つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2009.11.01
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カテゴリ: Other topics





いままで本文を読んだことは何度かありますが,そのときの最大の障害は「人称の複雑さ」でした。ただでさえ主語が省略されまくりなのに,人物の固有名詞がほとんど出てこないため,たまに出てきた人物が一体誰を指すのか分からなくなるのです。

理由の一つ目は,人物名が官位名や続柄で呼ばれる場合です。したがって,その人物が出世したり,家族が死んだりすれば自動的に変化します。

第二の理由は,同一人物の名称が,一つの帖の中でも場面ごとにころころと変わることです。これは素人読者の意欲をあっというまに削いでしまう,じつに強力な障壁です。

例を挙げましょう。第二帖に登場する源氏の相手は,後年「空蝉」と読者から呼ばれる女性ですが,この名前は本文には出てきません(知らなかった)。じゃあ本文ではどう呼ばれているかというと,「姉なるひと,女君,姉君,女,妹の君,継母」と,この帖だけで六つの異なる人称で呼ばれていることがわかります。もう,かんべんしてよ。

なにしろ主人公である光源氏ですら,4つほどの名称が使い分けられます。同じ帖の中で,義兄にあたる頭中将が「中将」と呼ばれているのに,源氏も「中将」と呼ばれたりします。文脈に沿って読めば誤解する危険は無いとはいえ,素人には大変です。特に私のように途切れ途切れに読む輩などは,途端にパニックです。



しかし,私が今読んでいる本には,各帖の始めにある人物紹介で,これらすべての人称がもれなく列挙されているので,大変便利です。他の本でも同じようなサービスはあるかもしれませんが,私が今まで読んだものにはありませんでした。



一回目は現代語訳で読んで,その次は原文を読んでいく予定ですが,あくまで予定です。では今回はこんなところで失礼します。じゃーごぼごぼ。







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Last updated  2009.11.01 11:38:36 コメントを書く


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inalennon @ Re[1]:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子(09/19) フィンちさん >この世は なんてままなら…
フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
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ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

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