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https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200207新型コロナウイルス感染症まとめは膨大で勉強し難いと思います。上記の表題はYahooからの比較的理解し易い内容で引用しました。本文は症例を引用して検討してみたいと思います。フリーアナウンサーの赤江珠緒が29日、神奈川・横浜市立大学で行われた『COVID-19日本初 新型コロナ回復者専用抗体検査PROJECT』オンライン記者会見に出席。新型コロナウイルスに罹患し、回復した立場として、今回の研究に協力することになった。赤江は「この病は生活様式をここまで変えてしまうかというくらい、大きな病で、罹患した時、どんな治療、どんな症状、わからないことが多いです。少しでも輪郭が明らかになって、私の経験がお役に立てることがあれば…」と思いを語った。 新型コロナから回復し抗体ができても、その抗体が半年後や1年後も残るのか、残った抗体はウイルスをはねのけるのかについて、日本では大規模に研究されていない。そこで、今回のプロジェクトでは、一般的な抗体以外に再感染阻止に寄与する中和抗体も測り「感染しても、安心できる社会を創る」ことを目的とする。 対象となるのは「過去に新型コロナウイルスに感染した」「診断結果や治療歴について、研究担当者から医療機関に問い合せすることに同意した」「日本在住で20歳以上」「採血前の2週間以内に発熱や呼吸困難などの症状がない」を満たす人。PCR検査陽性判定日から半年後と1年後に採血を行い、協力者には、一般的な抗体検査と、再感染阻止に寄与する中和抗体の検査を行い、結果を知らせる(ともに無償)。 記者会見にはそのほか、同大学医学部の山中竹春教授と梁明秀教授も出席。赤江アナは「最近、海外のニュースで、抗体が消える、消滅するんじゃないかという情報が入っているのですが、どうでしょうか? 再感染ということもあるのでしょうか?」「今回の検査と抗体検査の違いは?」などといった鋭い質問を投げかけた。 新型コロナへの罹患に不安になっている人へのメッセージとして「とにかく先がわからないことが一番不安になる。うつらない、うつさないということが、感染症について重要なことだということは伝わっていると思いますが、それでもうつってしまうことがあるのが感染症。かかった場合でも、大丈夫なんだって言えるような医療体制、研究ができる限り拡充されたり、充実したものになるように、私自身も協力していきたいです」と言葉に力を込めた。■赤江珠緒アナの新型コロナ発症から『たまむすび』復帰までの主な経過4月13日:テレビ朝日系『報道ステーション』スタッフを務める夫が高熱などの症状があり、新型コロナウイルスが疑われることから、大事を取って電話出演。4月16日:番組内で、新型コロナウイルス感染の疑いがあった夫が、PCRの検査の結果「陽性」だったことを報告。番組宛てに長文レポート寄せる。4月18日:TBSラジオのホームページで、赤江アナの新型コロナ感染を発表。4月29日:番組内にコメントを寄せ、自身が肺炎のために入院していると報告。16日同様、長文のレポートを寄せる。5月6日:番組にコメントを寄せ、退院したことを報告。5月12日:『Session-22』にメッセージを寄せ、医療従事者からの声も紹介。詳細なレポートで、新型コロナと医療体制などの現状を伝えた。6月1日:番組エンディングで、代打を務めてきた外山惠理アナが、赤江アナが8日から復帰すると報告。6月8日:番組に復帰。コメント:ニュースで志村けんさんや、岡江久美子さんがコロナ感染症で急速に亡くなられ、コロナ感染症の脅威が広がったかと思います。その後も有名な俳優さんが罹患したことも知られています。世界中に拡散してしまい、生命と経済の危機が叫ばれています。しかし、コロナウイルスもこれだけ拡散したら、人間の生命まで脅かすのはウイルス自体が消滅してしまうリスクを感じて弱毒化してきた可能性が考えられ、重症例や死亡例は減少しているように思われます。インフルエンザや、感冒ウイルスのようなレベルになることを期待しています。
Jul 29, 2020
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北大、3リピートと4リピートのタウタンパク質が蓄積 北海道大学は1月17日、認知症とパーキンソン症状を主な症状とする新しい神経変性疾患を発見し、その発症に関与する遺伝子を同定したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院の矢部一郎准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」誌に掲載された。 矢部准教授ら研究グループは、家族歴のある認知症とパーキンソン症状を主な症状とする神経変性疾患を診療していた。臨床症状からパーキンソン症候群の疑いがあると診断したが、診療した患者のうち亡くなった1名の脳を神経病理学的に検討したところ、海馬、淡蒼球、視床下核、黒質などと呼ばれる脳の部位を中心に神経変性が認められたという。この患者は、同部に神経原線維性変化が顕著だったが、アルツハイマー型認知症で認められるような老人斑は認められず、3リピートと4リピートのタウタンパク質が蓄積していた。 この所見は既知のパーキンソン症候群や認知症とは明らかに異なる知見であり、タウタンパク質が蓄積する新しい疾患(タウオパチー)と考えられた。そこで家族歴のある同疾患の病態解明を目指して遺伝子解析を行い、その結果を踏まえてこれまでパーキンソン症候群(進行性核上性麻痺)疑いと診断していた家族歴のない患者を対象に、遺伝子解析を行ったという。 今回の研究では、患者DNAに対し、次世代シークエンサーを用いた全エキソーム解析を主に用いた。またラットのBassoon(BSN)遺伝子に遺伝子変化を導入しHEK293細胞に発現させ、タウタンパク質の挙動を観察。家族歴のある患者を対象に、過去に進行性核上性麻痺の原因遺伝子として報告されている遺伝子やパーキンソン病や認知症の原因遺伝子などを含む50遺伝子を候補遺伝子として解析したが、それらの遺伝子には原因となる変異を認めなかったという。 そこで、次世代シークエンサーを用いた解析をすすめ、BSN遺伝子に発症者に特有のミスセンス変異を発見。このBSN遺伝子について、過去にパーキンソン症候群(進行性核上性麻痺)の疑いがあると臨床診断されていた家族歴のない患者を対象に解析したところ、約10%の患者において3種類のミスセンス変異が認められた。これらの遺伝子変化は健常者データベースには記載がないか、あっても0.5%以下のまれな変化であり、BSN遺伝子は中枢神経に特化して発現するタンパク質を合成することから、この疾患の発症に深く関与すると推定したという。 次に遺伝子変化を導入したラットBSN遺伝子と導入していないラットBSN遺伝子を導入した細胞でタウタンパク質を比較検討したところ、遺伝子変化を導入した方の細胞で不溶性のタウタンパク質が多く存在する可能性を確認。この結果は、新しいタウオパチーの病態メカニズムを示唆するものだという。 BSN遺伝子は加齢とともに減少することや、加齢に伴いタウタンパク質が脳に蓄積することも報告されており、脳の老化と関連している可能性も考察される。研究グループは、「パーキンソン症状や認知症などを呈する神経変性疾患の病態解明や正確な診断法の開発、ひいては新しい治療法の開発の一助となることが期待される」と述べている コメント;興味ある症例かと思います。認知症にはAβ蛋白の蓄積が主なものアルツハイマー病と、タウ蛋白が主に蓄積するSNAPは進行が遅いことが知られています。パーキンソン病のような神経変性疾患は遺伝性のものも遺伝子解析から知られています。またレビー小体型認知症も、パーキンソン症候群に入るかと思いますが、認知症の研究はまだまだ発展途中ですね。
Jan 25, 2018
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英GPデータベースによる呼吸器感染症患者3万例の検討 2017年12月25日 (月)配信 一般内科疾患呼吸器疾患 咳などの呼吸器感染症状で英国の家庭医(GP)を受診した患者2万8883例の検討から、肺炎を鑑別しうる4兆候が明らかになったとの研究結果が報告された。胸部X線で確定診断された肺炎患者の86.1%に4兆候のうち1つ以上の症状が見られたそうだ。欧州呼吸器学会(ERS)が11月23日のEuropean Respiratory Journal誌掲載論文を紹介した。 研究グループは、英国のGP5222施設を呼吸器感染症状で受診した2万8883例の受診から30日以内の症状、検査所見、治療の詳細を解析。全例のうち720例が胸部X線を撮影しており、このうち115例が肺炎と確定診断されていた。 解析の結果、肺炎と確定診断された患者に、より多く見られる(1)37.8度以上の発熱、(2)肺の異常音(crackling sound)、(3)心拍数の増加(100回/分以上)、(4)血中酸素飽和度の低下(95%以下)の4兆候が存在することが分かった。今回の母集団の86.1%がこれら4兆候のうち1つ以上を有していた。一方、喀痰の色調変化は参考にならないようだったと述べている。 「家庭医が既に行っている検査で肺炎を客観的に診断できることが、今回の検討で明らかになった」と研究グループ。大規模な検討で、酸素飽和度が肺炎鑑別の参考になることが示されたのは初めてとも述べている。ただし、家庭医でのパルスオキシメーター使用が広く普及した場合、病院への入院紹介が増える可能性も否定できないと指摘。家庭医で酸素飽和度を測る場合は、他の指標とあわせて評価するようアドバイスしている。(m3から) コメント;開業してからは神経内科関連の疾患は、脳梗塞後遺症、パーキンソン病を始めとして、認知症関連、てんかん、多発性硬化症、その他の遺伝性神経難病など多数の疾患を診療しているが、その患者さんが体調不良を訴えるのは、肺炎や尿路感染症が多いです。上記のような症状と採血で白血球増多、CRP上昇があれば、軽度なら外来で抗生剤の点滴か、内服薬処方で経過を診ます。ずーと多忙が続いていたので日記が書けない状況でした。また冬期間は少し暇な時間もできれば時々記録したいと思っています。
Jan 4, 2018
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最近の診療で、若年の左上肢の振戦の患者さんを診た時、本態性振戦は両側で起こるので、Wilson病が頭をよぎり、採血でセルロプラスミンを加えました。 結果は15台で軽度低下していました。 Wilson病は、約 40年の臨床経験で、数例診ており現在も通院中の患者さんもいます。 銅の代謝異常で早期に診断して治療を行えば、後遺症もなく、治療は続けなければならないですが予後は良好です。
Sep 30, 2017
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昨夜はクリニックから大阪のホテルに直行し、夕食と生ビールを一杯飲んで休みました。12階の部屋から撮った写真です。 今日の10時からホテルニューオオタニでセミナーがありました。認知症の基本的な話題から、薬理学的な話題まで、勉強になりました。 最近、全くブログを更新していないので、スマホから記録してみました。
Aug 20, 2017
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若年発症、病巣サイズ大きいなどの特徴も明らかに 脳卒中患者の約10人に1人がてんかんを発症し、脳卒中発症年齢が若いほどそのリスクは高まるとの調査結果が明らかになった。米国てんかん学会(AES)が12月3日、第70回年次学術集会の発表演題を紹介した。 研究グループは英国の脳卒中発症後の言語機能・回復の予測に関する患者データベースに登録された1000例以上のうち、頭部MRI画像があり、痙攣発作の既往の有無が記録されていた450例を解析。 左半球の脳卒中369例のうち42例(11%)が、右半球の脳卒中81例のうち9例(11%)がそれぞれ脳卒中後てんかんを発症していた。また、脳卒中後てんかん発症例は非発症例に比べ脳卒中の病変サイズが2倍大きく、脳卒中後てんかん発症時の平均年齢は44歳と非発症群の平均年齢56歳より若い傾向にあった。 左半球の脳卒中かつてんかんを発症した患者では身体動作や認知機能などに関連した領域である大脳基底核および視床を含む深部の病変が最も多く見られた。 「多くの人がてんかんを小児や若者の病気と捉えており、高齢者のてんかんはしばしば見逃されている」と研究グループ。しかし、てんかんの新規発症は65歳以上の成人でより多いと述べている。その上で脳卒中診療に当たる医師は脳卒中後のてんかんは一般的な疾患であることを念頭に置いた上で兆候を見逃さないようアドバイスしている。コメント;高齢者が増加しているので、認知症、脳梗塞後遺症などによるてんかんも増加しています。てんかんは、以前は子供の病気と考えられていましたが、むしろ高齢者に多くなっています。てんかんの治療も脳卒中後遺症では注意が必要であることを知っておくべきです。また、認知症がてんかん発作と鑑別が必要なこともあります。
Apr 5, 2017
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今年になって、市内の眼科医院から眼球運動障害、ふらつきで紹介していただいたFisher症候群が 、総合病院神経内科への紹介は希望されなかったので、過去の経験から、エビデンスはありませんがステロイドホルモンの内服で約3週間で軽快してきました。まだ軽度の複視は残っていますが、感謝されました。よかったです。
Feb 12, 2017
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免許更新で「要認知症診断」100倍に?!【JSDR 2016】 2017年春、改正道交法でさらに変わる認知症の取扱い◆Vol. 12016年12月12日 (月) 高齢運転者による交通死亡事故のニュースが連日のように報道され、高齢者の自動車運転への関心が高まっている。そんな中、2017年3月に施行予定の改正道路交通法では高齢者の認知機能検査の要件が強化される。全交通事故件数 が減少し続ける中、高齢運転者による事故件数は相対的に増加しており、高齢者の運転に関する規制強化は避けられない情勢だが、それに伴う課題も多いようだ。特に法改正により、運転免許更新時に認知症に関する診断書が必要となる人の数が、現在の年平均で数百人から4万-5万人と100倍近くに増えるのではとの見方を示す専門家もいる。東京都で開催された第35回日本認知症学会学術集会(JSDR 2016、12月1-3日)での大阪大学大学院医学系研究科精神医学講座教授の池田学氏のプレナリーセッションと、独自取材による認知症と自動車運転の最新動向を紹介する。 道交法上の認知症、これまでの取り扱いは? 池田氏によると、道交法に認知症に関する条項が初めて記載されたのは2001年。当時の改正では精神病とてんかんが絶対的欠格事由から相対的欠格事由に要件が緩和され、新たに認知症と睡眠障害が運転に支障を来す恐れのある疾患や病状として個別の判断を求め、免許更新時の病状申告書の提出を義務付けた。 2009年改正の現行法では70-74歳で運転免許更新時の高齢者講習受講、ならびに75歳以上の運転者への認知機能スクリーニング(講習予備検査)を義務化。ここで「認知症の恐れがある者」に分類され、なおかつ一定期間内に信号無視などの一定の違反行為があった場合、医師の診断(臨時適性検査)を義務付けた。 この違反行為は75歳以上の高齢運転者約1600人を対象とした検討で「認知症の恐れがあると考えられた人の運転行動の主要な5つの特徴(信号無視、交差点走行不適、道路変更不適、一時不停止、加速不良)」に基づき選定された15の「基準行為」として示されている(2008年日本認知症学会「警察庁からのお知らせとお願いについて」)。 その後、2013年には病状申告書の虚偽記載への罰則規定が、2014年には医師の任意通報制度に関する規定が新たに追加された。 2017年3月の改正法では、75歳以降の免許更新時のスクリーニングで「認知症の恐れあり」と判定された人の全てが違反や事故の有無に関わらず、医師の「臨時適性検査」の対象となる。認知症に関する記載が強化されてきた背景として池田氏は「他の疾患と異なり、病識が乏しくなっている認知症患者は、本人に悪意がなくても、自ら病状を申告することが困難なことがある」と話す。 法改正による実地臨床への影響は 今回の法改正に伴い、免許更新時に医師による「臨時適性検査」の対象となる75歳以上の運転者の数は現在の年間平均200-300件から、4万-5万件以上に増加するのではとも考えられている(警察庁交通局運転免許課2015年10月13日都道府県・指定都市認知症施策担当者会議「道交法の一部改正について」)。国内の認知症専門医の数は約2000人。法改正により専門医への受診が激増する可能性もある。 これにより、池田氏をはじめ、実地臨床医が懸念するのは「認知症診療における患者と医師の信頼関係構築が困難になること」だ。「認知症診療の基本は早期診断・早期治療。診断書を公安委員会に提出することで、初期の段階で運転免許という日常生活の手段が奪われることは適切な認知症治療そのものを危うくする」との指摘もある。 さらに「認知症が進行した場合、運転は不可能になることは自明。しかし、実はごく軽度の認知症と自動車運転能力の関連は明らかでなく、認知症治療薬使用と自動車運転に関するエビデンスもほとんどない」と池田氏。認知症と一口に言っても、背景疾患や運転に与える影響はさまざまだ。 道交法上の医師の診断書は、認知症に該当するか否かの判断に関する意見を公安委員会に提供する位置付けで、最終的な免許更新の可否は公安委員会が判定する仕組みとなっている。 また、一部の認知症について医師が「6カ月以内に回復の見込みあり」と診断した場合には、この間に免許の保留・停止を行い適性検査や診断書の提出を再度行うことなどを求める但し書きもある。 しかし、実際は個別の認知症の状態はあまり考慮されず、認知症の診断書のみで免許停止の判断が行われているとの指摘もある。 池田氏は「一部の認知症専門医は、こうした診断書を作成した経験もある程度あり、患者や家族からの不満を受け止める立場からは逃れられないことを承知していると思う。しかし、地域医療を担う医師にとっては、臨時適性検査のために患者や家族との信頼関係が築けなくなることは大変な事態と考えている」と話す。 コメント:高齢者の運転に関しては、今年の初めての試みがありますが、非常に難しい問題です。年齢で運転免許証の返還を決めれるものでもなく、また認知症の患者さんでも、運転能力は問題なく、日常生活に最低限必要な人もあります。自主的に返還してもらえれば一番よいのですが、どのようになるかは全く不透明です。 「MCIやごく初期の認知症の人の運転能力が一般高齢者に比べ、危険とのエビデンスはほとんどない。ごく初期の認知症やMCIの人に関しては医学的な認知症の診断ではなく、実際の運転技能を実車テストなどで運転の専門家が判断する必要があると考えている」とのことなので政府にそのように早急に指示してもらわないといけないと思います。認知症の診断をかかりつけ医や、認知症サポート医に委ねられても、普通の日常診療と一緒に行うのは無理かと思われます。
Jan 16, 2017
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糖尿病、闘病期間長いと脳が萎縮―九州大 脳には、人が生きていく上で重要な、とても多くの機能が備わっている。その脳の容積が減ってしまうのが脳萎縮。加齢によって誰にでも起こり得る症状だが、今回、糖尿病によって引き起こされる可能性が指摘された。九州大学大学院の研究グループが行っている「久山町研究」によると、糖尿病患者では脳全体が萎縮しており、特に「海馬」という記憶や空間学習能力に関わる部分で顕著で、糖尿病にかかっている期間が長いほどその傾向が強まっていたという。詳細は、米医学誌「Diabetes Care」に掲載されている。 海馬でより強い影響が 久山町研究は、九州の福岡市に隣接した糟屋(かすや)郡久山町の住民を対象に行っている、生活習慣病に関する疫学研究。九州大学と久山町の共同事業として、1961年に始まった。久山町の人口は現在、約8,400人。住民の年齢や職業分布が全国平均とほぼ同じで、平均的な日本人の集団とされ、研究精度の面でも評価が高い。 今回の研究では、65歳以上の地域住民1,238人を対象に、磁気共鳴画像(MRI)検査を使って脳の容積を測定。萎縮の度合いと糖尿病との関連を調べた。 その結果、糖尿病患者は糖尿病でない人に比べ、脳全体の萎縮が進んでおり、その中でも特に海馬の萎縮が進んでいることが示された。この傾向は、血糖値(経口糖負荷試験2時間値)が高い人ほど顕著だったという(ただし、空腹時血糖値との関連はみられず)。 さらに、中年で糖尿病と診断された人は、糖尿病でない人や高齢になって糖尿病と診断された人に比べて海馬の萎縮の程度がより強いことが示唆されるなど、糖尿病にかかっている期間が長い人ほど症状が進んでいることが分かった。 研究グループは「今回の研究で、長い糖尿病歴や食後の高血糖が脳萎縮のリスクとなり、その影響はとりわけ海馬で強いことが示された」としている。 コメント; 糖尿病があると認知症の発症のリスクが高くなることはよく知られています。 糖尿病があると脳萎縮も進行するというのは理解できます。特に海馬は記憶の中枢でもあります。糖尿病で萎縮するが、運動で海馬の神経細胞が再生されるのも事実です。できるだけ、生活習慣病を改善するように、運動をしましょう。
Oct 5, 2016
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研究を行ったのは、星城大学の竹田教授らです。健康な約7000人の高齢者を5年にわたり追跡し、どのような特徴を持った人が認知症を発症しやすいのかを調べたものです。 その結果、新聞を「読んでいない人」は、「読んでいる人」に比べて1.51倍認知症になりやすかったと報告されています。【参照】http://www.seijoh-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/20160427ninnchishorisuku.pdf もちろん新聞が唯一の要因というわけではなく、ほかにも認知症発症に関係する13の要因が竹田教授らの研究で報告されています(例えば「仕事を持っていない人」は、「持っている人」に比べて認知症になりやすいなど)石川善樹(いしかわ よしき)予防医学研究者・医学博士。(株)Campus for H共同創業者。1981年 広島県生まれ。東京大学医学部卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして研究し、常に「最新」かつ「最善」の健康情報を提供している。専門分野は行動科学、ヘルスコミュニケーション、統計解析等。著書に「疲れない脳をつくる生活習慣」 コメント:長く投稿していないと却って記録しずらくなるものです。また、再開してみますが、以前のように毎日の記録は難しいかと思います。高齢社会では認知症の増加は必然でしょうし、予防するためにも新聞は読みたいものです。今年は何かと多忙で、患者さんの看取りも3件になりました。亡くなられたのは高齢の在宅患者さんで、94才の女性は、朝に家族が見たら亡くなっていたと連絡があった慢性腎不全、心不全、老衰の患者さん、89才の女性は認知症が進行して、嚥下障害、誤嚥性肺炎で在宅での看取りを頼まれた方でした。84才の男性は、脳梗塞後遺症で在宅で、訪問リハビリ、訪問看護も受けながら、訪問診療を約10年間してきた患者さんでした。看取りは、訪問看護ステーションにもお願いしていたので穏やかに亡くなられました。開業医は、高齢社会では在宅医療は必須でしょうし、看取りを頼まれることも多くなっています。看取りは精神的・肉体的につらく訪問看護ステーションとの連携が大事です。
Sep 30, 2016
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流行拡大に世界的な警戒が強まっているジカウイルス感染症(ジカ熱)について、ギラン・バレー症候群を引き起こす可能性もあることが、仏パスツール研究所などの検討で初めて確認された。英医学誌「Lancet」オンライン版に2月29日掲載された報告で、仏領ポリネシアでの2年前の流行期に多数診断されたギラン・バレー症候群症例を分析した結果、全例でジカウイルスに特異的な中和抗体が確認された。 ジカウイルス感染症の流行地ではギラン・バレー症候群が多数発生していることも報告されていたが、データがなく、関連の確認が急がれていた。 同研究所のArnaud Fontanet氏らは今回、2013年10月から2014年4月のジカウイルス感染症流行期に、仏領ポリネシアの一つ、タヒチのCentre Hospitalier de Polynésie Françaiseでギラン・バレー症候群と診断された42例の血液データを用いて、非熱性疾患患者群(98例)、あるいはジカウイルス感染症だが神経症状は見られない患者群(70例)と、性・年齢・居住地を一致させたケース・コントロール研究を行った。 その結果、ギラン・バレー患者群で、神経症状発症時にジカウイルス感染症が確認された患者はなかったが、患者の98%がジカウイルスに対するIgMあるいはIgG抗体を、全患者が抗ジカウイルス中和抗体を保有していることが分かった。さらに患者の93%が抗ジカウイルスIgM抗体を有しており、神経症状発症の6日ほど前に88%の患者で一過性熱性症状があったことから、最近のジカウイルス感染がギラン・バレー発症に関連していることが示された。 ギラン・バレー症候群はいずれも急性運動軸索型ニューロパチー(AMAN)型で、通常の同型より進行が速かったが、予後は比較的良好だった。患者の29%が筋力低下のため呼吸補助を必要としたが、死亡例はなかった。 Fontanet氏らは、一般人口におけるジカウイルス感染率から推定されるギラン・バレー症候群の発症率を1000ジカウイルス感染当たり0.24と算定。「ジカウイルス流行リスクの高い国では、ギラン・バレー症候群に備え、適切な集中管理を行える体制を整えておく必要がある」としている。 ヒトスジシマカなどの蚊を媒介とするジカウイルス感染症は、通称ジカ熱とも呼ばれるが、同じ蚊媒介感染症であるデング熱と比べると熱症状は軽く、むしろ全身性の紅斑や結膜炎の症状が特徴的とされる。 ジカウイルス感染症を発症しても治療は不要なことが多いが、妊娠女性が感染すると胎児に影響が及ぶ可能性があることから、世界保健機関(WHO)は2月1日、「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した.. ▼ 「ギラン・バレー症候群」とは? ギラン・バレー症候群は、急性・多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気 抗体が誤って自分の末梢神経を攻撃し続けることによって生じる病気 人口10万人あたりに対し1人から3人程度の発症で、年間2000人以上発症していることが推定される 約3分の2の患者さんが、発病の1-2週前に風邪をひいたり下痢をしたりしている 過去には安岡力也さんや釈由美子さん、佐藤 寿人さん、大原麗子さんもその症状に悩まされました 下痢を起こす、カンピロバクターは死亡例や重篤例は少ないが、回復後に手足の運動マヒが起こる軸策が障害される「ギラン・バレー症候群」を発症する場合がある いずれの治療法が効果的かについての明らかな根拠はないが、免疫グロブリン大量療法や血漿交換療法、免疫吸着療法等がある 1910年代にこの病気を最初に認識したフランスの内科医ギランとバレーの名前をとってギラン・バレー症候群と言われている ▼ その症状は? 約7~8割の患者は、運動神経とともに知覚神経の障害を伴う 通常の感冒様症状から発症するものは数日、あるいは2~4週間以内にピークに達し、その後は回復1ヶ月ぐらいで完治する人もいれば、1年以上経ってもなかなか回復せず、足や手に動かせない部分が残ってしまう場合も症状のひどい場合には寝たきりになったり、呼吸ができなくなることもある 欧米からの報告では、後遺症で自力歩行ができない方が約15%、経過中に亡くなられる方が約5%と報告 ▼ 「ギラン・バレー症候群」にならないためにも、食中毒を予防しよう 食中毒予防は、原因菌を『つけない』『増やさない』『やっつける(加熱)』が3原則 体調管理のポイントは、栄養の偏らない3食の食事と十分な睡眠時間
Mar 8, 2016
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ベンゾジアゼピン系薬の累積使用量が少ない場合に認知症のリスクはわずかに高まるが、多い場合はこの関連が認められないことが、米・ワシントン大学のShelly L Gray氏らによる地域住民ベースの前向きコホート研究で明らかとなった。 著者は、「この結果は、ベンゾジアゼピン系薬と認知症との因果関係を支持しないものだ」と結論付けている。高齢者では、転倒、骨折、せん妄のリスクがあるためベンゾジアゼピン系薬の投与は推奨されていない。にもかかわらず、睡眠障害や不穏等に対する使用は、年齢とともに増えているのが現状である。これまでの研究で、ベンゾジアゼピン系薬の投与が認知症リスクの増加と関連していることが示唆されていたが、長期の使用が認知症や認知機能低下と関連しているかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2016年2月2日号掲載の報告。 非認知症65歳以上を対象、過去10年間のベンゾジアゼピン累積使用量別に解析 本研究は、ワシントン州シアトル市に拠点を置くヘルスケアシステムGroup HealthによるAdult Change in Thought研究の一環として行われた。参加者は、シアトル在住のGroup Health加入者から無作為抽出された、登録時に認知症のない65歳以上の高齢者である。1994~96年に2,581例、2000~03年に811例が登録され、2004年以降は認知症発症あるいは死亡等による入れ替えで継続して登録された。登録時および2年ごとに、認知症・アルツハイマー病の有無(標準的な診断基準に基づく)、認知機能(cognitive abilities screening instrument[CASI]による評価)、患者背景等(既往歴、健康に関する行動、健康状態)について調査した。追跡調査は、認知症発症、Group Health脱退または2012年9月30日以前の最後の受診日までとした。平均追跡期間は7.3年。 解析は、登録時Group Healthに10年以上加入している人に限定し、登録後1回以上医療機関を受診したことのある人を対象として認知症発症に関して(解析対象3,434例)、また、登録時のCASIスコアがある人全員を対象に認知機能低下に関して解析を行った(解析対象3,993例)。ベンゾジアゼピン系薬の累積使用量は、Group Healthの処方データベースを用い、過去10年間における標準化1日量(薬剤ごとに処方総量を高齢者で推奨されている1日最小有効量で除したもの)の合計(total standardized daily doses:TSDD)として算出した。TSDDの算出にあたっては、解析項目によって、前駆症状に対する治療の可能性を排除するため登録前直近の使用について除外した。 明らかな因果関係は認められず 認知症発症に関する解析では、3,434例中797例(23.2%)が認知症を発症し、そのうち637例がアルツハイマー病であった。登録前直近1年間の使用を除外した場合、ベンゾジアゼピン系薬非使用(TSDD0)と比較した認知症発症の補正後ハザード比(HR)は、累積使用量がTSDD1~30で1.25(95%信頼区間[CI]:1.03~1.51)、TSDD 31~120で1.31(1.00~1.71)、TSDD≧121で1.07(0.82~1.39)であった。 アルツハイマー病も同様に、累積使用量が少ない場合にのみ発症リスクの増大がみられた(TSDD1~30のHR:1.27、95%CI:1.03~1.57)。また、累積使用量が多い群をさらにTSDD121~364と≧365に分けても、認知症およびアルツハイマー病のいずれも発症リスクの増大は認められなかった。 認知機能の低下に関する解析では、ベンゾジアゼピン系薬のすべての累積使用量群で非使用群と比較し、CASI平均スコアまたは変化率に差はなく、累積使用量は認知機能の急速な低下と関連していなかった。 ベンゾジアゼピン系薬の累積使用量が少ない群で認知症のリスクが増加した理由について、著者は、「認知症の前駆状態に対する治療であった可能性がある」と指摘し、「前駆状態の人はベンゾジアゼピン系薬の影響を受けやすく、急性有害事象としてせん妄などの認知機能障害を生じたためにベンゾジアゼピン系薬の投与中止に至り、結果として累積使用量が低かったのではないか」と考察している。 コメント: ベンゾジアゼピン系薬剤は、安定剤、眠剤として多用されている薬です。依存症になりやすく、できるなら他の薬剤で処方したいところです。 しかし、現代社会では誰もが、仕事上のストレスや、日常生活でのストレスで、簡単に服用してしまいます。 高齢者ではマスコミなどの影響もあり、認知症への進行が危惧されていますが、明らかな因果関係は認められなかったという。高齢者の不眠は、老年期うつ病が関係して起こっていることもあり、抗うつ剤が著効することもあります。
Feb 27, 2016
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適度な昼寝が認知症リスクを激減させる!仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まないための、ぐっすり睡眠術をお届けしよう。 徹夜をすると、ボーッとしてうまく頭が回らない―。それは決して気のせいではないようだ。睡眠不足は脳の働きに大きな影響を与える。 「睡眠不足の日が何日か続くと、明らかに記憶力や認知能力が衰えることが分かっています」と、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック(横浜市港北区)の白濱龍太郎院長は話す。 しっかり眠っている人は記憶力が高い特に記憶力をキープする上で睡眠は大切だ。 一夜漬けでテストを受ける場合、完全な徹夜(完徹)はいけないという話をよく聞く。「記憶してからいったん眠ることで記憶が定着するので、ずっと起きているよりも、間に睡眠を挟んだほうが覚えている率が高くなります」と白濱院長。寝る間を惜しんで英単語を覚えても、忘れてしまえば意味がない。それより、少しでも眠ったほうがいい。 「記憶を司るのは脳の海馬という部分ですが、睡眠時間が少ない子供はこの海馬の体積が小さくなっている。成人を対象にした研究でも、しっかり睡眠時間を取っている人のほうが記憶力が高いというデータが出ています」(白濱院長) 米国で120人の高校生を対象に、「睡眠時間と成績の関係」を調べた研究もある。 それによると、睡眠時間が7時間半くらいと長く、就寝する時刻が10時半ごろと早い生徒ほど成績が良かった(下グラフ参照)。デキる生徒は早くベッドに入り、たっぷりと眠っている。睡眠時間を削って勉強するのはつらいだけでなく、効率も悪いということになる。 睡眠時間が長く、就寝時刻が早い生徒ほど成績がいい それは若者に限った話ではない。記憶力や判断力を高め、仕事のパフォーマンスを上げるためにも、しっかり睡眠を取ることは大切なのだ。 睡眠不足でたまる脳内物質が記憶力減退の正体だった 適度な昼寝が認知症リスクを激減させる! 睡眠不足はアルツハイマー病の発症リスクを高める 記憶力が落ちるだけではない。恐ろしいことに、「慢性的な睡眠不足は将来の認知症にもつながる」と白濱院長は警告する。 厚生労働省の推計によると、2012年の時点で認知症患者は約462万人いて、65歳以上の高齢者の15%を占める。2025年には700万人に達すると予想されている。 認知症には「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」などもあるが、圧倒的に多いのはアルツハイマー病だ。これは「β(ベータ)アミロイド」(アミロイドベータ)というたんぱく質が脳にたまって、脳の神経細胞を破壊することで起こる。 今のところ、なぜβアミロイドがたまるのかは分かっていない。そのため、アルツハイマー病の確実な治療法もないとされてきた。 しかし、予防する方法がまったくないわけではない。 「たまったβアミロイドは睡眠中に処理されます。年をとるとメラトニンというホルモンの分泌が減り、眠りが浅くなるため、βアミロイドがたまりやすくなる。日中に増えたβアミロイドを消すためには6時間半以上の睡眠が必要です」(白濱院長) それ以下しか眠らない日が続くと、たまったβアミロイドを処理しきれない。返せない借金のように、どんどんβアミロイドが増えていき、アルツハイマー病を発症する危険性が高まるというわけだ。 実際、「睡眠時間が短い人はアルツハイマー病の発症率が高いことが分かっている」と白濱院長。2015年には、脳内にβアミロイドが増えると睡眠の質が悪くなり、さらにβアミロイドがたまりやすくなる悪循環を引き起こすことを示唆する研究結果も発表されている(Nat Neurosci. 2015 Jul;18(7):1051-7)。 睡眠不足でたまる脳内物質が記憶力減退の正体だった 適度な昼寝が認知症リスクを激減させる! 30分程度の昼寝で発症リスクは5分の1に! とはいえ、激務に追われるビジネスパーソンには「6時間半の睡眠」をコンスタントに取るのが難しい人も少なくないだろう。 そういう人は、わずかな空き時間を見つけて「昼寝」で補おう。この連載でも何度か取り上げたように、10分か20分の昼寝で脳の疲れは想像以上に取れる。 昼寝にはアルツハイマー病の予防効果があることも確認されている。国立精神・神経医療研究センターの調査によれば、「30分程度の定期的な昼寝」の習慣はアルツハイマー病のリスクを20%にまで減らすという。 ただし、1時間以上の長い昼寝は逆効果だ。 「アルツハイマー病の患者は3時間くらい昼寝している人が多い。たくさん眠ればそれだけβアミロイドが減りそうな気もしますが、おそらく長時間の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼすのでしょう」と白濱院長は推測する。 基本は毎日6時間半以上眠ること。睡眠不足のときは短時間の昼寝で補う。バリバリ仕事をするとともに、将来のアルツハイマー病を防ぐためにも、しっかり睡眠を取ることを心がけてもらいたい。 白濱龍太郎(しらはま りゅうたろう)さん RESM(リズム)新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院勤務を経て、2013年より現職。日本睡眠学会認定医。丸八真綿研究センター所長。著書に『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(アスコム)、『図解 睡眠時無呼吸症候群を治す! 最新治療と正しい知識』(日東書院本社)など。 日経新聞よりコメント; 昨年の10月から更新していませんが、読者数はあまり減らずに推移しているので、閉鎖もしないで 今日まで来てしまいました。 年も改まって、もう1月下旬です。 自分のまとめたものを書きたいのですが、なかなか簡単にはできません。 本当に、作家は優れた才能の持ち主だと思います。 昨日、東京で開催されたNOVARTIS NEURO SCIENSE FORUMに出席してきました。 神経内科で代表的な疾患であるアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)のテーマの研究会でした。 アルツハイマー病、パーキンソン病は、進行予防には運動・リハビリが大事で、睡眠の質も大切であることは 上記の内容からも理解されるかと思われます。
Jan 25, 2016
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提供元:HealthDay News 昔から「ニンジンは眼によい」と言われてきたが、最新の研究がそれを裏づけることになった。米ハーバード大学公衆衛生学部(ボストン)大学院生のJoanne (Juan) Wu氏らの研究で、カロテノイドと呼ばれる色素が、加齢黄斑変性(AMD)という眼疾患の予防に役立つ可能性が示唆された。この色素はニンジンや赤パプリカでは赤色やオレンジ色、ホウレンソウやブロッコリーでは濃緑色を呈する。 AMDは、特に高齢者では視力低下の最も一般的な原因の1つ。Wu氏らは1984年または1986年から2010年まで、50歳以上の女性6万3,000人超、男性約3万9,000人を追跡した健康調査のデータを検討した。対象者は全員、看護師か医療従事者だった。試験期間中、対象者の約2.5%が中等度または高度のAMDを発症した。 ルテインおよびゼアキサンチンというカロテノイドの摂取量が最も多かった群では、最も少なかった群に比べ、高度AMDリスクが40%低かった。ルテインは卵や色の濃い葉野菜、ゼアキサンチンはトウモロコシや黄パプリカなどに含まれることが特徴で、いずれの成分も眼の黄斑に集中的に存在し、酸素や光による損傷を予防すると考えられている。 Wu氏は、「βクリプトキサンチン、αカロテン、βカロテンなど他のカロテノイドも予防効果をもつ可能性がある」と話す。これらの摂取量が最も多かった群では高度AMDリスクが25~35%低かった。ただし、カロテノイドと中等度AMDには関連性は認められなかった。 コメント:加齢黄斑変性(AMD)にはニンジンに多く含まれているカロテノイドと呼ばれる色素が役立つらしい。最近は食養とも言いますが、食べ物から疾患予防に注意されています。例えば、骨粗鬆症にゴマがカルシウム、マグネシウムを多く含んでいるので、よいらしい。確かに、食べ物で未病のまま健康でいられるなら、運動、栄養に注意していった方がよいですね。高齢化社会では、自分で健康を守られることは心がけていきたいものです。
Oct 23, 2015
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片頭痛は心血管疾患、とくに脂質異常症のリスク増加と関連していることが報告されているが、これまで片頭痛の重症度と血清脂質との関係を調べた研究はなかった。イタリア・G.D'Annunzio UniversityのClaudio Tana氏らは、小規模な後ろ向き研究において、総コレステロールおよびLDL-コレステロール値が、片頭痛の頻度および強度と有意な正の関連があることを明らかにした。また、片頭痛予防薬による治療後に、これら血清脂質値が有意に減少していることを初めて明らかにした。著者は「本研究は予備的研究であり、今後は前向き比較試験によって確認されなければならない」とまとめている。Pain Practice誌2015年9月号(オンライン版2014年7月10日号)の掲載報告。 研究グループは、片頭痛患者52例(前兆あり17例、前兆なし36例)を対象に、片頭痛予防薬による3ヵ月間の治療前後の、片頭痛重症度と血清脂質との関連について評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・片頭痛発作が月8回以上の高頻度群(HF群)および強度が数値的評価スケール(NRS)で5以上の重度群(HI群)では、月8回未満の低頻度群(LF群)およびNRSが5未満の軽度群(LI群)と比較して、総コレステロール(TC)およびLDL-コレステロール(LDL-C)がいずれも有意に高値であった[TC:HF群 vs.LF群(p<0.0001)、HI群 vs.LI群(p<0.0001)/LDL-C:どちらもp<0.0001]。 ・治療による片頭痛発作の頻度および強度の有意な低下は、TCおよびLDL-Cの有意な減少と関連していた(p<0.001)。 ・片頭痛発作の頻度および強度と、血清脂質との間には、直接的な線形相関が認められた(TCと頻度、TCと強度、LDL-Cと頻度、およびLDL-Cと強度との相関はいずれもp<0.0001)。 ・前兆の有無では、評価パラメータに差はなかった。 (コメント)片頭痛の発作頻度、強度が血清脂質と相関している可能性があるという。それなら、脂質異常症の治療も片頭痛の予防に関係するかもしれませんね。生活習慣病は治療しておくことに異論はありませんが、どの程度の関連があるのかは不明です。 この10月1日で当院も開院10周年を迎えることができました。思えば、開院する頃から記録してきたこのブログも10年目を過ぎたのですね、 最近は多忙になってから更新もしていませんでしたが、また備忘録にもなるので時々更新したいと思います。
Oct 20, 2015
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【今回の回答者】三宅 康史(昭和大学医学部救急医学講座教授/昭和大学病院救命救急センター長) 熱中症は,地球温暖化,高齢者の増加,マスコミ・医療界を含めた認識の高まりにより,注目を浴びるようになりました。予防が大切であること,早期対処で重症化を軽減できることを念頭に置いて,この夏の熱中症患者を一人でも減らしましょう。 ■FAQ1 そもそも屋内に居る高齢者がなぜ熱中症になるのでしょうか? 熱中症には2種類あることを確認しましょう。一つは元気な人がスポーツや肉体労働中に急激に発症する労作性熱中症で,もう一つは日常生活中,それも半数は屋内で起き,小児や高齢者に多く見られる非労作性(古典的)熱中症です。この2つは発症までの経過,危険因子,予後などが全く異なります。 まずは発症形態から,どちらのタイプの熱中症かを見極めます。高齢者でも元気な方が畑仕事やジョギング中に発症したのであれば,労作性熱中症です。一方の非労作性熱中症は1999年のシカゴ,2003年のフランス,2009年のアデレードで起きた熱波による大量発生が典型例です。日本でも熱波(猛暑日と熱帯夜が数日以上連続)の到来後,数日たって高齢者が次々と体調を崩して救急搬送され,災害ともいえる規模で発生する危険性があります。犠牲者が多く出るのもこちらのタイプです。 高齢者は,急に気温が上がっても家の中で過ごしていれば,その日に熱中症になることはあまり多くありません。ただ,気温上昇に伴い室温が徐々に上がり,夜間も室温が下がらなくなってくると,3-4日目から食欲低下とともに元気がなくなり,脱水の進行,電解質の異常,低栄養,持病の悪化,新たな感染症の併発などが起き,最後は複合的な熱中症に陥り,「布団から出てこない」「返事をしなくなった」と救急車が呼ばれる事態になるのです。高齢者は暑さを不快に感じないために,暑熱環境下で長時間過ごしてしまい,重症化して初めて気付くという流れです。 医療機関に搬送されたときには,高体温や意識障害,粘膜の乾燥,脱水(Ht値上昇,低栄養にもかかわらずAlb高値),急性腎障害(乏尿とBUN値,Cr値上昇),感染症(肺炎,尿路感染症),電解質異常(高Na・高K血症),褥瘡などを認めます。高齢者の場合,心機能への負担や元来のADL,集中治療の適応,長期予後予測を考え,一つひとつの症状に対応していくことになります。治療期間が長くなると,環境変化・長期臥床に伴う認知機能,ADLの低下を防止しつつ,今後の方針について家族やケースワーカーと話し合っていく必要も出てきます。 持病(心不全,高血圧,糖尿病,低栄養,担癌状態,脳卒中後遺症,認知症,精神疾患など)や独居,老老介護,経済的困窮,地域での孤立といった身体的・社会的問題は熱中症の明確な危険因子となるのです1)。 Answer…高齢者は熱中症弱者です。暑熱環境でも不快に感じず長く過ごしてしまうことで重症化する危険性があります。日中と夜間に高温の日が続いた最初の数日間は特に注意が必要です。 ■FAQ2 在宅介護を受けている高齢者の熱中症予防のために,日頃から気を付けるべきことはどのようなことでしょうか。 熱中症は予防可能な病気です。早期発見・早期治療も大切ですが,まずは「予防」に全精力を注ぎましょう。秋から春までは,特殊な状況を除き熱中症は発生しません。つまり,暑くなければ熱中症にはならないということです。訪問看護・介護に携わる方は,訪問時の状態だけでなく,今後の天気,夜間の生活環境(特に寝室の室温)などにも気を配り,早め早めの対応をする必要があります。 エアコンは熱中症予防の必須アイテムです。特に熱波の間は,昼夜を問わずエアコンでしっかり室温管理を行うことが重要になります。最近は室温と湿度を指示通り適切に管理してくれる高機能なものもありますが,高齢者自身がその機能を生かすのはたいてい至難の業です。体に直接冷風を当てない,冷やしすぎない,室内の空気を攪拌して足元ばかり冷えないようにする,乾燥に注意してこまめに水分補給をする,夜間も窓を閉めて寝るならばエアコンを使用する(例えば就寝数時間後にスイッチが入り,2時間で切れて,朝日が出るころに再びスイッチが入るよう設定する)など,室温を乱高下させず,体に負担の少ない室温に管理するお手伝いが,看護・介護をする側にも求められます。 これに加えて,水分,塩分,栄養の補給は食事が中心となるため,三度の食事をきちんと取れているかを確認してください。食欲が落ちているのであれば,経腸栄養剤,経口補水液やスポーツドリンクで適宜補給する必要があります。ただ,高齢で高血圧や心不全の方は,塩分制限,水分制限を受けていることがあるため,この場合には過量摂取に注意が必要です。かかりつけの医師と相談しつつ,血圧,体重変化,心不全徴候に留意した細かな調整を行わなくてはなりません。 Answer…猛暑の季節は長くても1か月です。この間,暑さを避け,水分,栄養補給を怠らず,常に周囲が気を配りましょう。高齢者の最も長く居る環境(居間と寝室)の変化を把握し,エアコンを上手に使ってあげてください。 ■FAQ3 熱中症を疑う症状にはどのようなものがありますか? 対処法とあわせて教えてください。 どんなに注意をしていても熱中症になる危険性はあります。熱中症を疑う症状は何でもよいと思いますが,初期症状(熱中症I度)としては,大量の発汗,筋肉の痛み,こむら返り,手足のしびれ,脱力,一瞬のぼーっとする感じなどが挙げられます。II度に進めば頭痛や吐き気,強い倦怠感,ごく軽い意識障害などが認められ,さらに重症(III度:医師が鑑別)になると,けいれん,明らかな意識障害,採血で確認される肝障害,腎障害,播種性血管内凝固症候群(DIC)などが起こります。 日常生活における高齢者の熱中症はかなり進行してしまってから気付くことが多いため,前述したようにいろいろな病態が重なります。夏季に,食欲低下,元気がない,体重減少などの症状があれば熱中症を鑑別診断の一つに入れましょう。必要に応じて採血を行い,臓器障害の有無を確認するとともに,脱水や感染症のチェックをしてください。他の病態がかぶることもありますが,しばらく続いた暑さとそれに伴う脱水症が,誘因として関与している場合は多いでしょう。 夏の体調不良はまず熱中症を疑うこと。水分を自分で飲めるかどうか,改善するかどうかを付き添って確かめる。高齢者の場合は遠慮せずに救急車を呼んで医療機関で診察を受けるよう勧めましょう。 ■もう一言 昔と比べ,夏季は高齢者にとって危険な季節になっています。しかし,高齢者は自分からエアコンのスイッチを入れようとはしません。昼間最も過ごす時間の多い部屋の目立つ場所に,温度計を置いてもらい,本人が暑さを感じていなくても,室温が30度を超えていたらエアコンを入れるよう助言してください。三宅 康史 1985年東医歯大卒。2012年より現職。救急指導医,脳神経外科・集中治療・外傷専門医。日本救急医学会「熱中症に関する委員会」委員長,日本臨床救急医学会「自殺企図者のケアに関する検討委員会」委員長などを務める。 コメント:熱中症は最近は在宅の高齢者に多く発症しています。もう一度、在宅での熱中症の対処を勉強したいと思い、解り易い質問形式の説明がありましたので引用させて頂きました。
Jul 30, 2015
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各地で蒸し暑い日が続く中、熱中症で病院に運ばれる人も増えている。熱中症は、気温が高いなどの環境下で、体温調節の機能がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうことで起こる。気温の上がる夏に起こりやすいが、温度だけでなく湿度も影響する。熱中症の事故は、適切な予防措置を行えば防げる。 糖尿病のある人は熱中症を発症しやすい 熱中症の救急搬送者数は激増している。2009年は1万人余りだったが、記録的な猛暑となった2010年には5万人超に増え、同じく猛暑が続いた2013年には6万人近くに上昇した。年齢別では65歳以上が半数を占めた。 熱中症は、高温多湿な環境で、周りの温度に体が対応することができず、体内の水分や塩分(ナトリウム)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かなくなると発症する。体温が上がり、めまいや大量の汗、頭痛、吐き気、食欲不振、体のだるさなどを引き起こし、重症になると意識を失うこともある。 昔は、昼間は暑くても夜は気温が下がっていたが、近年の都市部では、最高気温が30度以上の「真夏日」や、最低気温が25度以上の「熱帯夜」が、30年前に比べ、ほぼ2倍に増えている。高い気温が連続する時間が増加しているため、熱中症を起こすリスクは高まっている。 熱中症にかかりやすいのは高齢者、糖尿病など慢性疾患のある人だ。特に糖尿病の人は、高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があるので注意が必要だ。 そのため、体内の水分不足(脱水症状)を招いて熱中症を発症しやすくなる。熱中症を予防するためにはまず必要なのは、血糖コントロールを改善することだ。 熱中症の主な症状 大量の発汗やめまいは熱中症の症状 日本救急医学会では、熱中症の症状を、重症度によってI度からIII度までの三つに区分することを推奨している。熱中症は急速に症状が進行し、重症化しますので、軽症の段階で早めに異常に気づき、応急処置をすることが重要だ。 熱中症が疑われる人を見かけたときは 自覚症状のあるI度の軽症である場合は、すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどが効いている室内など涼しい場所へ移す。 衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、またぬれタオルをあてて扇いだりするなどして、体から熱を放散させ冷やす。 自分の力で水分の摂取ができなくなったり、意識障害がみられるIII度の重症である場合は、すぐに病院に搬送する。 熱中症を予防するために 基本は「水分補給」をこまめにすること もし熱中症かなと思ったら、早めに対処することが重要だ。体の中の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となる。 「のどが渇く」のは「体内の水分が不足している」というサイン。汗と尿の量がいつもより少なくなったり、尿の色がいつもより濃くなったら要注意だ。 運動中や運動後に必要な水分を摂取するだけでなく、運動の前にも水分補給をこころがけたい。暑くて湿度が高い環境では、喉の渇きを感じてから水分を補給しても間にあわない場合がある。 外出する際は帽子をかぶるなどして直射日光を避け、体調が悪いときは無理をしないようにしよう。汗を吸収してくれる吸水性に優れた素材の服や下着を着ると効果的だ。また、えり元をなるべくゆるめて、熱気や汗が出ていきやすいように通気しよう。 食事をきちんととれていれば、日常で必要な塩分を補充できているので、特に塩分をとる必要はないが、運動などで大量に汗をかいたり脱水気味のときには、低カロリーのスポーツドリンクや食塩を少し加えた水で塩分を補給する必要がある。 夜寝ている間は水分補給をしないので、寝る前や、起きた後にはコップ1杯程度の水分をとるようにしよう。 熱中症を予防するために エアコンや扇風機を上手に活用する エアコンや扇風機も上手に使おう。節電は大事だが、熱中症になってしまっては元も子もない。エアコンは、自動調節、就寝中用の機能やタイマーなどを上手に利用するとよいだろう。 体感に頼らず、温度計、湿度計で温度や湿度を確認し、室温は28℃以下に、湿度は70%以下を目安に調整する。 高齢者や神経障害のある人は発汗が乏しくなり、体温調節が上手にできないことがある。また、加齢とともに、汗をかく量が減少する。汗が皮膚から蒸発するときに熱が奪われて体温が下がるため、汗の量が減ると、体温調節がしにくくなる。 熱中症を予防するために3 環境省が公開する暑さ指数(WBGT)を活用 危険な場合は外出をなるべく避け、涼しい室内に移動することが勧められる。熱中症は、「暑さを避ける」、「部屋を涼しくする」、「休憩をとる」、「水分をとる」、「栄養をとる」で防げる気象災害だ。 屋外での運動は、気温が35℃以上の「厳重警戒」の場合は中止する。外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 もし熱中症かなと思ったら、早めに対処することが重要だ。大量の汗をかいたりめまいを感じたりした際は、涼しい場所に移って体を冷やし、水分や塩分を取る。自分で水分・塩分を取れないほど体がだるければ、すぐ医療機関を受診しよう。 熱中症を予防するために 低ナトリウム血症に注意 運動時に水やスポーツドリンクにより水分を過剰に摂取すると、「低ナトリウム血症」(EAH)と呼ばれる状態に陥るおれそがあるので注意が必要だ。 低ナトリウム血症は、汗とともにナトリウム(塩分)が失われ、血液中のナトリウム濃度が極度に低下した状態。頭痛や吐き気、食欲不振などの症状があり、重症化すると昏睡や痙攣などが現れることもある。 脱水を防ぐために適度な水分補給は必要だが、スポーツ飲料は高カロリーで、ナトリウム(塩分)の濃度が低いものが多いので注意が必要だ。コメント:地球温暖化で、毎年、日本各地の気候も最高温度を更新しています。温暖化に歯止めをかけるために、各国はエネルギー消費をいかに少なくできるか、話合って強いリーダーシップを持って規制していかないと子供たちの未来が厳しいことになります。熱中症を予防しても、根本的な解決にはならないと思われます。しかし、今、自分たちにできることは、予防と脱水対策で、救急外来を受診しなくてできるOS-1などの水分補給を心がげておくことでしょうか。
Jul 27, 2015
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糖尿病の人は、そうでない人に比べ、がんを発症する危険性が高い。発症リスクは、膵臓がんで1.9倍、肝臓がんで2倍、大腸がんで1.4倍に上昇する。 血糖自己測定を行っている患者は、穿刺して微量の血液を採取するのに慣れている。その血液が、がん診断に役立つ日が近いうちに来る可能性がある。 進行中のプロジェクトとは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が国立がん研究センターや東レ、東芝など20機関以上と共同で実施している「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」だ。 がんを克服するために、早期発見が重要だ。プロジェクトでは、がん細胞が分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目。13種類のがんなどに特徴的なマイクロRNAを組み合わせることで、従来の診断方法では見逃されていたがんを早期発見し、がんの種類も特定できるようにする技術を開発している。 2015年夏に乳がんと大腸がんの早期診断の試みを開始し、2018年度末までに完成させることを目指している。 新しい診断法は、従来とまったく異なる原理にもとづいている。がん組織は「エクソソーム」という直径1万分の1mm以下の小胞を血液などに出しており、中にそれぞれ特有のマイクロRNAを含んでいる。 エクソソームは、細胞と細胞の間で情報を伝える働きをし、がん細胞の周囲にある正常な細胞と相互に影響し合い、がんの進行に大きく関係している。 エクソソーム中のマイクロRNAは18~25塩基ほどの小さなRNA。がん特有のマイクロRNAは、がんの転移や病態変化などに関与しており、新しい疾病マーカーとして有望視されている。 国立がん研究センターが患者の同意を得て収集した7万検体という膨大な血液試料から特異的なマイクロRNAを探し出し、マイクロRNAデータベースを構築することを計画している。 現状で解析がもっとも先行しているのは乳がんだ。1,000例以上を解析済みで、マイクロRNAとの関係がかなり明確に分かってきた。マイクロRNAを利用して99%以上の感度と特異度で乳がんを診断でき、直径3mmの乳がんも診断できるという。 世界中で研究が進められているが、患者の膨大な血液試料と照合して、実用的ながんマーカーを探すのはこのプロジェクトが世界ではじめてとなる。 「マイクロRNAは今までにないがんマーカーで、感度と特異性が高い。できる限り早く使えるようにしたい。がんのマイクロRNAは人種を超えて共通なので、プロジェクトの成果は世界に発信できる」と、プロジェクトの研究開発責任者を務める国立がん研究センター研究所分子標的研究グループ分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏は話している。コメント:体液中マイクロRNA測定技術基盤開発で、乳がんと大腸がんの早期診断の試みを開始し、2018年度末までに完成させるらしい。膨大な血液試料から特異的なマイクロRNAを探し出し、マイクロRNAデータベースを構築する方法で、乳がんの1,000例以上を解析済みで、マイクロRNAとの関係がかなり明確に分かってきた。マイクロRNAを利用して99%以上の感度と特異度で乳がんを診断でき、直径3mmの乳がんも診断できるという。同様な方法で、大腸がんの早期診断もできるという夢の早期診断技術の進歩です。
Jun 11, 2015
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2015年3月31日05時00分 心浮き立つ春は、省察に引き戻される季節でもある。忘れられないこと、忘れてならないことの多い3月の言葉から▼渡辺英莉(えり)さん(22)の宮城県七ケ浜(しちがはま)町の家は津波に流された。祖母と逃げる途中、波に足を取られ、手を離してしまった。その悔いは今も残る。「この痛み、一生消えてほしくないんです。ばあちゃんとずっと一緒にいる感覚というか……」▼大阪市の應典院(おうてんいん)は、生きづらさを抱えた若者が集う寺。オウム真理教の地下鉄サリン事件から20年を前に秋田光彦住職(59)が語った。「若者がどう転化するかは、問いかけたり悩んだりできる『余白』の場が社会にあるかどうかで左右される」▼春成幸男(はるなりゆきお)さん(89)は、火柱の噴き上がる下町に消防車で向かった。70年前の東京大空襲の日。遺体を見ても「何も感じない。空襲に慣れてしまって、もう、こういうもんだと。ただ、この戦争には勝てない。そうはっきり思っていました」▼ドイツはナチスの時代ときちんと向き合った――。来日したメルケル首相は言い切った。安倍首相と並んだ会見でも「過去の総括は和解のための前提になっている」▼6年生は1人だけ。原発事故で一時、全村避難した福島県川内村で卒業式があった。気詰まりな1対1の授業を先崎(せんざき)里美先生(38)のひと言が和らげてくれた。「お互いがんばるの、もうやめっぺ」。秋元千果(ちか)さん(12)は式で語った。「1人だけど、1人ではない。淋(さび)しいけれど、かわいそうではない」。希望にあふれた旅立ちだ。(朝日新聞から)コメント: コメント;春の訪れと共に、いろんな過去の出来事が思い出されるものです。私の診ていた患者さんも、昨年から今年の春にかけて何人かの方が亡くなられました。神経難病の脊髄小脳変性症の方は、前に勤務していた病院から遺伝性のためお父さんも看取り、今回は本人が肺炎で亡くなられました。 他にもS.60年頃の発症したパーキンソン病で、H.10年頃から勤務していた病院で通院していて、当院の開院以来、約17年間診療していた患者さんも、誤嚥性肺炎の悪化で亡くなられました。この患者さんは、ここ数年は訪問診療が主でした。神経難病の疾患は、このように肺炎で亡くなられることが圧倒的に多いのです。
Mar 31, 2015
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千葉大付属病院和漢診療科・並木診療科長 全国各地で猛威を振るうインフルエンザの予防へ、古来から風邪予防に効能があるとされる漢方の生薬「桂皮(シナモン)」の成分を染み込ませたマスクを千葉大付属病院和漢診療科の並木隆雄診療科長(57)が開発し、実用・商品化に向けた臨床試験を行っている。「天然由来の成分なので安全。新型インフルエンザにも対応できそう」と並木科長は自信をみせる。 開発した「シナモン入りマスク」は、シナモンから抽出した成分「シナモンアルデヒド」などを染み込ませたガーゼを挟んだもの。動物実験でシナモンのインフルエンザ予防効果を確認した、元同僚の林克美助教=当時=の2007年の論文が開発のきっかけ。 インフルエンザにかかったマウスを使った実験では、シナモンを吸引・服用しなかったマウスの8割が死亡したのに対し、吸引させたマウスの8割が生き延びた。 並木診療科長は、論文を参考に、約3年かけて人間に効果のある吸引量を計算し、マスクの完成にこぎ着けた。マスクを着用して、約4時間でウイルスの力が弱まるという。 和漢診療科は、東洋・西洋両医学の長所を取り入れた医療を行っており、今回の「漢方」と「マスク」の組み合わせは、「まさに当科ならではの取り組みでインフルエンザ予防に挑戦している形」(並木診療科長)だ。 実験で、シナモンは、近年流行した主な四つの型のインフルエンザウイルスに対する効能が認められた。「それぞれの型ごとにワクチンを作るより低コストで実用性が高い。新型インフルエンザへも対応できる」(並木診療科長)のも強みだ。 目標は商品化。先月から4週間着用してもらい、副作用や着用感を検討する臨床試験を始めており、2月下旬まで随時参加希望者を募っている。 問い合わせは同大大学院医学研究院和漢診療学医局、電話043(222)7171 コメント:興味ある実験です。インフルエンザワクチンは流行を予測してワクチンを作っているために、その予想が外れた年は効果が低いことも知られていますが、健康な成人ではおよそ60%程度の発症を防ぐ効果があると考えられています。ですから、予防できればその方がよいと考えます。
Feb 10, 2015
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2014年9月19日、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬アリセプト(一般名:ドネペジル)について、レビー小体型認知症(DLB)の効能・効果が承認された。横浜市立大学名誉教授の小阪 憲司氏と、関東中央病院 神経内科部長の織茂智之氏が講演した。世界で初めてDLB例を報告し、DLB家族を支える会の顧問でもある小阪氏は、「DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみも強く介護者の苦労も多い」と述べ、患者さんや介護者のQOLを高めるため、早期診断・早期治療の重要性を強調した。DLBは誤診されやすく、診断にはDLBの特徴を知ることが必要である。 レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違い 剖検例の検討では、認知症例のうちDLBが12~40%を占める。わが国の久山町研究の剖検例ではDLBが41.4%と報告されており、従来認識されているより患者数は多いと考えられる。 織茂氏はまず、ADとは異なるDLBの特徴として、記憶障害の発症前に多くの身体症状が発現することを挙げた。90例のprobable DLB患者での検討では、記憶障害発症の9.3年前から便秘が、4.8年前からうつが、4.5年前からレム睡眠行動異常症が発現していたと報告されている。 DLBの症状の特徴として、以下の5つが挙げられる。 1)幻視を主体とする幻覚 2)パーキンソン症状(手足が震える・四肢が硬くなる・動作が遅くなる・歩行障害) ADでは発現しないため、これらの症状が発現すればDLBを疑う。 3)認知機能の変動が大きい 4)自律神経症状(血圧の変動・排尿障害・消化管運動障害・発汗障害など) 消化管運動障害としては、便秘のほか、時にイレウスを起こす危険がある。発汗障害としては、発汗減少や発汗過多が起こり、うつ熱、体温が外気温に左右されやすいなどがある。 5)レム睡眠行動異常症 DLBでは病早期からみられるのに対し、ADではまれである。 早期診断する努力を! 織茂氏は、DLBの臨床診断基準(CDLBガイドライン)における重要な点として、まず、必須症状である進行性認知機能障害について、病初期には記憶障害が必ずしも起こらないことを強調した。 診断基準では、3つの中核症状(認知機能障害の変動・繰り返す幻視・特発性パーキンソン症状)のうち2つあればprobable DLBと診断される。 また、中核症状が1つでも、レム睡眠行動異常症、抗精神病薬への重篤な過敏性などの示唆的所見が1つ以上あればprobable DLBと診断される。 画像診断における特徴としては、脳MRI画像においてDLBでの海馬の萎縮はADほどではないという。また、MIBG心筋シンチグラフィにおいては、DLBは心臓が黒く写らないことからADとの鑑別が可能である。脳血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチグラフィにおいても、ADとの違いが観察される。 小阪氏は、DLBの診断のポイントとして、認知症の存在にとらわれすぎないこと、早期には認知症が目立たないことが多いこと、特有な幻視・レム睡眠行動異常症・パーキンソン症状に注目することを挙げた。そのうえで、軽度認知障害のレベルでDLBを発見する努力の必要性を指摘している。 レビー小体型認知症にはさまざまな治療が必要 DLBでは、認知機能障害のほか、BPSD、パーキンソン症状、血圧変動や排尿障害などの自律神経症状など、さまざまな症状がみられることから、それぞれに対して治療を行う。 そのうち、認知機能障害に対しては、ADと同様、アセチルコリンの減少を防ぐコリンエステラーゼ阻害薬が有効である。DLBでは、中隔核のアセチルコリン系の神経細胞数がADより減少しているという。 織茂氏は、DLBではさまざまな症状に対して適切な治療が必要であるとし、また、薬剤治療を開始するときは、過敏性を考慮して少量から始めるよう注意を促した。 コメント;外来で患者さんを診察していると、パーキンソン病、認知症の患者さんが多く、受診されるので、初期からレビー小体型認知症(DLD)と診断するのは稀で、治療中にパーキンソン病に認知症、幻覚症状が出現してくる患者さんは比較的よく見られます。しかし、その中で、DLBと臨床診断するのは実際は難しいと思っています。幻覚もDLBに特有なものなら、そうかなとは考えますが、抗パ剤が結構、幻覚の原因になっているからです。DLBと アルツハイマー型認知症(AD)との鑑別は比較的し易いように思われます。
Oct 16, 2014
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抑肝散が慢性蕁麻疹を抑制させるメカニズムについての調査を、九州大学の山村 和彦氏らが行った。 7種の生薬からなる漢方薬の抑肝散は神経症や不眠、小児の夜泣きに用いられる漢方薬で、近年、認知症などの精神・神経領域でも応用されている。目的:治療抵抗性の慢性蕁麻疹への抑肝散薬効メカニズムを検討 抑肝散は、アトピー性皮膚炎様の皮膚病変を有するNC/Ngaマウスにおいて、増悪の抑制に有用との報告がある。著者らは、治療抵抗性の慢性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬と抑肝散の併用投与を行い、その有用性を認めていたが、メカニズムは不明であった。 そこで、肥満細胞での抑肝散の薬効メカニズムを検討するため、山村氏らはin vitroにおいてラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)を用いて調査した。方法:in vitroにおいて肥満細胞への薬効メカニズムを調査 脱顆粒の指標として、β-ヘキソサミニダーゼと細胞内カルシウム濃度を測定した。サイトカイン(TNF-α、IL-4)測定はELISA法で細胞培養培地を用いて行われた。 上記に加え、遺伝子転写および免疫組織学的解析により、ヒト皮膚微小血管内皮細胞における細胞接着分子(ICAM-1、VCAM-1、E-selectin)やサイトカイン(IL-8)発現に対する抑肝散の効果を検討した。結果:炎症性サイトカインの放出を抑制 抑肝散はβ-ヘキソサミニダーゼ分泌、細胞内カルシウムの濃度上昇、TNF-αおよびICAM-1産生を抑制した。これらにより、抑肝散のいくつかの成分が重要なエフェクターとなっていることが示唆された。考察:肥満細胞に関連するアレルギー疾患に期待 蕁麻疹などの皮膚病変は、肥満細胞の脱顆粒によるヒスタミンを中心としたケミカルメディエーターと強く関連していることが知られている。 抑肝散は、脱顆粒やカルシウム濃度上昇といった肥満細胞の機能を抑制し、最終的には炎症性サイトカインの放出を抑制した。さらに、抑肝散はヒト皮膚微小血管内皮細胞のICAM-1の発現を抑制した。これらの結果より、抑肝散は肥満細胞に関連するアレルギー疾患に有用である可能性が示唆される。コメント;抑肝散は私もよく処方する漢方薬ですが、主に認知症の不穏症状、いらいら感などに対しての効果を期待していました。他にも不眠症にも効果がありますが、この研究では慢性蕁麻疹にも効果があるとの報告です。加味帰脾湯が老人性皮膚掻痒症に効果があるので、生薬・作用も似ており、抑肝散を使用してもよいように思われました。
Sep 10, 2014
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金大医薬保健研究域医学系の山田正仁教授(神経内科学)らの研究グループは15日、 緑茶をよく飲む人ほど、認知機能が低下しにくいとする研究成果を米科学誌に発表した。 60歳以上の高齢者について、緑茶を飲む頻度別に比較した結果、毎日1杯以上飲む人の 発症率は全く飲まない人と比べて約3分の1だった。メカニズムが解明されれば、有効な 認知症予防法につながると期待される。 研究は、七尾市中島町の住民が協力し、2007年から13年にかけて行われた。認知 機能が正常な60歳以上の723人について、緑茶を「全く飲まない」「週に1~6回飲 む」「毎日1杯以上飲む」の3グループに分け、継続的に認知機能検査や採血検査を実施 した。5年間を通し、最終的に490人を調べた。 この結果、認知症の発症や認知機能の低下がみられたのは、緑茶を飲む習慣がないグル ープでは138人中43人(31%)、毎日飲む習慣があるグループでは157人中18 人(11%)だった。 調査では、コーヒー、紅茶についても調べたが、飲む頻度と認知機能との関連は確認さ れなかった。 研究は、性別や年齢、既往歴など、認知症機能に関連する可能性がある緑茶以外の要素 を統計学的に排除して行われた。 山田教授は「緑茶に含まれるカテキンやミリセチンといったポリフェノール類に予防効 果がある可能性がある」と話している。 北国新聞記事より コメント:認知症の特効薬はまだまだ開発途中なので、進行予防の薬の開発が多いのです。発症が予防できれば、治療にも勝るかと思います。緑茶は、赤ワインなどに含まれるポリフェノールが多いことがよいのかもしれません。私も毎朝、診療前に緑茶を飲んでいますが、患者さんより早く認知症になってはいけないですからね。
May 16, 2014
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二次性進行型多発性硬化症(MS)患者に対し、シンバスタチンの高用量投与により、全脳萎縮率は約4割低下することが明らかにされた。英国・ロンドン大学のJeremy Chataway氏らが、140例の二次性進行型MS患者を対象に行った第II相臨床試験の結果で、忍容性、安全性も良好であり、第III相試験を進める根拠が得られたと報告した。二次性進行型MSについては満足いく治療法がなく障害を有しているのが現状である。シンバスタチンは血管性疾患に広く用いられており、安全性プロファイルに優れ、免疫調整や神経保護の特性を有していることが知られていた。Lancet誌オンライン版2014年3月18日号掲載の報告より。 シンバスタチン80mgを24ヵ月投与 Chataway氏らは2008年1月28日~2011年11月4日の間に、英国3ヵ所の神経科学センターを通じ、18~65歳の二次性進行型MS患者140例を対象に、二重盲検無作為化比較試験を行った。被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはシンバスタチン80mgを、もう一方にはプラセボをそれぞれ24ヵ月間投与した。被験者の平均年齢は51~52歳、女性の割合は69~70%だった。 主要アウトカムは、容積MRI検査による年換算全脳萎縮率だった。 シンバスタチン群とプラセボ群の年換算全脳萎縮率の差は-0.254ポイント その結果、年換算全脳萎縮率は、プラセボ群0.584%(標準偏差:0.498)に対し、シンバスタチン群は0.288%(同:0.521)と有意に低率だった。同萎縮率の補正後群間格差は-0.254ポイント(95%信頼区間:-0.422~-0.087、p=0.003)で、年換算43%の減少だった。 なお、重度有害事象の発生率は、プラセボ群で14例(20%)、シンバスタチン群で9例(13%)であり、両群で有意差はなかった。 これらの結果を踏まえて研究グループは、「第III相臨床試験の実施を支持するものだった」と結論づけた。 コメント:シンバスタチンは脂質異常症の治療薬です。この種の薬は、免疫学的作用もあるのか神経難病に効果があるとの報告が散見されます。脳萎縮を減少させる作用があるようなので、アルツハイマー病などにも効果があるとする脂質治療薬も報告されたりします。このような研究は、もう少し経過をみないと本当かどうかはわからないですね。
Apr 17, 2014
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腰痛患者において、疼痛強度と睡眠障害は双方向に関連し合っていることが、オーストラリア・シドニー大学のSaad M.Alsaadi氏らによる研究の結果、明らかになった。 その関連は、疼痛期間や、ベースライン時にうつや不安の症状があることとは独立していたが、睡眠の評価方法による違い(睡眠日誌かアームバンドによる評価か)に若干依存していたという。検討結果を踏まえて著者は、睡眠の改善を目的とした治療が疼痛の軽減につながるかどうかは、さらなる研究が必要であると述べている。Clinical Journal of Pain誌オンライン版2014年1月20日の掲載報告。 研究グループは、腰痛患者の疼痛強度と睡眠障害の関連を調べるとともに、疼痛の持続期間、うつや不安、睡眠の評価方法との関連についても調査することを目的とした。 対象は腰痛患者80例で、睡眠日誌に毎日睡眠の状況と腰痛の疼痛強度について記入してもらった(疼痛評価は1日2回)。80例のうち50例では、さらに電子装置(アームバンド)を装着してもらい7日間連続して睡眠を測定した。 試験開始時に、DASS(Depression AnxietyStress Scale)-21を用いて、うつおよび不安の症状を評価した。 主な結果は以下のとおり。・一般化推定方程式を用いた分析の結果、質の悪い睡眠、入眠困難(睡眠日誌による評価)、入眠後の覚醒、低い睡眠効率(睡眠日誌およびアームバンドによる評価)の後は、日中の疼痛強度が高かった。・疼痛強度がより高い日の夜は、睡眠の質の低下、睡眠潜時の増加(睡眠日誌による評価)、入眠後の覚醒(睡眠日誌およびアームバンドによる評価)、睡眠効率の低下(アームバンドによる評価)が認められた。・疼痛強度と睡眠との関連は、疼痛の持続期間、試験開始時のうつや不安と独立していたが、睡眠の評価方法(睡眠日誌またはアームバンド)に若干依存していた。 (コメント)腰痛はほとんどの人が経験する疼痛で、整形外科的な検査で異常が確診できるのはごく僅かで、ストレスなどから起こることが多いと言われています。今回は睡眠障害との関連を分析したものです。私のクリニックでも、遠方から腰痛が高度のため、数年間も仕事ができず、整形外科にて腰椎脊柱管狭窄症の診断で、手術も受けた患者さんが、まだ疼痛が強く最後の希望を持って受診されました。この患者さんに睡眠作用のある抗うつ剤と、軽い抗けいれん剤の処方で、劇的に効果がみられました。そのような患者さんを数人経験しています。患者さんから感謝されることは、医者冥利につきますね。
Feb 19, 2014
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視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica、以下NMO)において、高頻度に発現する脳幹症状は嘔吐としゃっくりであり、これら脳幹症状の有病率が白人以外の人種で高かったことが、フランス・ストラスブール大学病院のL. Kremer氏らによって報告された。Multiple sclerosis誌オンライン版2013年10月7日掲載の報告。 NMOは、脊髄や視神経の病変を特徴とする中枢神経系の重篤な自己免疫疾患であり、近年、脳幹症状が出現することが報告されている。 本研究は、2006 Wingerchuk基準によりNMOと診断された258例を対象に行った前向き多施設共同研究である。目的は、NMOの患者群を人種や抗アクアポリン4抗体の血清学的状態に分け、脳幹症状の発現時期や、頻度、特徴を評価することである。 主な結果は以下のとおり:・脳幹症状は81例(31.4%)に認められた。・最も頻度が高かった症状は、嘔吐(33.1%)、しゃっくり(22.3%)などであり、続いて眼球運動障害(19.8%)、掻痒(12.4%)、その他、聴力損失(2.5%)、顔面神経麻痺(2.5%)、めまい、前庭性運動失調(それぞれ1.7%)、三叉神経痛(2.5%)、他の脳神経徴候(3.3%)であった。・44例の患者(54.3%)では、これらの症状が初めに出現した症状であった。・これらの脳幹症状の有病率は、白人(26%)よりも白人以外の人種(36.6%)において有意に高く(p<0.05)、抗アクアポリン4抗体陰性患者(26%)よりも陽性患者(32.7%)のほうが高い傾向にあった(有意差なし)。コメント:視神経脊髄炎(NMO)は、治療上、多発性硬化症(MS)との鑑別が必要とされる疾患で、私も数件の患者さんを診療しています。専門的になりますが、自分用の記録として記載しておきます。抗アクアポリン4抗体が陽性で、MSと類似した症状を示しますが、βフェロンはむしろ症状を悪化することがあるので、鑑別が必要と考えてよいでしょう。昨日、40代の男性で、2週間前頃から四肢のしびれと歩行失調が起こり、某総合病院から診断のため、紹介頂きました。四肢腱反射の消失と、複視があり、軽度の眼球運動障害が認められ、ギラン・バレー症候群の亜型のFisher症候群が疑われると診断しました。某総合病院の紹介医と相談し、精査加療が可能な神経内科医のいる総合病院へ紹介させて頂きました。
Dec 7, 2013
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脳や脊髄などの運動神経細胞が死滅し、全身の筋肉が動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の新たな原因遺伝子を発見したと、東京大医学部の辻省次教授や国立精神・神経医療研究センター病院の高橋祐二神経内科医長らの国際研究チームが発表した。論文が10日付の米人類遺伝学会誌電子版に掲載された。 この遺伝子が作るたんぱく質「ErbB4」は、運動神経細胞の外部にある栄養物質から刺激を受け、細胞内の機能や筋肉との接合部の機能を維持する働きを活性化すると考えられる。遺伝性や非遺伝性の患者で、この遺伝子が変異し、働きが落ちているケースがあることが分かった。 辻教授は「ErbB4を刺激する薬を開発すれば、治療薬になるだろう」と話している。コメント: ALSの治療薬の開発には世界の研究者が凌ぎを削っています。ですから、遺伝子が作るたんぱく質「ErbB4」が見つかっても、遺伝性ALSには関連するかもしれませんが、非遺伝性のALSで、どれだけ関連するものかは、ErbB4を刺激する薬を作って、動物実験を行ってから、可能性があれば開発されて、臨床応用されるかもしれません。いづれにしても、iPS細胞の臨床応用など期待できるものが少しでも進歩するとよいと思います。
Nov 13, 2013
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脳の「アンチエイジング」に関心があるという人は多いだろう。できることならば、いつまでも若々しい脳を保ちたい。そう思うのは、人情というものである。 実際には、加齢に伴って、ある程度脳の働きがおとろえるのは仕方がない。その分、知識や経験が豊富になるし、人間関係も広がっていく。何でも自分でやろうとする必要はないのかもしれない。いつまでも10代、20代と同じ脳の働きを保とうとあがくこと自体に、無理があるといえるだろう。 その一方で、実年齢とともに脳の機能がどう変化するかは、その人の生活習慣にかなり影響される。日々の生活の中で、どれくらい脳をイキイキと使っているかということで、10年、20年経つうちに、同じ遺伝的因子を持っていても、脳の状態はずいぶんと変わってしまうのである。 ビールを飲むとドーパミンが出る? 脳を若く保つために何よりも必要なことは、新しいことに挑戦し続けることである。脳の報酬系における伝達物質、ドーパミンは、「うれしいこと」があった時に放出される。とりわけ、予想外の幸運があった時、自分ができないと思っていたことができた時に、ドーパミンが出る。つまり、「こうなるのではないか」という予測と、実際との「誤差」を、ドーパミンが表しているのである。 ドーパミンが放出されると、その前にやっていた行動の回路が強化される。これを、「強化学習」という。たとえば、ビールを飲んでおいしいと感じると、ビールを飲むという行動が強化される。これが、「ビールの強化学習」である! 誰かに会うと、ドーパミンが放出される。もっとその人に会いたくなる。これが、「恋愛の強化学習」である! 「アウェー」に挑戦することで活性化 予想外のことでドーパミンが放出されるということは、つまり、脳が自分にとっての「うれしいこと」のレパートリーを増やそうとしているということを意味する。自分が慣れ親しんだ「ホーム」だけでなく、まだ見知らぬ、どんなことが起こるかわからない「アウェー」の領域に挑戦することで、ドーパミンを中心とする報酬系を活性化することができるのだ。 ふり返れば、子どもの頃は、世界の殆どが「アウェー」だった。だからこそ、予想外のことがたくさん起こって、脳がイキイキと活動した。大人になると、次第に「ホーム」が増えてきて、「アウェー」に挑戦する機会が減ってきてしまう。このことが、大人の脳の元気がなくなる、根本的な原因の一つである。 脳のアンチエイジングに関心がある人は、大いに「アウェー」に挑戦して欲しい。新しい習い事をやるのも良い。外国語に挑戦したり、読んだことがないジャンルの本を読むのも効果的である。旅行に出かけて、その土地の珍しい食べものに舌鼓を打つのも一つのやり方。自分の脳に「予想外」のごほうびを与えることで、脳を若く保つことができるのである。◆茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)コメント:3ヶ月ぶりのブログ更新です。脳のアンチエイジングには、常に新しいことに挑戦するこが大事ということです。 年を取ったと感じるのは、いろんな事に感動しなくなることかと思われます。ドパミンの放出が減少したり、伝達が悪くなるとパーキンソン病の発症が起こるかもしれません。予防のためにも、姿勢、運動、歩行も大股で、歩く、キビキビと動くことを心がけましょう。私もまた初心に却って、ブログを更新していきますね。
Nov 7, 2013
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パーキンソン病(PD)患者は非PD患者と比べ骨折リスクが有意に高いことが、オランダ・ユトレヒト大学のS. Pouwels氏らが行った後向きコホート研究で明らかになった。PD患者では、一般的な骨折リスクとされる高齢者および女性のほかにも、最近の選択的セロトニン再取込み阻害薬または高用量抗精神病薬の使用歴、骨折歴、転倒、BMI低値、腎疾患がある場合は骨折リスクを評価することが望ましいと考えられる。Osteoporosis International誌オンライン版2013年2月22日掲載報告。 研究の目的は、新規発症PD患者の骨折リスクを治療、重症度、罹病期間および関連合併症で層別化し評価することであった。 英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用い、1987年から2011年の間にPDと初めて診断された4,687例を同定し、年齢、性別、出生年および診療所をマッチさせた非PD患者(対照群)と比較した。 主な結果は以下のとおり。・PD患者は対照群と比較して全骨折、骨粗鬆症性骨折および股関節骨折のいずれも骨折リスクが有意に増加した(全骨折 補正ハザード比(AHR):1.89、95%CI:1.67~2.14/骨粗鬆症性骨折 AHR:1.99、95%CI:1.72~2.30/股関節骨折 AHR:3.08、95%CI:2.43~3.89)。・骨折リスクは、骨折歴、転倒、BMI低値、腎疾患、抗うつ薬の使用および抗精神病薬の高用量使用により増加した。コメント:パーキンソン病の患者さんは、運動障害が主な症状ですが、他にも自律神経症状として、排尿障害、便秘などや、精神症状なども多くみられ、歩行障害が高度であっても、歩こうとする意欲があり、薬剤との関連もあるかもしれませんが、転倒も多いのが実情です。骨粗鬆症の治療もしていても、転倒すれば骨折は避けられないことが多いのです。私自身も何人かの患者さんで、大腿骨頚部骨折など経験しています。
Mar 13, 2013
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厚生労働省が6日に公表した2010年度の産業別の死因などの統計調査によると、医療・福祉関係の仕事に就いている女性が自殺で亡くなる割合は、全業種の中で最も高かった。一方、就業中の男性が自殺で亡くなる割合は、公務員などが最も高く、医療・福祉関係の就業者に高い傾向は見られなかった。 この調査では、同年度に死亡の届け出があった15歳以上の人の死因を、その就業状況や産業ごとに集計。それによると、亡くなった女性は57万3956人で、このうち職業に就いていたのは3万759人。その死因を見ると、「悪性新生物」が37.9%で最も多く、以下は「心疾患(高血圧性を除く)」が13.3%、「脳血管疾患」が11.3%、「肺炎」が5.3%、「不慮の事故」と「自殺」が共に4.8%などの順だった。 この中で、「医療、福祉」関係の業種で働いていたのは1604人で、その死因は「悪性新生物」が44.5%、「自殺」が11.4%などの順。産業別に見た「自殺」が死因の割合は、「医療、福祉」が最も高く、以下は公務員などの「公務」(9.9%)、「工業、採石業、砂利採取業」(7.7%)などと続いた。 一方、同年度に死亡届が出された男性は64万1816人で、このうち就業者は9万2032人。死因は「悪性新生物」が38.8%、「心疾患(高血圧性を除く)」が13.8%、「脳血管疾患」が8.7%、「自殺」が7.9%、「不慮の事故」が6.7%などだった。 「自殺」が死因となった割合を産業別に見ると、「公務」が16.6%で最も高く、以下は「複合サービス事業」(14.3%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(11.1%)、「建設業」(11.0%)などの順で、「医療、福祉」は8.7%。「医療、福祉」関係の業種で働いていて亡くなった男性2504人の死因として最も多かったのは、「悪性新生物」(38.7%)だった。 厚労省は5年に一度、この統計調査を行い、職業・産業と死亡などとの関連を調べている。前回の05年度の調査で、「医療、福祉」関係の業種で働いていた人の死因が「自殺」だった割合は、女性が10.8%、男性が8.0%。【佐藤貴彦】 提供:医療介護CBニュースコメント:昨日、自殺予防・うつ病の医療連携研修会があった。「うつ病の理解と連携の実際について」の演題で、精神科の先生から講演があり、続いて私が座長を仰せつかった「自殺予防・うつ病の医療連携について」で情報交換を行いました。うつ病は精神科の初診は少なく、内科全般に受診している患者さんが圧倒的に多いのは事実です。医療・福祉関係の就労女性に自殺が多い傾向があったという統計もあり、医療関係者は、これらの結果を踏まえて、周囲の同僚とも充分なコミュニケーションを取っていく必要があると思われました。
Mar 8, 2013
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【ボストン(米マサチューセッツ州)=中島達雄】米紙ニューヨーク・タイムズは18日、オバマ政権が人間の脳機能の全容解明を目指し、今後10年かけて政府と民間による新たな共同研究に取り組むことを計画中だと報じた。 早ければ3月に正式発表されるという。 脳神経ごとの役割を解明し、「脳の活動地図」を作るというプロジェクトで、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因究明、うつ病など精神疾患の治療法の開発、人工知能(AI)の発展につながることが期待されるという。人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)解読プロジェクトに次ぐ、大規模研究になるとみられる。 オバマ米大統領は12日の一般教書演説で、ヒトゲノム研究の経済効果について、「1ドルごとの投資に140ドルのリターンがあった」と紹介。その上で「現在は脳活動地図の作成が重要。1960年代の宇宙開発競争に匹敵する、高度な研究開発のために投資すべきだ」と訴えていた。 (記事提供:読売新聞)コメント:ノーベル賞の利根川さんは、今世紀は脳研究の時代だと言っておられたかと思います。米国でも、人間の脳機能の全容解明を目指すため、政府と民間による新たな共同研究に取り組む計画がされています。神経内科医としては、神経難病の原因究明の研究は大いに期待したいところですが、日本の研究者にも負けてもらいたくないものですね。iPS細胞の研究も全世界が競っています。日本のような資源がない国家は、科学研究で世界をリードしてほしいものです。
Feb 21, 2013
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アルツハイマー病の診断に有用とされるPET(陽電子断層撮影法)スキャンの利用について、このほど専門家らが指針を発行した。 脳のアミロイド斑はアルツハイマー病の特徴の1つと考えられており、PETでは生きている患者のアミロイドの存在を確認することができる。今回の指針によると、次のような患者には、PETスキャンの利用を検討すべきだという。 ・持続性または進行性で原因不明の記憶障害や混乱がみられる患者、または思考と記憶に関する標準的な検査で問題がみられる患者 ・アルツハイマー病と考えられるが、症状の現れ方が通常と異なる患者 ・65歳以下で進行性の認知症のみられる患者 一方、既にアルツハイマー病であることがわかっている65歳以上の人や、症状がみられない患者、診断を裏付ける医学的エビデンス(根拠)が少ない患者にはPETスキャンは適さないという。アミロイドの存在自体はアルツハイマー型認知症の診断基準には含まれず、患者の病歴や臨床検査と併用するツールの1つにすぎないと、指針では強調している。 米国核医学・分子イメージング学会(SNMMI)とアルツハイマー協会(AA)が共同で作成したこの指針は、「Alzheimer's & Dementia」オンライン版に1月28日掲載された。 米メディケア・メディケイドセンターが現在、このスキャンの費用を保険対象とするかどうかについて検討していることからも、この指針は特にタイムリーなものであると、著者の1人であるアルツハイマー協会のMaria Carrillo氏は述べている。PETスキャンには3,000~6,000ドル(約28万~56万円)以上の費用がかかる。 「アミロイドの画像検査は、不明確な症状がみられるとき、診断の確実さを向上させる目的に限って使用すべきである」とCarrillo氏は述べている。脳にアミロイド斑がみられなければ、医師は小梗塞(ラクナ梗塞)など、ほかの原因を探す必要がある。また、アルツハイマー病の有効な治療法はほとんどないが、患者は自分の疾患を知るだけでも安心でき、将来的な治療計画や、臨床試験への参加の可能性を検討する上でも有用であるという。 米マウント・サイナイ医科大学アルツハイマー病研究センター(ニューヨーク)のSam Gandy氏は、健康な「心配症」の人がスキャンを利用する問題が既に起こっていると指摘。今回の指針がそのような要求を抑止するものとなるかどうかはわからないと述べている。(healthday News) コメント:アルツハイマー病の診断には、病歴が大事であることは、衆知の通りですが、頭部CTか、MRI検査までは行います。患者数が多いので、PET検査を全てのアルツハイマー病疑いで行うことは医療経済的にも無駄かと思われます。その点では、妥当な指針かと考えられます。
Feb 14, 2013
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風しんが大流行の兆しを見せている。国立感染症研究所感染症情報センターによると、昨年1年間の患者報告数は2353人で、前年の6.3倍に上り、全数報告が始まった2008年以降で最多。今年に入っても流行は収まらず、1月20日までに154人の患者が報告されており、昨年の同時期の15人の10倍になっている。妊娠初期の女性が風しんにかかると、子どもが先天性心疾患や難聴などの障害を持って生まれる恐れがあり、厚生労働省では注意を呼び掛けている。 「先天性風しん症候群」と総称される障害を持って子どもが生まれた例は、昨年に5例報告された。これは、調査を始めた1999年以降では、2004年の10例に次ぐ数字。今年に入ってからも既に1例が報告されており、今後も増加が懸念される。 年明け以降に報告された患者154人を都道府県別に見ると、東京を中心に首都圏で多い。東京の76人が突出して多く、以下は神奈川(19人)、埼玉(15人)、千葉(12人)、大阪(7人)などの順だった。 厚労省は1月29日付で、風しん対策を徹底するよう都道府県などに通知した。定期予防接種の対象者への積極的な勧奨を行うことのほか、これから妊娠する可能性がある女性や、妊婦の同居家族などに対し、自費で予防接種を受けることを検討するよう周知することなどを求めている。風しんの主な症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れ。例年、春先から夏にかけて患者が増加する。 提供:医療介護CBニュース コメント:風疹は、妊婦が罹患すると、本人よりも「先天性風しん症候群」と総称される障害を持って子どもが生まれることが心配なのは、よく知られるています。そのために予防ワクチンが勧められています。子供の頃に風疹に罹患して免疫があるかどうかが、心配であれば採血で、抗体の検査を受けて下さい。抗体がなければワクチン接種を受けましょう。
Feb 6, 2013
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初期のパーキンソン病患者は、不安感、便秘、流涎(よだれ)など運動障害とは無関係の症状を多く経験していることが、英ニューキャッスル大学のTien Khoo氏らの研究でわかった。「Neurology」1月15日号に掲載された研究論文によると、パーキンソン病の主な症状は運動障害であるため、このような非動作性の症状は治療や診断を受けないまま放置されやすいという。 Khoo氏は、「初期のパーキンソン病患者はこのような症状について担当医に話すことさえせず、医師も尋ねないことが多い。しかし、多くの場合(このような症状は)有効に治療することができる」と述べている。 今回の研究では、新たにパーキンソン病と診断された患者159人およびパーキンソン病でない99人を対象に、胃腸障害、睡眠障害、性機能障害などの30種類の非運動性症状の経験について尋ねた。パーキンソン病患者にみられた非運動性症状は平均8種類だったのに対し、非パーキンソン病者は平均3種類だった。パーキンソン病患者に最もよくみられた症状は、流涎、尿意切迫、便秘、不安感、嗅覚低下だった。 過剰な唾液分泌(流涎)は、パーキンソン病患者の56%にみられたのに対し、非患者ではわずか6%だった。便秘はパーキンソン病患者の42%、非患者の7%、不安感はパーキンソン病患者の43%、非患者の10%が報告している。 「以上の結果は、パーキンソン病が初期段階でも身体の多くの系統に影響を及ぼしていることを示すものである。このような症状は、運動障害と同程度、あるいはそれ以上に患者の生活の質(QOL)に影響を及ぼすことが多い。医師も患者もこのような症状について話題にし、治療法を検討する必要がある」と、Khoo氏は述べている。DailyCare Netよりコメント:パーキンソン病の運動障害は、よく知られていますが、最近は非運動性障害に関しても、研究されています。自律神経障害を早期から来たし易いので、便秘、流涎はよく訴えられますし、不安、うつ状態なども合併し易い症状です。神経性膀胱で、頻尿や排尿障害、嗅覚低下もそうです。パーキンソン症状が出現する前に、そのような症状がある患者さんの早期発見が、パーキンソン病の早期診断に繋がることもあります。
Jan 26, 2013
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日系米国人対象研究,第65回米国神経学会で発表へ 本来,高血圧患者の脳卒中や心筋梗塞などの発症予防に使用される降圧薬に,認知症予防効果が期待できるかもしれないー。米ハワイ州のPacific Health Research & Education Institute(PHREI)のLon White氏らが,日系米国人を対象に降圧薬使用と認知症発症との関連について検討したところ,β遮断薬以外の降圧薬を使用していた人に比べ,β遮断薬のみを使用していた人およびβ遮断薬とその他の降圧薬を併用していた人では脳萎縮が抑制されていたことなどが明らかになったとして,米国神経学会の公式サイトで紹介された。詳しい報告は,第65回米国神経学会(3月16〜23日,サンディエゴ)で発表される予定。日系米国人男性774人対象,使用降圧薬の種類別に脳病変を比較 米ハワイ州の保健衛生研究教育機関であるPHREIのWhite氏らは,同州における高齢の日系米国人を対象に認知機能の低下や認知症について研究するHonolulu-Asia Aging Studyのコホート774人において,降圧薬の使用と認知症との関連を調べた。 774人中,高血圧または降圧薬使用が認められたのが610人であった。降圧薬を使用していた約350人を薬剤別に見たところ,β遮断薬の単剤が約15%,β遮断薬とその他の降圧薬の併用が約18%,それ以外ではβ遮断薬以外の降圧薬を使用していた。 剖検により脳異常を比較したところ,β遮断薬以外の降圧薬使用に比べ,β遮断薬の単剤使用では,アルツハイマー病(AD)や微小梗塞を示唆する脳病変がより少なく,併用は両者の中間に位置しており,β遮断薬単剤使用および併用では,β遮断薬以外の降圧薬使用と比較して脳萎縮が有意に抑制されていた。 同氏は「われわれのコホートはAD発症が著しく増加すると危惧されているが,一般的な降圧薬であるβ遮断薬にAD発症の予防や抑制効果があるとすればとても素晴らしい」とコメント。詳細は,今年(2013年)3月中旬から開かれる第65回米国神経学会で発表される予定。(MTproより引用)コメント:今年になって初めての投稿です。読者の皆様には今年も、よい年になりますように祈念します。さて、降圧剤は多数ありますが、β遮断薬は比較的安価でもあり、私はよく処方する方ですが、脳萎縮も予防する効果があれば、積極的に使用したいです。β遮断薬は、心不全や、振戦にも効果があるので、使用法によっては、見直されても良いかと思います。しかし、認知症の悪化に効果があるかもしれないという降圧剤は、一部のARBでも報告されており、生活習慣病の改善も期待されての効果でもあり、全てを信じるのは無理でしょう。
Jan 10, 2013
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• 世界唯一のドパミン・アゴニスト*1持続放出型貼付剤• 「パーキンソン病」および「レストレスレッグス症候群」*2の2つの適応症を同時大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎)は、パーキンソン病および特発性レストレスレッグス症候群の治療薬として開発を進めているドパミン・アゴニスト「ロチゴチン*3貼付剤」の国内の製造販売承認申請を2011年12月に行いました。「ロチゴチン貼付剤」は、1日1回投与の世界唯一のドパミン・アゴニストの経皮吸収型製剤です。薬剤を持続的に放出する貼付剤にすることで、24時間一定の血中濃度を維持し、安定した効果が期待できます。パーキンソン病や特発性レストレスレッグス症候群の症状は1日を通じて症状が出ます。「ロチゴチン貼付剤」は、日中や夜間に出現する様々な症状の改善や、患者さんにとっての服薬の利便性の向上を目指し開発されました。「ロチゴチン貼付剤」は「ニュープロ」の販売名で、パーキンソン病及びレストレスレッグス症候群*4の治療薬としてベルギーのグローバルバイオファーマ企業であるUCB社が世界で販売しています。大塚製薬株式会社は2002年に日本国内における「ロチゴチン貼付剤」の独占的開発・販売権を取得し開発してきました。• *1:ドパミン・アゴニスト: ドパミン受容体に結合し刺激することにより作用を示す• *2:中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群• *3:一般名• *4:成人における中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群の対症療法パーキンソン病についてパーキンソン病は安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害を主症状とする進行性の神経変性疾患(原因のわからない進行性の神経障害を示す病気)です。パーキンソン病は、中高年齢者に多く、約1,000人に1人が発症するといわれています。神経変性疾患の中では、アルツハイマー病に次いで2番目に多く、高齢化時代を迎え、発症の割合は今後さらに高まることが予想されています。パーキンソン病の患者さんは、嚥下困難や手の震えなどを伴うことも多く、服薬の継続が難しいという課題がありました。各種症状を抑えるために1日を通してドパミンの血中濃度を維持することは重要です。また長期間にわたる治療の必要性から、簡便で便利で服用継続が可能なドパミン・アゴニスト製剤が望まれてきました。レストレスレッグス症候群(RLS)についてレストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome、以下、RLS))は、むずむず脚症候群、エクボン病(Ekbom disease、この疾病の発見者のエクボン博士の名より)とも呼ばれ、その日本国内の有病率は成人の1.5%と推定され、40歳以上の中高年、特に女性に多いといわれています。RLSにより日常生活(QOL)に支障をきたす患者さんは約200万人以上といわれています。疾患があまり知られておらず、不眠症や他の病気だと診断されることで、十分な治療を受けられていない現状です。RLSは主に脚(足の裏、ふくらはぎ、太ももなど)に「異常な感覚」を覚え、この「異常な感覚」によってじっとしていられなくなる慢性疾患です。「異常な感覚」はふくらはぎがむずむずする、足の内部がかゆい、ほてる、痛いなど患者さんによって訴えは様々で、安静時に症状は強くなるため就寝前に最も症状が現れやすく、入眠障害に陥ることが知られていますRLSの患者さんにおいては、就寝前に強くなる症状や日中の会議などで長時間椅子に座っているときにも症状が現れます。特に就寝前・就寝中の症状が現れることで睡眠障害となりQOL(生活の質)が低下することから1日を通して安定した効果がある製剤が望まれてきました。コメント:ドパミン・アゴニストは、パーキンソン病の治療に重要な薬剤で、最近では内服のビ・シフロールがミラペックスLA,、レキップがレキップCRというふうに1日1回服用で、持続性に血中濃度が高まり、オフの短縮や、ジスキネジアの減少などの効果が認められていました。今回は貼付剤で、持続放出をするのが目的なのです。アルツハイマー病でも貼付剤が発売使用されていますが、パーキンソン病の方が使用する意味があるかもしれません。
Nov 30, 2012
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全身の筋肉が萎縮する難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の患者団体・日本ALS協会富山県支部が、「ひとりじゃないから~ALS患者・家族の体験談集~」を発刊した。同県支部設立5周年を迎えた今年10月に合わせて作った。 ALS患者は病気の特性から、話したり字を書いたりすることが難しく意思の伝達が困難だ。体験談を記した患者は筋力の低下で話すことが難しくなっていても時間をかけて自分の声で語ったり、文字盤で言葉をつづったりしたという。体験談集には家族への感謝の言葉や、新たな治療法を望む声が掲載されている。 ALSの診断を受けて1年未満の50代患者は「自分自身どうしたらいいか判(わか)らなかった。『死にたい』と思った。もう『自分には明日はいらない』とも思った」と記す。しかし、多くの人が見舞ってくれる中で「これからも少しずつ症状は進んでいくと思いますが、多くの人たちとの出合いを楽しみに『今を精一杯生きよう』と思います」と締めくくっている。 50代の男性患者の妻は、思うように食事をとれない夫のために、飲み込みやすいように工夫した料理の写真を紹介。周囲への感謝を記し「最初は夫の世話は皆自分でしなければと気負っていましたが、それは絶対に無理な事。今は無理をせず、我慢をせず、頑張らず、助けてくださる方、手を貸してくださる方があれば喜んで助けてもらっています」と心境の変化をつづっている。 体験談集には、同県内のALS患者とその家族33人と、石川県など県外の3患者、計36人の体験談が掲載されている。日本ALS協会富山県支部によると、ALSの患者は全国に約8700人おり、同県内には99人いるという。体験談集は55ページ、800円。問い合わせは富山市上冨居の同事務局(076・451・5998)。 【金沢ひかり】 11/17日、朝日新聞より コメント:ALSは神経難病の中でも本人、家族、医療者も一番つらい疾患です。私自身も何人かの患者さんに関わってきましたが、悪化していくのを傍観していながら、何もできないはがゆさを感じてきました。医学が進歩した現在も、治療法がないので、リハビリと介護が主となる病気です。しかし、暗闇から明かりが見えたのは、山中教授のiPS細胞の臨床応用です。 それを期待しながら、少しでも今を精一杯生きてくださるようにと祈っています。
Nov 20, 2012
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せん妄は急性の認知障害を示す疾患である。Weiner氏は高齢アルツハイマー病(AD)患者における長期的な認知機能とせん妄との関係を検討し、AD入院患者における認知機能低下を抑制するためにも、せん妄予防は重要であると結論づけた。Arch Neurol誌オンライン版2012年9月17日号の報告。 1991年1月1日~2006年6月30日の間のマサチューセッツ州アルツハイマー病研究センターの患者登録内のAD入院患者263例のコホートから前向きに収集したデータを評価した(フォローアップ期間の中央値:3.2年)。認知機能はIMC(information-memory-concentration)を用い測定した。せん妄の評価はカルテベースの検証を用いた。認知機能低下の検証にはランダム効果回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・AD患者の56%が入院中にせん妄を発症した。 ・入院前の認知機能とせん妄発症との関係は認められなかった(せん妄発症患者:1.4 IMC/ 年 [95%CI :0.7~2.1]、せん妄非発症患者:0.8 IMC/年 [95%CI:0.3~1.3]、p=0.24)。 ・認知症重症度、併存疾患、人口統計学的特性で調整した後、せん妄発症患者は非発症患者と比べて入院フォローアップ中に、より重度な認知機能低下を経験していた(3.1 IMC/年 [95%CI:2.1~4.1] vs1.4 IMC/年 [95%CI:0.2~2.6])。これらの変化は、せん妄非発症患者と比較して、せん妄発症患者は入院後2倍/年の速度で認知機能が低下することを示唆している。 ・せん妄発症患者は、5年間のフォローアップ期間中、より急速な認知機能低下が継続した。 ・再入院患者を除外し、ベースラインの認知機能および認知機能低下の基準を一致させて行った感度解析においても、同様の結果が得られた。 コメント:せん妄状態と認知症は鑑別すべき病態ではあるが、合併症状として出現することも多く、注意が必要です。これは以前に記載したうつ病との関係に類似しています。うつ病とアルツハイマー病は、何らかの関連疾患であるという論文もあるようです。せん妄状態を繰り返しているとアルツハイマー病が悪化するのは事実かと考えられます。
Oct 11, 2012
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徳島大の寺尾純二教授(61)(食品機能学)らの共同研究グループは、ビールに含まれる成分が筋肉の萎縮を抑える効果があることを発見した。 今後、成分を生かした食品や薬の開発などで、寝たきりの高齢者らの筋力低下防止につながると期待される。米オンライン科学誌プロスワンに20日、発表した。 筋萎縮は寝たきり状態となることなどで、体内にユビキチンリガーゼという物質が多く発生し、たんぱく質の分解が進むことで起こるとされる。寺尾教授らは、ユビキチンリガーゼの発生を抑えれば、たんぱく質の分解が減ると考え、筋肉細胞に取り込まれやすい食品を探す中で、ホップに含まれるプレニルナリンゲニンという物質が効果的であることを突き止めた。 寝たきりに近い状態としたマウスにプレニルナリンゲニンを与えて行った実験では、与えないマウスの筋肉量が4日で10%減ったのに対し、筋肉量にほとんど変化はなかったという。 ただ、寺尾教授によると、人間に当てはめた場合、1日1キロのホップ乾燥粉末か、約80リットルから2万リットルのビール摂取が必要という。しかし、寺尾教授は「これまで、筋肉の衰えを防ぐためにはリハビリしかなかったが、食品で抑えられるということが分かったことは大きな一歩」と期待している。 (記事提供:読売新聞) コメント:夢のあるニュースです。ビールで、筋萎縮が抑制される可能性があるという話です。 体内にユビキチンリガーゼという物質が発生すると、タンパク質の分解が進み筋萎縮が起こるので、ユビキチンリガーゼの発生を抑えるホップに含まれるプレニルナリンゲニンという物質が効果があるということです。大量のホップ乾燥粉末かビール摂取が必要になりますが、これは栄養素の抽出作業で、可能のような気がします。でも夢の出来事なのでしょうか。
Oct 1, 2012
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自分自身の覚書の目的で、サマリーを記録しておきます。 ■対 象:パーキンソン病患者165例、パーキンソン病でない対照者131例 ■方 法:国際RLS研究グループの診断基準(4つの必須診断基準)によりRLSを診断し、PSQIにより睡眠障害について評価した。 Nomura T, et al.: Mov Disord. 21; 380-384, 2006 · パーキンソン病患者の約10~20%前後にRLSが存在していました。 ( ):vs. 対照群 · パーキンソン病とRLSの併存例では、パーキンソン病発症後にRLSを生じることが多く6)、日本人でのパーキンソン病とRLSの併存例の約8割が、パーキンソン病発症5年以内にRLSを認めました7)。 · RLSを有するパーキンソン病患者では、RLSを伴わないパーキンソン病患者およびパーキンソン病でない対照者と比べて、PSQI※2 スコアが有意に高く、RLSがパーキンソン病患者の睡眠障害をより悪化させました3)。 1) Ondo WG, et al.: Arch Neurol. 59; 421-424, 2002 2) Krishnan PR, et al.: Mov Disord. 18; 181-185, 2003 3) Nomura T, et al.: Mov Disord. 21; 380-384, 2006 4) Gómez-Esteban JC, et al.: Mov Disord. 22; 1912-1916, 2007 5) Lee JE, et al.: Mov Disord. 24; 579-582, 2009 6) Peralta CM, et al.: Mov Disord. 24; 2076-2080, 2009 7) Nomura T, et al.: J Neurol Sci. 250; 39-44, 2006 ※1 レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS) ※2 ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI);睡眠とその質を評価する質問票で、合計スコアが高いほど睡眠が障害されている。 コメント:多くのパーキンソン病の患者さんが、睡眠障害を合併しているのは事実です。その10-20%にRLSが合併している可能性が示唆されました。パーキンソン病の治療に、ドパミンアゴニストを大量使用している患者さんでは、RLSが合併している場合は、治療は、少量のドパミンアゴニストでは効果は期待できないかもしれません。そんな場合は、どのように睡眠障害を治療すべきなのでしょう。
Sep 12, 2012
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遺伝子変異が原因で若い時から手足の震えや歩行障害が生じる若年性パーキンソン病の患者では、細胞内の異常なミトコンドリアを除去する仕組みが働いていないことを、東京都医学総合研究所の松田憲之主席研究員と徳島大などの研究チームが突き止め、21日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。 研究チームは、たんぱく質「PINK1」をつくる遺伝子に変異がある若年性パーキンソン病の患者を調査した。 ミトコンドリアに異常が起きると、PINK1にリン酸が付加され、異常なミトコンドリアを分解する役割を持つ別のたんぱく質に信号が送られることを突き止めた。しかし、患者では付加が起きないため、異常なミトコンドリアが分解されずにたまり、神経細胞が死んで発症に至るという。 (C)時事通信社コメント:若年性パーキンソン病は、遺伝性なので一般的なパーキンソン病の発症原因とは関連性はあるかと思われるが、同じとは言い切れないでしょう。しかし、ドパミン産生神経細胞が死滅する原因が解明されれば、その根本的治療にも明るい研究材料になるかもしれません。 症状を軽減する薬は多く研究されて発売されてきましたが、早く根本的治療に意義ある研究が出てほしいものです。
Aug 23, 2012
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アルツハイマー病の発症リスクを予測するのに有用な、血液中のバイオマーカーが特定され、 7月18日の「Neurology」オンライン版に研究結果が掲載された。このバイオマーカーは、アルツハイマー病の治療または予防の新たな標的になるという。 米メイヨー・クリニック(ロチェスター)のMichelle Mielke氏(研究実施時は米ジョンズ・ホプキンス大学[ボルティモア]に所属)らによる今回の研究では、70~79歳の女性99人の血液を検査し、セラミドと呼ばれる炎症および細胞死に関連する脂肪族化合物の値を調べた。 被験者を9年間追跡した結果、27人が認知症を発症し、そのうち18人がアルツハイマー病の可能性が高いと診断された。セラミドの値が最も低かった群に比べ、最も高かった群はアルツハイマー病を発症するリスクが10倍であり、セラミドの値が中位であった群は発症リスクが約8倍だったという。 別の専門家は、今回の研究の重要性と今後の研究の必要性を強調している。米ベイラー大学医学部(ヒューストン)アルツハイマー病・記憶障害センターのValory Pavlik氏は、付随論説で「低コストで簡便に早期アルツハイマー病の正確なバイオマーカーが特定できれば、アルツハイマー病研究の焦点は疾患の治療から、予防または発症遅延に移る可能性があるため、こうした知見は重要である」と述べている。 またPavlik氏は、「この知見を裏付けるためには、さらに大規模で幅広い研究を実施する必要がある。将来、アルツハイマー病の世界的な有病率は20年ごとに2倍になると予測されていることから、研究者および医療機関の間では、もっと有効なスクリーニング、予防および治療の方法を見出すことへの緊迫感が確実に高まっている」と指摘している。 (CareNetより)コメント:血液検査で、セラミドと呼ばれる炎症および細胞死に関連する脂肪族化合物の値が高いとアルツハイマー病の発症リスクが高かったという研究です。いろんな、血液のバイオマーカーが研究されています。しかし、それがまだ治療に有用であったという研究はないようです。診断されても、治療ができなければ、患者さんは救われません。まだまだ認知症の発症予防が大事なことになります。食事は食べ過ぎの注意、運動の勧め、人との交わりなど、積極的に行なっていきましょう。
Aug 3, 2012
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真夏の猛暑日のような環境にいる幼児と高齢者は、若者よりも2倍以上体温が上昇し、熱中症になる危険性が高いことが、名古屋工業大学の平田晃正准教授らの研究チームによるシミュレーション実験で分かった。結果を26日に札幌市で開かれる学会で発表する。 チームは、3歳の幼児、25歳の若者、65歳の高齢者が気温37.5度、湿度60%の環境に90分間いた場合の体温や発汗量の変化を調べ、コンピューターグラフィックで示した。 その結果、若者の体温上昇は、約0.2度にとどまったのに対し、幼児は約0.4度、高齢者は約0.5度だった。 発汗量は若者の約250グラムに対し、幼児は2倍超の約600グラム。一方、高齢者は若者の7割程度の約170グラムしか汗をかかなかった。 (C)時事通信社より 消防庁のマニュアルhttp://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2306/pdf/230614-1.pdfコメント:これだけ暑い日が続くと、診療も苦痛になります。ロンドンオリンピックでもゆっくり見ていたいです。温度の管理と睡眠は取るようにして、特に子供と、高齢者は注意したいものです。
Jul 31, 2012
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新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは、小さいながら有意にあることが報告された。カナダ・Laval大学のPhilippe De Wals氏らが、ケベック州で地域住民対象のコホート試験を行い明らかにしたも ので、JAMA誌 2012年 7月11日号で発表した。ケベック州では2009年秋に新型インフルエンザのパンデミックを受けてワクチン接種キャンペーンを展開した。その際多くの人がAS03アジュバントワクチン(Arepanrix)の接種を受け、年度末までに住民780万人のうち57%が同ワクチン接種を受けたという。 ギラン・バレー症候群71人中、8週間以内のワクチン接種は25人 研究グループは、2009年10月~10年3月の6ヵ月間、カナダのケベック州で住民ベースのコホート試験を行った。試験期間中にギラン・バレー症候群が疑われた、または診断された患者について、地域の医師からの報告と病院の退院報告書で確認した。インフルエンザワクチン接種については、地域の予防接種登録名簿などで確認し、ギラン・バレー症候群発症との関連を、ポアソンモデルと自己対照ケースシリーズ法で分析した。 その結果、6ヵ月の試験期間中、ギラン・バレー症候群が83人に認められ、そのうち71人はブライトン分類評価で1~3であった。そのうち、発症前8週間以内に新型インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは25人、そのうち19人が同4週間以内に接種を受けていた。 発症リスク、ワクチン接種後8週間は1.8倍、4週間は2.75倍 ポアソンモデル解析の結果、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後8週間は1.80(95%信頼区間:1.12 ~2.87)、同4週間は2.75(同:1.63~4.62)だった。 自己対照ケースシリーズ法では、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断(42人)に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後4週間は3.02(同:1.64 ~5.56) だった。ブライトン分類評価1~3(36人)についてみた場合のリスクは2.33 (同:1.19~4.57)だった。 ワクチン接種のギラン・バレー症候群発症への寄与リスクは、100万人当たり2人だった。Wals氏は、「ワクチン接種によるベネフィットは、リスクを上回るようだ」と結論している。 (ケアネットより)コメント:ワクチン接種後のギラン・バレー症候群の発症は、頻度は少なくメリットがデメリットを充分上回っているので、推奨されているのですが、稀に起こることを知っておいた方がよいかもしれません。私は今までギラン・バレー症候群は15人以上は診療していると思いますが、全ての症例が記憶に残ります。重症例は、何らかの神経障害の後遺症も残っています。中でも14年前に下痢症状から発症して、両足下垂がありながら、ご主人の介護をしてきて、最近ですが再度下痢から再発がみられて、入院した患者さんは、記憶に残っています。この患者さんは治療後にリハビリ開始時に脳出血を起こし、亡くなられました。ご主人も訪問診療していましたが、介護者の妻に先立たれて、肺がんが悪化して入院されました。 Fisher症候群も数例経験していますが、再発例もありました。 ワクチンとの関連性を証明するのは難しいこともありますが、関連が疑われた症例もありました。
Jul 24, 2012
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うつ症状を経験した人々は、アルツハイマー病を 2 倍以上発症しやすい傾向があるようです。特に、 60 歳以前の若いときのうつ病の経験は、アルツハイマー病のリスクを約 4 倍と大きく増加させるようです。以前の研究が、アルツハイマー病か、その前駆状態の軽度認知障害の人々で、うつ症状が高くなる傾向を発見しています。 2 つの新しい研究が、アルツハイマー病の人でうつ症状が増加するのではなく、むしろうつ病がアルツハイマー病のリスク要素のようだと報告しています。 うつ病は、認知症を発症しやすいように、脳を変化させることに関連しているようだと研究者はいいます。1 つはオランダのエラスムス大学メディカルセンターのモニーク・ブレテラー (Monique M.B. Breteler MD PhD) 氏らが、 Neurology 誌に発表しました。研究は、 60 ~ 90 歳の認知症ではない 486 人を対象に行われました。 134 人は、 1 回以上、医師の診察を受けるように促されたうつ症状を経験していました。 研究の参加者では、 88 人が 60 歳以前にうつ病を経験していて、46 人は以後に発症しています。研究は平均 6 年間の追跡調査をしました。この間に 33 人がアルツハイマー病を発症しました。うつ病を経験した人々は、アルツハイマー病の発症リスクが、うつ病を経験していない人々より 2. 34 倍増加しました。 60 歳以前にうつ病を経験した人々は、アルツハイマー病のリスクがさらに高くなりました。うつ病を経験していない人々より、アルツハイマー病を 3. 76 倍多く発症しそうでした。うつ病と認知症との関係を理解するために、より多くの研究が必要だろうといいます。 一つの仮説は、うつ病が、脳の 2 つの領域 -- 海馬とへん桃核 -- の細胞の喪失につながるというものです。しかし、今回の研究の参加者では、 3 次元 MRI による検査で、うつ病の人々とうつ病を経験したことのない人々の間にこの 2 つの領域の大きさに違いを発見しませんでした。 もう 1 つの研究は、米国のラッシュ大学のロバート・ウィルソン ( Robert S. Wilson PhD ) 氏らが、Archives of General Psychiatry 誌に発表しました。 うつ病の人々はアルツハイマー病をより多く発症しそうですが、うつ病の症状は、アルツハイマー病の診断前の数年間に増加することはないようです、と研究者はいいます。 これは、うつ病がアルツハイマー病の発症の結果として現れたものではなく、代わりに認知症のリスク因子であるようだと示唆しているといいます。 研究は、 917 人のカトリック教徒の聖職者グループを、最長 13 年間の追跡調査したものです。この間に 190 人がアルツハイマー病を発症しました。 研究の開始時にうつ病の兆候が多かった人々は、アルツハイマー病をより発症する傾向がみられました。しかし、研究開始時に記憶力の低下などの認知障害のない人々の中で、その後にアルツハイマー病の前駆状態である、軽度認知障害が発症した人々で、うつ病の症状の増加はみられませんでした。 アルツハイマー病の診断の後でも、うつ病のどんな一般的な増加もありませんでした。 うつ病の症状は、脳の認知症に対する抵抗力を減少させる変化に関連しているようだと、研究者はいいます。 研究結果は、うつ病が、アルツハイマー病の基礎的な病理の微妙な早めのサインというより、むしろアルツハイマー病ののリスク要素であると示唆していると述べています。 うつ病の症状は、神経の余裕量をいくらか低下さる、脳における特有の変化に関連しているようだとウィルソン氏はいいます。それは、アルツハイマー病に関連の病理を許容する脳の性能だといいます。うつ病の症状が認知症の発症につながるメカニズムを理解することは、認知症の発症を遅らせるための新しいアプローチを示唆するかもしれないと述べています。 認知症とうつ病との関係をはっきりさせて、うつ病が脳の認知症を発症させる変化を引き起こすかどうか決定するためには、より多くの研究が必要です。 コメント: 先日、アルツハイマー病の講演会で、某精神科のサナトリウムに勤務しておられる先生のご講演で、この内容に近いお話を聞く機会がありました。 確かに、うつ病はアルツハイマー病の発症の危険因子ではあるかもしれませんが、双極性鬱病が、アルツハイマー病と鏡像を示すという内容は初めて拝聴しました。 疫学的な研究のため、本当に相関があるかは、これからメカニズムを含めた研究が必要かと思われます。
Jul 12, 2012
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第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における共催セミナー(グラクソ・スミスクライン株式会社)にて、産業医科大学 辻 貞俊氏が「高齢者てんかんについて」と題して講演した。高齢者てんかん患者は50万人以上 てんかんは小児および若年者での発症が多い疾患である。一方、加齢に伴う中枢神経疾患は、高齢者におけるてんかんの新規発症の原因となる。高齢者のてんかんは若年者のものとは病態が異なり、若年者とは異なった治療が必要となる。わが国では急速な高齢化に伴って、このような高齢発症のてんかん患者が増えており、若年発症てんかん患者のキャリーオーバーともあいまって、高齢世代のてんかん患者が増加している。高齢者てんかん(65歳以上で発症)は対人口比2~7%と言われており、患者数は50万人程度と推定される。 診断が難しい、高齢者てんかん 高齢者てんかんは脳血管障害や脳腫瘍、認知症などを原因とする症候性てんかんである。約1/3は脳波が正常であり、鑑別診断が難しい。そのため、高齢者てんかんの特徴を理解し、診断・治療を行うことが求められる。中でも最も重要なのが「失神」である。失神は70歳以上の約23%が経験するともいわれている。また、神経疾患(TIA、TGAなど)、循環器疾患、代謝・内分泌疾患、睡眠時行動異常、心因性非てんかん性発作などとの鑑別を行う必要がある。 高齢者てんかんの特徴は、・複雑部分発作、過運動発作が多い・約1/4は鑑別が難しく、診断できない(約1/3は脳波正常)・部分てんかん(側頭葉てんかん、前頭葉てんかんが大部分)が最も多い・二次性全般発作が少ないため見逃されている可能性が高い・発作後のもうろう状態が数時間~数日続くことがある・非特異的な症状(ボーとした状態、不注意、無反応など)が多い などである。 高齢者てんかんは抗てんかん薬単剤で奏功率約80% 高齢者てんかんは診断が難しい側面はあるものの、薬物療法による奏効率は高く、比較的予後は良好である。ただし、再発率は高く、再発による患者の心理的負担を考慮し、初回発作時から薬物療法を開始することが推奨される。 高齢者てんかんの薬物療法のポイントは以下のとおりである。・初回発作時から薬物療法を開始する・相互作用に注意し、少量から投与を開始する・米国ガイドラインでは部分発作の場合、合併症がなければカルバマゼピン、ラモトリギンの順、合併症があればレベチラセタム、ラモトリギンの順、全般発作の場合はラモトリギン、バルプロ酸の順で推奨されている・約80%は単剤にて効果が認められている(成人の投与量より少量)・海外データによると新規抗てんかん薬は発作軽減に有効である・長期にわたり治療を継続することが重要である まとめ 高齢者てんかんが増加している現状を踏まえ、神経内科医によるさらなるてんかん診療の推進が求められる。また、発症後6年以上経過した認知症患者ではてんかん発作の発現率が一般の5~10倍に増加するともいわれており、注意が必要である。辻氏は「まずは、正確な診断、そして積極的な治療を行ってほしい」と締めくくった。 (ケアネットより) コメント: 辻先生の「高齢者のてんかん」に関しては何度か講演を拝聴しました。私の印象よりは、高齢者のてんかんの比率は多いように感じています。しかし、脳血管障害や、認知症も増加し、症候性てんかんが増加するのも当然のようにも思われます。高齢者てんかんは診断が難しい側面はあるものの、薬物療法による奏効率は高く、比較的予後は良好であるので、初回発作時から相互作用に注意し、少量から投与を開始することが勧められるということです。
Jun 11, 2012
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東北大学大学院高次機能障害学分野の内山信氏らは,レビー小体型認知症患者の中核症状の1つである幻視に似た症状(パレイドリア)を誘発する検査「パレイドリアテスト」の開発に成功した。幻視は短い診察時間内に観察されることがまれなため,これまで見過ごされてきた。しかし,風景などの写真を患者に見せて,そこに何が見えるのかを説明してもらうパレイドリアテストを行うことで,アルツハイマー病(AD)との鑑別が可能となる。例えば,花の写真を用いてパレイドリアテストを行うと,レビー小体型認知症患者から「花です。顔もあり,動物もいます」という答えが返ってくる。研究は,Brain 2012年5月30日オンライン版に掲載された。 パレイドリアの8割以上が人や動物 短い診察時間の中でレビー小体型認知症患者に特異的な幻視が見られるのはまれなため,これまで幻視を誘発するマーカーが求められていた。 内山氏らが開発したパレイドリアテストのパレイドリアとは,壁の染みや雲の形が人の顔や動物の姿に見える現象のことであり,幻視との関連性が指摘されている。 レビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを行うことで,幻視と似たパレイドリアを直接誘発できるという。 このテストは,図のような植物などの画像をレビー小体型認知症患者に見せて,そこに何が見えるのかを説明してもらうという簡便な検査だ。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1205/1205085_fig.jpg パレイドリアが出現すると,図中の花の白丸部分やネクタイの赤丸部分に本物の人の顔や動物を見いだしたりする。 AD患者においても一部共通したパレイドリアが出現する。しかしAD患者では,花弁に人の顔を見いだすことはあっても,レビー小体型認知症患者のようにそこに動物を見いだすことはない。 なお,パレイドリアの80%以上は人や動物であった。 出現の一歩手前の状態も検出を示唆 内山氏らは,レビー小体型認知症患者(34例)およびAD患者(34例)にパレイドリアテストを実施した。 その結果,パレイドリアはレビー小体型認知症患者全例に誘発された一方,AD患者では4例のみであった。パレイドリアテストの感度は100%,特異度は88%と精度が極めて高く,ADとの鑑別診断能に優れることが分かった。 また,神経心理検査や面接法で「幻視なし」と判定されたレビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを実施したところ,パレイドリアが誘発された。 同氏らは,この状態を幻視が出現する一歩手前の状態または幻視の発現にかかわる病態が検出されたものと考察。レビー小体型認知症の早期診断・治療や幻視の病態解明が可能になるのではないかとしている。 (MTproより) コメント:アルツハイマー病とレビー小体病の鑑別は、パーキンソン症状が合併しておれば容易ですが、認知症が主症状の場合は.臨床的な他の症状の合併を尋ねる必要があります。 幻視に似た症状(パレイドリア)を誘発する検査「パレイドリアテスト」を行うことで,アルツハイマー病(AD)との鑑別が可能となるということです。 パレイドリアテストのパレイドリアとは,壁の染みや雲の形が人の顔や動物の姿に見える現象のことであり,幻視との関連性が指摘されている。 レビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを行うことで,幻視と似たパレイドリアを直接誘発できるという。 AD患者においても一部共通したパレイドリアが出現する。しかしAD患者では,花弁に人の顔を見いだすことはあっても,レビー小体型認知症患者のようにそこに動物を見いだすことはない。 パレイドリアの80%以上は人や動物であった。 また,神経心理検査や面接法で「幻視なし」と判定されたレビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを実施したところ,パレイドリアが誘発された。 一般のクリニックではこのような検査は無理かと思いますが、興味ある研究です。
Jun 2, 2012
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第53回日本神経学会学術大会より わが国の最新の全国調査によると、65歳以上の認知症有病率は14%と推計され、これまで報告されていた有病率(3.8~7.2%)と比較して明らかに高くなっていることが、現在開催中の第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における認知症疫学に関するシンポジウムにて、筑波大学 朝田 隆氏より報告された。 この調査は、厚生労働省の研究事業として、全国6ヵ所(新潟県上越市、茨城県利根町、愛知県大府市、島根県海士町、大分県杵築市、佐賀県伊万里市)の65歳以上の住民約5,400人を対象とした調査で、参加率は64.7%であった。 本調査の結果、認知症768人、軽度認知障害529人であり、また基礎疾患は、アルツハイマー型認知症が67.4%と3分の2を占め、次いで脳血管性認知症18.9%であった。今回の調査から、65歳以上の認知症有病率は14%と推計されるという。 男女比では、女性のほうが常に高く、また加齢とともに男性に比べて高くなり、100歳以上の女性における有病率は100%であった。また、従来の報告と同様、加齢とともに有病率は増加し、5歳刻みの年齢階層別でみると階層が1つ上がるごとに倍増している。各地域別の年齢階層別有病率はほぼ同様であったが、海士町(隠岐の島)だけは85歳以上でフラットとなっていた。 朝田氏は、「認知症問題は国策レベルの問題であり、大規模かつ継続的な疫学調査が必要である。またデータベース化などのインフラストラクチャーの構築が必要である」と提言し、講演を締めくくった。 (ケアネットより)コメント:高齢化社会のため、認知症の患者数は増加する一方ですが、年齢別でも比率が、今まで言われていたよりも多いということです。65歳以上で、14%ですから7人に1人の比率になります。5歳毎に倍増すると言うことですから、本当ならこれからの社会は認知症患者ばかりになるような印象です。そこまで増加しないとは思いますが、各自日常生活に注意して生活していく必要はあるでしょう。
May 25, 2012
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国民病ともいわれる肩こり。もんでもたたいても治らず、ひどくなると頭痛などの原因にもなる。パソコンで長時間作業をすると筋肉が収縮するなどして痛みが発生、その痛みのせいで筋肉がさらに硬くなる。そこで、専門家がすすめるのが「肩甲骨ストレッチ」だ。肩こりに関係の深い3つの筋肉を重点的にほぐして鍛えるという新しいストレッチ法だ。女性では1位、男性でも腰痛に次いで2番目――。厚生労働省の国民生活基礎調査によると「気になる自覚症状」として、肩こりを挙げた人が男女とも上位を占めている。 肩こりはどうして起こるのか。法政大学の伊藤マモル教授(医学博士)は「筋肉の中やそばを通る血管が圧迫されている状態だ」と説明する。筋肉が過度に緊張した状態が続くと、硬くなって血管が収縮する。血液の流れが悪くなり、乳酸などの老廃物が筋肉にたまる。これらが神経を刺激すると「肩が凝った」という感覚につながるとされる。 首や肩の周辺には、大小さまざまな筋肉がある。中でも、首や背骨の後ろから肩にかけて広がる僧帽筋(そうぼうきん)と、首筋にある肩甲挙筋(けんこうきょきん)は肩こりと関わりが深い。肩こりの症状が現れたとき、僧帽筋のうち首周辺の上部線維と肩甲挙筋が縮んだ状態になっている。 ■前かがみで発生 パソコン作業や家事で前かがみの姿勢を続けると、こうした筋肉は体を起こそうとしてフル回転で働く。特に、パソコンで長時間作業をしていると、顔が画面に近づき、肩が前に出てしまいがちで、筋肉に負荷がかかりやすい。 乾布摩擦のときのように、片手を上から、もう一方の手を下から背中に延ばす。指先が5センチメートル以上離れていれば、筋肉が縮んで硬くなっている証拠だ。マッサージを受けたり湿布を貼ったりする人も多いが、一時的に症状が軽くなるだけ。お金もかかるので、頻繁には利用しづらい。 「緊張して硬くなった首や肩周辺の筋肉をストレッチすれば、肩こりは解消できる」と伊藤教授は説明する。時間はかかるものの、効果は高いという。 肩甲骨は背中側の左右両肩の下にある大きな三角形の骨だ。肩こりに関わる3種類の筋肉はこの骨の周辺に集まっている。ここをストレッチで伸ばしてリラックスさせる。 ストレッチのやり方は簡単だ。まず、正面を向いたまま頭を左に倒し、耳を左肩に近づけて止める。これを30秒間保つと、首から肩に広がる僧帽筋上部線維を伸ばせる。頭を左に向けて倒し、鼻を左肩に近づけて30秒間静止すると、首筋にある肩甲挙筋を伸ばせる。 痛みを感じない程度に伸ばすのがポイントだ。左に頭を傾けると、つられて右肩も上がろうとするため、右手で椅子をつかむとよいという。左右交互にやって、3セットを目安にする。 ■筋線維も鍛える これで肩こりの症状をかなり解消できる。ただ、首都大学東京・健康福祉学部の竹井仁・准教授は「僧帽筋下部線維を鍛えることも心がけてほしい」と話す。肩や肩甲骨を下に引き下げる働きがあり、僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が縮むと、伸びた状態になる。この筋肉を強くしてやれば、僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が縮こまって硬くなるのを抑えられ、肩こりの予防につながる。 両腕を開いて肘から上を天井に向けたまま、肩甲骨を下方向に動かす。十分に下まで下がったと感じたらその状態を5秒維持し、その後元に戻す。この動作を10~20回繰り返す。上部線維と肩甲挙筋を伸ばす効果もある。 「ストレッチはできるだけ頻繁にやった方がよい」と、竹井准教授はアドバイスする。例えば、パソコン作業中なら1時間に1回を目安にしたい。通常のデスクワークでも「疲れたな」と感じたらストレッチをやるようにする。こまめに実行すると血行もよくなり、肩こりを和らげる効果も高まる。 肩の痛みには、筋肉の緊張ではなく、病気が原因の場合もある。肩の関節周辺が炎症を起こす五十肩が思い浮かぶが、心臓病などの深刻な病気の前兆というケースもあり、要注意だ。1カ月以上ストレッチを続けても痛みが変わらなかったり、しびれが続いたりするようなら、専門医に受診することをおすすめしたい。(上林由宇太) (日経ニュースより)コメント:最近のNHKの「今日の健康 」や、いろんな番組でも見る機会があるかと思います。私のブログで検索してみたら、数回肩こりに関連した記録がありました。それほど、多くの人が悩んでいるので日本人の国民病とも言えるかもしれません。しかし、日常の生活にちょっとしたストレッチなどを、時々入れるようにしてみるなど工夫が必要かもしれません。
May 23, 2012
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認知症の新しい治療薬のレミニールを処方していますが、効果を検証してみたいと思います。レミニールは、脳内の神経伝達物質(アセチルコリン)を分解するアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害する作用に加え、ニコチン受容体に対する増強作用(APL作用)により、アセチルコリンの放出する作用を持つのが特徴です。それらによりアセチルコリンの濃度を高め、予定効能は「軽度から中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」で、症状の進行を遅らせる薬剤として期待されています。レミニールを服用した患者さんは、認知症の程度を数値化するADAS-cogが2~3点改善したという結果で、これはアリセプトの「平均して1点よくなるかどうか」よりも有効度が高いそうです。通常、成人は1回ガランタミンとして4mgを1日2回服用させることから開始し、4週間後から1回8mgを1日2回に増量されます。なお、症状に応じて1回12mgを1日2回まで増量されますが、増量される場合は変更前の用量で4週間以上服用させた後に増量されます。本剤は1錠中にガランタミンとして12mgを含有します。副作用を軽減するため、なるべく食後に服用させてください。主な副作用として、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、食欲減退、頭痛などが報告されています。コメント:私はレミニールを他の薬剤が副作用で飲めなかった患者さんに処方しています。この患者さんも、8mgを2回で、継続中です。12mgに増量したら、食欲がなくなると言いましたので、減量して使用していますが8mgでは特に副作用もなく、服用できています。
Apr 13, 2012
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