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虎・ブラ、千金弾！よう撃った！よう捕った

自らたぐり寄せた勝利を離さなかった。１点リードの九回二死二、三塁。三遊間への打球を処理した鳥谷からの送球はショートバウンドした。捕れなければ逆転まである場面で、ブラゼルが目一杯体を伸ばして“白星”をキャッチ。もんどり打って倒れる殊勲に、今季最多４万６８４９人の大歓声が包み込んだ。

　「足が離れたけど、自分が捕ってからだったからよかったよ」

　ホッとしたような表情での帰り道。攻守で投手陣を助け、勝ち取った勝利が、疲れた体を少しだけ癒してくれた。

　勝敗を分けた大きな１点は、１点リードの八回だ。先頭で打席に入ると、楽天の先発・岩隈の初球。スライダーを完ぺきにとらえた。浜風をもろともしない弾丸ライナーで右翼ポール際に突き刺した。

　「甘いところに来たのを逃さずに打てた。とにかくあの場面は、塁に出ることが大事だった。いいスイングをしようとして、結果的にラッキーなことにホームランになってくれた」

　３８試合で今季３度目の２戦連発となった１３号は、和田（中日）、ラミレス（巨人）に並ぶセ界最多弾。シーズン４９発ペースで量産中の助っ人が、西武時代に８打数１安打１打点と苦手とした右腕からの初アーチで２点差とした。

　岩隈には通算３戦全勝。連敗中のチームを強力に援護すると、直後の守備でも勝利に貢献。真弓監督は「ひとつのミスが出ると、勝ちにつながっていないかもしれない。よく守ったな」と胸をなで下ろした。

　豪快なスイングから生まれる長打力が何よりの魅力だが、決して守備をおろそかにしない。４月中に２度。自ら特守を願い出た。ナイターゲームの始まる５時間以上前。全体練習の準備すら整っていないグラウンドで、久慈守備走塁コーチにお願いして約３０分間のノックを受けた。

　使いこなせていなかったトスも重点的に取り組んだ。サイドスローになる癖を直そうと、スタッフを相手に反復練習。常に持つ守りへの高い意識が結果となって表れた。

　「２連敗スタートで、すんなりとはいかせてくれないのかな。点をしぶとくとってくれた。最後にホームランを打ったのが大きかった」

　真弓監督が最敬礼で振り返る。お立ち台は譲ったが、ブラゼルもヒーローの１人。鷲のエースを打ち砕き、第２戦の先発は田中。頼もしい大砲が、全力で白星をつかみ取る。

阪神、楽天エースを一丸攻略！交流戦で初白星

連敗スタートとなった交流戦の“第２ラウンド”。シビレるゲーム展開の中で、ツキが味方した。風に乗った鳥谷の打球が緑の芝生の上で跳ねた。

　１－１の同点で迎えた五回。二死二塁から、平野の打球は三塁ベースを直撃。抜けていれば長打という“不運”の直後だった。一、三塁の好機で、今度は３番に女神がほほえんだ。打ち損じ、フワリとショート後方にあがった打球を、遊撃・渡辺直と左翼・フィリップスが譲り合い、地面にポトリ。貴重な勝ち越し点が舞い込んだ。
球界を代表する右腕・岩隈を相手に、先行逃げ切りを許さなかった。１点を先制された直後の一回。一死から平野が右越え二塁打を放つと、二死二塁から新井がしぶとく二遊間を破った。

　「打ったのはシュート。いいところに転がってくれました」と広報を通じてコメントを寄せた一打で同点。試合を振りだしに戻すと、守備からリズムを作った。

　城島を中心に先発・フォッサムをもり立てた。四回二死一塁から、嶋の二盗をその強肩で楽々アウトに仕留めると、五回にも好フィールディングで魅せた。無死一塁から、岩隈の捕前へのバントをすかさず二塁へ送球。２－６－３の併殺に仕留め、直後の勝ち越しを呼び込んだ。

　球界を代表する右腕とは２００５年以来５年ぶりの戦いを前に、和田打撃コーチも直前まで対策を練った。３月のワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）で正捕手を務めた背番号「２」を相手に、試合前練習中に約１０分間の会話。「世間話だよ」としながらも「打席には立っていなくても捕手としての目線があるからね」と、ジョーから情報収集。突破口を探った。

　八回にはブラゼルだ。それまで３打数無安打２三振と完璧に抑え込まれていたが、先頭で立ったこの回、初球のスライダーを叩いて大きな追加点となるソロ本塁打。

　過去２戦２勝の好相性も背中を押したのか、九回こそ球児が今季初失点を喫したが逃げ切りに成功。チーム一丸となって岩隈に立ち向かった虎が、大きな１勝をつかみ取った。

阪神・平野、岩隈相手にＶ呼ぶ猛打ショー

　「いい投手というのは分かっているし、制球もいいんで。ファーストストライクから打っていこうと思っていました。イメージ通りにいけたんで、よかったです。出なきゃいけない場面が多くて、チャンスを作れたので仕事ができました」

　１点を先制された一回に右翼線二塁打を放つと、同点のホームを踏んだ。五回二死二塁では三塁線を破ったという当たりが不運にもベースを直撃。真上に跳ね上がり、二走は生還できなかったが（三塁内野安打）、直後の鳥谷の左前適時打につなげた。七回一死でも右翼線二塁打。４度目の３安打猛打賞で、移籍３年目で甲子園初のお立ち台をつかんだ。

　「オヤジの体調がよくないんで、元気を与えることができた」

　虎党からの祝福の嵐を終え、通路での囲み取材にうつったとき。父・晃二さんの体を気遣った。

　グラウンドではヘッドスライディングあり、華麗な守備ありと豪快なイメージがあるが、相手のことを誰よりも考える優しさを兼ね備えている。

　その平野がつないだ五回二死一、三塁で左翼＆遊撃手がお見合いのポテンヒットを放った鳥谷は「ラッキーとしかいいようがありません」。そして最後もガッツマンが「明日も勝ちます！！」。と叫んだ。

阪神・藤川俊、２度目のマルチ安打！

以来となる今季２度目のマルチ安打を放った。「（岩隈は）甘い球はほとんどこなかった。（第１打席で）見逃し三振したので、振ることだけを考えた。自信になります」。五回先頭では三遊間を破り、勝ち越しのホームイン。六回二死一塁でも左前打を放ち、ヒットエンドランを成功させた。

阪神・新井、キラリと光る同点タイムリー

キラリと光る同点タイムリーだ。４番の新井が１点を先制された直後の一回二死一、三塁から、左前適時打。６試合ぶりの打点をマークし、試合を振りだしに戻した。真弓監督が「いいピッチャーで崩すのは大変だったけど、立ち上がり（の阪神の攻め）はよかった」と振り返った反撃が、逆転勝利を呼び込んだ。

阪神・城島、盗塁阻止＆バント併殺見せた

城島が守備で魅せた。四回二死一塁の守りで、嶋の二盗を楽々止めた。４月１５日の巨人戦（東京Ｄ）以来４度目の盗塁阻止をマークすると、五回無死一塁では捕前へのバントをすぐさま二塁へ送球し、２－６－３の併殺を完成。「それ（追加点を与えなかったこと）に尽きるね。上手くクイックしてくれて、あのタイミングならベースの上にいけば十分だった」。投手戦を制し、ホッとした表情を浮かべていた。

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