、映像作品を観ちゃうともうそのイメージが固定のものとなってしまいます。
文章を読んで、そこから場面を想像する力を奪ってしまうことでもあります。

本を読む力が育っている子と、そうでない子とでは、映像から受ける影響力も違っているのではないかな。
これはあくまでも柊の私見ですけれど。












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最終更新日  2009.02.16 20:06:36 コメント(6) | コメントを書く


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