July's July

July's July

2015.11.09
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 最近の人の小説の中では一番気に入っているのが「ねじまき鳥クロニクル」でおそらく7回ほど読んでいる。谷崎潤一郎の「細雪」でも4,5回なのでよほど気に入っているということになる。

 クロニクルという言葉にとても新鮮な感じを覚えた。そしてねじまき鳥という不可思議な造語、いったい何だろうと思わず引きつけられる。もうタイトルからして読みたくなるタイトルだ。なんともスマートなタイトルだなと思う。
 僕は造語が創造力の一つの目安だと思っている。今まで世界に存在しなかったものを作り出そうとするなら言葉も新しい言葉を作るのが当然なのだ。だから僕は造語は積極的に評価している。むしろ造語がないものはつまらないし才能がないのだと思う。
 当時僕は失業していて主人公の岡田亨ときわめて似た環境だったのでまるで自分のことが書かれているような気がして読んでいた。感性の原型がとても似ている感じを受けた。音楽がわかる人なのだと思う。プリンスの認識の仕方で僕は村上龍を意外につまらない人だなと思った事がある。つまり村上春樹の感性の方に軍配をあげたということになる。
 実際最近の村上龍の長編小説はしなやかさ、のびやかさにかけている。勉強のしすぎの結果ではないだろうか。学問なんて凡庸な二流の人がやむを得ず食うためにやるつまらない仕事なのだぐらいに思っていてちょうどいいのだが、高卒や大学中退の連中ほどなぜかつまらない学問にあこがれるものだ。

 さて、「ねじまき鳥クロニクル」は画期的な小説だなと僕は思っている。なぜかというとフラクタル構造をもった小説だからだ。いたる部分で様々な物語がフラクタルの中に折りたたまれていることを示唆する小説なのだ。そういう印象を僕は持った。
 フラクタルがどういうものなのか知らない世代はなかなかイメージがわかないかもしれないが、僕はアトラスというフラクタルを使ったゲームで遊んだ世代なのですぐにぴんときた。これはフラクタルなんだと。ちなみにこのブログの看板もフラクタルで僕がつくったものだ。
 すべての小説を読んでいる訳ではないのでそれまでそんな小説があったかどうかは知らないけれど、すくなくともフラクタル構造を想起させる小説は僕は初めてであった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.11.10 03:30:20


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: