読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2009.08.04
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怖いもの見たさ、怖い話は苦手なくせについ耳を傾けてしまう気持ち。
そこには自分が子供の頃に体験した“怖さ”を懐かしみたいというような、
ノスタルジックな思いも含まれているのかなあ…とこの作品集を読んで思いました。



【内容情報】(「BOOK」データベースより)
ひややかな恐怖が胸に迫る─青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談!おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。やくそくをやぶったひとは、だぁれ?その向こう側は、決して覗いてはいけない─。

【目次】(「BOOK」データベースより)
踊り場の花子/ブランコをこぐ足/おとうさん、したいがあるよ/ふちなしのかがみ/八月の天変地異

収録されている作品中、最も鮮烈に「怖い」と思ったのは一番最初に収録されている「踊り場の花子」でした。


しかも校舎内にある水洗トイレじゃなく、校庭の端にある別棟の汲み取り式のトイレ(というより便所)。
そこから血まみれの手が伸びてくる…って話を聞いただけで、汲み取り式のトイレが
以来苦手になってしまったのでした。今では汲み取り式トイレなんて滅多に見かけませんが。
現代ではトイレは水洗式、きれいな場所が多くなったので花子さんは階段にお引っ越ししたのでしょうか。

話の端々に張られた伏線がじわじわと首元を絞めてくるような後半の展開はぞわぞわしました。

「ブランコをこぐ足」

こちらのテーマは“コックリさん”。
柊の小学生の頃にも試す人はいましたが、柊は怖いので参加しませんでした。
「コックリさん…」と口にすることも禁忌で、口にした人は背中を何回か叩かなければならないという決まりもあったりしました。
実はこうして文字に起こすことにも抵抗があって、今背中をとんとん叩いたところです。
叩かないでいるとこう背中に視線を感じるというか、のしかかってくるような感覚が拭えないんです~。


だけどここで一番怖いのは、目に見えぬ存在よりもそこに集う人間が隠し持つ思惑かもしれません。
子供が持っている悪意というものは大人のそれよりもあどけなさの仮面を被っている分余計ぞわりとした感触を持っている気がします…。

「おとうさん、したいがあるよ」

こういうシュールな展開は作家の乙一さんを思い出します。
これは乾いた怖さというのでしょうか。


「ふちなしのかがみ」

怖い、というよりも自分の望む未来に縛られてしまった女性が憐れだなあ…と思いました。
自分の未来が知りたい、未来の姿が見たいという願望は柊にはないです。

小学生の頃訪れた修学旅行先のあるお寺に、真夜中に覗きこめば自分の未来の姿が映るという言い伝えを持った井戸がありました。
そのとき、未来の姿が見たいという願望以前に、真夜中にそこに足を運んで底を覗きこもうとする妄執そのものが怖いと思ったんでした。

未来を望みすぎると、今という時を、現実を見れなくなってしまうのかも。
今をちゃんと生きないと未来には繋がっていかないよね…。
何だか哀しいお話でした。

「八月の天変地異」

これは怖い…というよりファンタジックなお話でした。
辻村さん独特のせつなさがぎゅっと詰まったお話。

このお話の中にも子供同士のやり取りの中で浮かび上がってくる残酷さが描かれていて
胸が痛くなりました。正直さは必ずしも美徳じゃない、というか。
知らず発言している内容が誰かを傷つけていても、心のどこかでそれを喜んでいる部分があったりとか。
うう、ざわざわくるー。

傷つけ、傷つけられて自分も大人になってきたわけですが…。
子供同士の付き合い、子供の頃の閉鎖的な世界での息苦しい思いは未だに思い出すには苦いかも。

この「八月の天変地異」にはそういう苦さ以上の優しさもまた描かれていたので、
読み終える頃にはあったかい気持ちが湧いてきます。
ラストを締めくくるにはぴったりのお話かもしれません。


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最終更新日  2009.08.04 19:55:00
コメント(12) | コメントを書く


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Re:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
kayokorin  さん
こんばんは。柊さんの感想を読んだだけで ぞわぞわきてしまいましたよ。

わたしも柊さんと一緒で 怖いのが昔から苦手で……。
乙一さんとか恒川さんとかも昔だったら多分手を出していなかった
と思うほどの怖がりです。

「未来を望みすぎると、今という時を、現実を見れなくなってしまう。
今をちゃんと生きないと未来には繋がっていかない。」
柊さんの言葉がずんっ!と心に残ります。

暗いところが怖かった小さい頃、もしおばけがいたら……
なんて怖がっていたら 父が
「おばけより人間の方がずっと怖いよ。おばけの方が怖がって逃げていくよ……」
と笑って言ったのを思い出します。 (2009.08.04 20:51:11)

Re:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
arsha  さん
コックリさん、何か懐かしい響きです。
でもarshaのところでは、類似の「分身さん」とか「キューピットさん」とかが流行っていて、友達と何度かやった事があります。
分身さんには本当に呪われたって子もいましたよ~。
でも今は怖いとか、またやってみようかとかいった子供の頃にはあった好奇心って言うものが無くなってしまったような気がします。
(2009.08.04 21:39:08)

Re:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
nanaco☆  さん
柊さんのレビュー楽しみに待っていました♪
さすが柊さんは、目の付け所が違うというか…いつも的確なレビューに感心します^^

「踊り場の花子」恐ろしかったですねぇ。
前半は、ちょっと怖い怪談話…と思って読み始めたのですが、
後半先生達の会話が進むに連れて、ゾワゾワと鳥肌が立ち始めました。

「おとうさん、したいがあるよ」そうそう、乙一さんに近い感じですよね!
結局どうしても理解できずに終わったのですが、、、こういうの嫌いではないです。
でもどなたかこの話を説明して欲しい気もします(笑)

辻村さん、こういう物語も書けるのね、とまた新たな引き出しを見せてもらった感じです♪
いつもながら、タイトルの付け方もセンスが良いなぁと思いました(^^ゞ (2009.08.04 21:53:34)

Re[1]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
kayokorinさんへ

>こんばんは。柊さんの感想を読んだだけで ぞわぞわきてしまいましたよ。
>
>わたしも柊さんと一緒で 怖いのが昔から苦手で……。
>乙一さんとか恒川さんとかも昔だったら多分手を出していなかった
>と思うほどの怖がりです。
>
>「未来を望みすぎると、今という時を、現実を見れなくなってしまう。
>今をちゃんと生きないと未来には繋がっていかない。」
>柊さんの言葉がずんっ!と心に残ります。
>
>暗いところが怖かった小さい頃、もしおばけがいたら……
>なんて怖がっていたら 父が
>「おばけより人間の方がずっと怖いよ。おばけの方が怖がって逃げていくよ……」
>と笑って言ったのを思い出します。

柊の子供たちは(中学生になった今でも)「お化けが怖い、幽霊が怖い」と言っています。
柊は「おばけより人間の方が怖いよー」と言ってます。
人間を怖いと思うようになったのは、人に傷つけられたり、裏切られたり、失望したりしてきたからでしょうか。
だとすれば、お化けを怖がっているうちは、人間を信じられているということで、まっさらな心の証拠なのかもしれないな…なんて今ふと思いました。
ううう、大人になるっていいこともいっぱいあるけど、寂しいことも多いかも~??
子供たちには今のうちにいっぱいお化けを怖がって欲しいです(笑)



(2009.08.04 22:09:19)

Re[1]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
arshaさんへ

>コックリさん、何か懐かしい響きです。
>でもarshaのところでは、類似の「分身さん」とか「キューピットさん」とかが流行っていて、友達と何度かやった事があります。
>分身さんには本当に呪われたって子もいましたよ~。
>でも今は怖いとか、またやってみようかとかいった子供の頃にはあった好奇心って言うものが無くなってしまったような気がします。

「分身さん」って初めて聞きました!
地域によって呼び名や何かが違うのでしょうね。
ううう、呪われたって子はその後どうなったのでしょうか…。
怖い存在は力があっても呼び出しちゃダメなんですね…きっと。

好奇心がなくなったって「そうかもー」と柊も思います。
いろいろ試す前に頭で結果を想像して満足してしまうのか、或いはどんな結果が出ても心動かされなくなってしまったのか…ちょっとさみしいですね☆

(2009.08.04 22:13:46)

Re[1]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
nanaco☆さんへ

>柊さんのレビュー楽しみに待っていました♪
>さすが柊さんは、目の付け所が違うというか…いつも的確なレビューに感心します^^
>
>「踊り場の花子」恐ろしかったですねぇ。
>前半は、ちょっと怖い怪談話…と思って読み始めたのですが、
>後半先生達の会話が進むに連れて、ゾワゾワと鳥肌が立ち始めました。

「きっとこうだろうな」って予測しながら読んだのですが、予測以上の展開と怖さが待ち受けていてぎょっとさせられました。
結びの文句が無茶苦茶怖かったですっ!

>「おとうさん、したいがあるよ」そうそう、乙一さんに近い感じですよね!
>結局どうしても理解できずに終わったのですが、、、こういうの嫌いではないです。
>でもどなたかこの話を説明して欲しい気もします(笑)

nanacoさんの感想を伺っていたので、「読み解くぞ~!」と心して読んだのですが柊にもよくわかりませんでした…^^;
柊もどなたかに解説してほしいです(笑)

>辻村さん、こういう物語も書けるのね、とまた新たな引き出しを見せてもらった感じです♪
>いつもながら、タイトルの付け方もセンスが良いなぁと思いました(^^ゞ

そうですね~。辻村さんもいろんな引出しをお持ちですね。
次なる作品がまたまた待ち遠しいです♪

(2009.08.04 22:17:43)

Re[2]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
arsha  さん
柊♪さんへ

分身さんはね、10円玉じゃなくて鉛筆を使うんです。
特殊な持ち方で何人かで鉛筆を持ってやります。
例えば好きな人との恋占いをしたいとき、相手の分身さんを呼ぶわけです。
でも失敗するとその辺の浮遊霊とかが入ってきちゃうと言う…
一説にはコックリさんよりも祟りがキツイとも言われていました。
祟られたっていう子は分身さんに言われたとおり、部活動の時間にスタンドの上で泣きながらずっと正座していました。
その後はどうなったのか知りません。
でも死んではないです。
多分許されたんだろうと思います。
(2009.08.04 22:39:01)

Re:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
♪ぴょん吉  さん
これ 予約中でしたけれど 怖いんですね~。どうしよう・・・。
でも 柊さんのレビューを読ませていただくと 挑戦する価値がありそうで。
(いつもながら 素敵なレビューですね。ほれぼれします~)
ようやく暑くなってきた夏なので ひんやりするために読んでみましょうか・・・。 (2009.08.05 07:20:43)

Re:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
日向 永遠  さん
読まれたのですね!!

柊さんの感想を読んでますます読むのが楽しみです。
(*^^)v (2009.08.05 23:34:36)

Re[3]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
arshaさんへ

>分身さんはね、10円玉じゃなくて鉛筆を使うんです。
>特殊な持ち方で何人かで鉛筆を持ってやります。
>例えば好きな人との恋占いをしたいとき、相手の分身さんを呼ぶわけです。
>でも失敗するとその辺の浮遊霊とかが入ってきちゃうと言う…
>一説にはコックリさんよりも祟りがキツイとも言われていました。
>祟られたっていう子は分身さんに言われたとおり、部活動の時間にスタンドの上で泣きながらずっと正座していました。
>その後はどうなったのか知りません。
>でも死んではないです。
>多分許されたんだろうと思います。

う…分身さん、怖いですね。
お話を伺っているだけで背中がぞくぞくしてきました。
どんなに知りたいことがあっても、そういった存在を呼び出すことはやめておいた方が良さそうです~。

(2009.08.06 12:42:01)

Re[1]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
♪ぴょん吉さんへ

>これ 予約中でしたけれど 怖いんですね~。どうしよう・・・。
>でも 柊さんのレビューを読ませていただくと 挑戦する価値がありそうで。
>(いつもながら 素敵なレビューですね。ほれぼれします~)
>ようやく暑くなってきた夏なので ひんやりするために読んでみましょうか・・・。

“ホラー”といっても、後味悪く尾を引くような恐怖譚ではないのでご安心を…(*^^*)
読まれたら是非感想を聞かせて下さいね。


(2009.08.06 12:48:23)

Re[1]:『ふちなしのかがみ』辻村深月著 読みました。(08/04)  
柊♪  さん
日向 永遠さんへ

>読まれたのですね!!
>
>柊さんの感想を読んでますます読むのが楽しみです。
>(*^^)v

思ったより早く図書館の順番が回ってきてくれました。
表紙の可愛らしくも不思議な違和感を感じさせる装丁が面白い効果をもたらしていると思います。
日向永遠さんの感想も楽しみにしていますね。 (2009.08.06 12:51:14)

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