2013年02月28日
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今日のまとめ

  1. 中国の習近平は最初の外遊先にロシアを選んだ
  2. 今回のトップ会談で「東方ガスプログラム」が前進する可能性がある
  3. 「東方ガスプログラム」はウラジオストックを終点とする公算大
  4. 日本にとっても極めて関心の高い問題

習近平のロシア訪問で「東方ガスプログラム」が前進か?

中国の新しい最高指導者である習近平総書記が三月下旬にロシアを訪問します。今回のトップ会談で長年懸案となってきた「東方ガスプログラム(Eastern Gas Program)」が前進するのではないかと見られています。

「東方ガスプログラム」とは

「東方ガスプログラム」とはロシアの天然ガス会社、ガスプロムが中心となって計画している巨大なプロジェクトを指します。それは東シベリアの天然ガスをパイプラインによってウラジオストックまで持って来て、そこで液化天然ガス(LNG)に加工し、中国やその他のアジア地域の諸国へ輸出する計画です。このプロジェクトは総額400億ドルにものぼる莫大な先行投資が必要となるため、これまでも折あるごとに話題にのぼりながら、進展がありませんでした。

結局、当初計画されていた、直接天然ガスパイプラインを中国へつなげる方法は退けられ、今の時点ではウラジオストックをパイプラインの終点とし、そこに液化天然ガス(LNG)のプラントを建設して、LNG船で輸出するという方法に落ち着くと言われています。このパイプラインは下記の天然ガス田から生産される天然ガスを輸送します:

  • ユルブチェノ・タモホ天然ガス田 (確認埋蔵量7,000億立方メートル)
  • ソビンスコ天然ガス田 (同1,700億立方メートル)
  • コヴィクタ天然ガス田 (同2兆立方メートル)
  • チャヤンダ天然ガス田 (同1.2兆立方メートル)
  • サハリンI・II天然ガス田 (同9,000億立方メートル)

このうちサハリンから出る天然ガスに関してはハバロフスクまで既にパイプラインが通っています。「東方ガスプログラム」で新たに建設されるパイプラインは3,200キロメートルに及ぶと言われています。ウラジオストックに建設される液化プラントは年産1,000万トンの処理能力を予定しています。

このプロジェクトに関しては、「折角、東シベリアから延々とパイプラインを引っ張ってきて、直接中国に連結しようと思えばそちらの方が安く上がるのに、なぜわざわざウラジオストックで一旦液化して、そこからLNG船で輸出するという、手の込んだ方法を採用するのだ」という批判の声も上がっています。

これに関してはパイプラインを中国に直接引き込むと、顧客が中国だけになってしまい、価格交渉の際、立場が弱くなるというジレンマを避ける狙いがあると思われます。またLNGにして輸出すれば、変動の激しいスポット市場で有利に天然ガスをさばくことも出来ます。

一方、日本や韓国の立場からすればロシアからLNGを買えるようになれば、カタールやオーストラリアへの依存比率を減らすことが出来るので、価格交渉を有利に進めることが出来ると予想されます。このためロシアがウラジオストックでLNGプラントを建設する際の借款などにも積極的に参加することが予想されるのです。

つまりロシアは中国、日本、韓国を競争させることで、有利な融資・輸出条件を導き出そうとしているわけです。

長期での需要予想

いま長期での世界の天然ガス生産と消費がどのように成長するかを考えた場合、アジアの重要性が際立っています。

したがって、ロシアは今回の習近平の訪ロで何としてでも「東方ガスプログラム」の商談を前進させたいわけです。そしてこれは日本にとっても極めて重要な意味を持つ材料です。






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最終更新日  2013年03月19日 10時43分27秒


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