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打たれたら打ち返す！阪神・久保が３打点

　「ピッチングの方で迷惑をかけているので、野手がつないできたチャンスで、なんとかしたいと必死でした」

　広報を通じてコメントした一振りは１点ビハインドの三回だ。

　金本の２ランで逆転し、その後二死満塁となって打席が回ってきた。積極的に振って２ストライク１ボールと追い込まれたが、ここから２球ファウル。そして、６球目だ。「変化球がきたらごめんなさいで、直球一本を待っていました」と、高めに浮いた真っすぐを一撃した。痛烈な打球が左中間のぬれた芝生で弾む。よっしゃ－！！　普段は感情をむき出しにしない男が、二塁ベースに到達すると、ガッツポーズをみせた。

　走者一掃の一打はロッテ時代の２００５年５月２６日の巨人戦（東京ドーム）以来、１７７０日ぶりのタイムリー＆打点。１試合３打点は自身初だ。昨年の打撃成績は４５打数４安打、打率・０８９。本人も驚く！？　一本で赤ヘル軍団を突き放した。

　“本職”の方は初体験のマツダスタジアムで我慢の投球を強いられたが、６回５安打４失点で今季初勝利を飾った。

阪神・久保、３打点！バットで挽回初勝利

ドカ～ン！！　漆黒のバットから放たれた打球は遊撃手の頭上をライナーで越えていく。前に守っていた外野手、阪神ベンチ、そしてスタンドのファンの度肝を抜いた。パ・リーグ出身で打撃が苦手な久保が、何と走者一掃となる３点二塁打。コイの息の根を止めた。

　「ピッチングで迷惑をかけているので、野手がつないできたチャンス、何とかしたいと必死でした。変化球がきたら『ごめんなさい』で直球１本待っていました」

　本業ではピリッとこなかった。夕方からの雨で足場が悪く、一回に逆転を許した。アニキの逆転弾が飛び出し、１点リードに変わった三回二死満塁。粘って６球目。左腕斉藤が高めに投じた直球をフルスイングした。左中間を真っ二つ。新井、ブラゼル、さらに桜井がかえって、この回一挙５点。ロッテ時代の２００５年５月２６日の巨人戦（東京Ｄ）以来、何と１７７０日ぶりのタイムリー。プロ初体験の３打点に二塁ベース上で、渾身（こんしん）のガッツポーズを炸裂させた。

　沖縄・宜野座の春季キャンプ。アップを終えると、ドームにこもり、汗をふきふきバットを振った。タテジマを着た昨季は４５打数４安打で打率・０８９。関大一高時代には打席に立っていたといっても、さすがにブランクがありすぎた。「当たったら飛ぶかな、と思って」とバットは球界最重量級といわれる９６０グラムの村田（横浜）モデルを選んだ。守ってくれる野手に恩返しをしたい。その思いで必死だった。

　「練習の成果がすぐにはでないでしょう。たまたま」。そう謙遜したが、野球の神様は優しく見つめていてくれた。

　真弓監督は「自分で楽になったよね」と笑った。６回５安打４失点の内容に右腕は「四球が多かった。雨？　言い訳にならない。ヒット４本で４点ですか。先発ではありえないこと」と首を振るが、己の力で白星に変えた。オープン戦期間中は急性胃腸炎で一時離脱したが、もう大丈夫。今季は投打でファンを魅了してみせる。

圧巻！阪神・久保田、９球のコイ料理

久保田がまたピシャリと好投。ここまで４試合に登板して３回２／３を無失点。まだヒットすら許していない圧巻の内容だ。

　「たまたまですよ。シーズンはまだまだ長いんで」

　七回、２番手として登場。先頭の広瀬を力のある真っすぐで、いきなり３球三振斬り。後続も抑えてわずか９球のコイ料理。頼もしい剛腕が、ゼロ行進を続けていく。

阪神・球児、３人ピシャリ！通算１２９Ｓ

ついに猛虎の歴史を切り開く扉に手をかけた。藤川が赤ヘル軍団を三者凡退に斬って、２試合連続となる今季２セーブ目。しかし、その表情はさえない。ゲーム終了後は安定感の欠いた制球に開口一番、「あ～情けない」と悔しさをにじませた。

　「（雨は）言い訳にできない。ダサイなあ。ストライクが全然入らなかった」

　何度も首をかしげて苦笑い。とはいえ、しっかりと３人で終わらせた。２点を守る九回。視界を遮られるほどの雨模様のなかマウンドへ上がった。

　先頭の主砲・栗原はフルカウントまで持ち込まれたが、二ゴロに打ちとり切り抜けた。続くフィオにはカウント１－３から粘って最後は内角低めの“火の玉”で見逃し三振。ヒューバーは初球の外角フォークを打たせて右飛に仕留めて、勝利のハイタッチ。これで通算１２９セーブとし、山本和行の持つ１３０セーブの球団記録に王手をかけた。

　ここまで計４試合で打者１２人をパーフェクトピッチ。好調持続の裏側では球児なりの工夫があった。今シーズン最初のオフ日（移動日）となった３月２９日。早朝から車を走らせ、家族とともに有馬温泉へ。

　効能バツグンの“秘湯”に身を委ね、舞い散る雪に心を癒した。日帰り旅行で心身ともに充電し、敵地・広島行きの新幹線に乗り込んだ。

　「醜態をさらすところやったよ」

　繰り返し続いた反省の弁は志が高いことの裏返し。タテジマ球史に名を刻むときは満面の笑みで決めてみせる。

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