July's July

July's July

2015.10.18
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 どこかで読んだ記憶があるのだが、村上春樹がねじまき鳥クロニクルを書いていたとき、登場人物が映像として幽霊みたいに自分のもとにやってきてまとわりついた、ということを書いていた。たぶんほかの小説家たちもそういう状態というか、そういう経験はあるのではないかと思うが、そのことを書いてる小説家はほとんどいなかったと思う。かろうじてトルストイが同じことを言っていたような気がする。

 これはすごいことだと思う。脳細胞がものすごい活動状態にあるときふとした瞬間にハイパーワールドの扉が開くのではないかと思う。残念ながら僕は文章を書いていてそういう経験はまだない。

 昔大学に入ったとき剣道部にはいって合宿でマラソンやらコンパやらでめちゃめちゃ疲れてもうダメかなと思ったときすうっと何かが取れて楽になり大きな声が出るようになり稽古をしているときに相手が何を考えているかまるでテレパシーみたいに手に取るようにわかる状態になったことがあった。あえて言えばそれが一番近い経験かもしれない。本当に相手の考えていることがテレパシーのように伝わってきたのだ。

 よく宇宙飛行士が何日が宇宙で暮らしているうちに相手が考えていることが手に取るようにわかる状態になったという話をしているのを読んだことがあるが、僕の経験から言ってもそれは本当のことなのだと思う。

 たぶん酸素の濃度が通常より多い状態でその中に何日かいると脳細胞が活性化してそういう状態になるのではないかと思われる。

 小説の中の登場人物たちが映像になって幽霊のようにやってきてまとわりつくとは、テレパシーの次元をはるかに超えている。まとわりついていったい作者に何を訴えたのだろう。

 小説家はそんな状態になれたら本物なのではないかと思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.10.18 23:26:17


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: