つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2007.12.29
XML
カテゴリ: Book
栄口君が魅力を花開かせてます。プレーでは,巻末近くでゲッツーとる場面。栄口君がショートから球もらってセカンドベース両足で踏む瞬間,次の送球動作に反動をつけるためにもう体が傾いてるところとか,ステップから一塁スローイングにかけての無駄のない動作とか,とてもかっこいい。

そしてこの巻でも三橋に対して絶妙のホスピタリティを発揮。ミーティング後すぐ助け舟を出してあげるし,三橋のビビリが具体的にどういった感覚なのかとか,それを招いた過去の経緯にまで想像を及ぼし,しかも自分の想像力には限界があるってこともしっかりわきまえたりしてて。

しかしその栄口君,三橋の複雑な心の襞にはあんなにも深い洞察を見せるのに,花井のコンプレックスには全く気付かず「おい,田島がすげーぞ!」と,とっくに落ち込んでる花井に追い討ちかけてるのが笑えた。花井は花井で悟られないようゲンミツに隠してきたのかもしれないけど。


*

泉君も面白い。沖君や栄口君は,繊細さや気弱さといった点で多少共通点があるからこそ,三橋の心情についても想像がつくのだと思います。でも泉は一見そういうタイプでないにもかかわらず,わりと早くから三橋の言動パターンを理解し,いろいろ配慮してる姿が見受けられます。例えばこの巻だと,ミーティングの場面で,三橋がオドオドとした態度をとりはじめるとすぐ,三橋の表情を横目で観察しだして,成り行きをちょっと心配してる風の表情を見せます。

アベはやっと「おまえ意外といろいろ考えてんだな」程度の認識に到った所ですが,泉君は,栄口や沖とは全く別の経路から,三橋の賢さや思慮深さについて理解を深めてる気がします。今までも,田島と三橋の脱力会話に「俺はもう慣れたぜ」とか言ったり,三橋んちで「阿部はえばってるなァ」と阿部の鈍感さにいらつきはじめてたりもしてたけど。

沖-栄口ラインは,三橋についての理解を「どう阿部に効果的に伝えるか」について,けっこう苦労してます。もちろん栄口君はこの分野でもそうとう成果も挙げてるんだけど,個人的には泉がそこに参入してくるのを期待してます。阿部に遠慮無く,かつ効果的に苦言を呈することができる役割を,どこかで絶妙に発揮するのを見てみたい。誰がいちばん好きかってったら,最初からずっと阿部がいちばん好きなのですが。

*

崎玉戦で母親達が応援してる場面,観客席の一番上,球場の内側に並木とか灯篭のようなものがあったりして,不思議な雰囲気を醸し出してました。背景が単に「それっぽい雰囲気を出すための道具」ではなくて,ちゃんと意味のある場所として描かれてる気がして,好きになります。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.12.30 00:32:21
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Comments

inalennon @ Re[1]:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子(09/19) フィンちさん >この世は なんてままなら…
フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
inalennon @ Re:4年はあっという間(03/04) ハオさん >バーチュー&モイヤー組見…
ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: