きまぐれうさぎ

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2010.07.16
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テーマ: 本日の1冊(3798)
カテゴリ: カテゴリ未分類
「ストーリーセラー」アンソロジー
伊坂幸太郎「首折り男の周辺」、近藤史恵「プロトンの中の孤独」、有川浩「ストーリーセラー」、米澤穂信「玉野五十鈴の誉れ」、佐藤友哉「333のテッペン」、道尾秀介「光の箱」、本多孝好「ここじゃない場所」


表紙に大々的に「面白いお話、売ります」や「読みごたえは長編並み、読みやすさは短編並み」と書かれた、ベテランや旬の作家さん達が勢ぞろいのアンソロジーです。これはもう読む前から嫌でも期待が膨らむってものです。
で、実際読んでみて収録されている作品の質も悪くないし、読んで損した感じもしなかったので良質なアンソロジーであると言えるのですが、表紙にあった大々的な文句の為に期待が膨らみ過ぎたせいか、若干物足りなさや肩すかしを感じたような気もしました。
純文学なら中編くらいの長さが合っているように思うのですが、ストーリーものを中編にまとめるのはなかなか難しいのかもしれません。
しかし普通に楽しめるアンソロジーですので、表紙の文句につられ過大な期待を寄せずに気楽に読めば、十分に楽しめます。



伊坂幸太郎「首折り男の周辺」
複数の話が一つに繋がって行く爽快感やユーモアのある会話が、いかんなく発揮された伊坂幸太郎のダイジェスト版的な作品だったと思います。伊坂幸太郎を読んだことのない人には、簡潔にまとまったこの作品は、作者を紹介するのに丁度良い作品になるのではないでしょうか。ただ、それだけに伊坂作品を思いっきり堪能したい人や、新しさを求めてる人には少々物足りないかもしれませんが。

近藤史恵「プロトンの中の孤独」


有川浩「ストーリーセラー」
愛する妻が未知の病に侵されてしまうという、涙を誘う物語です。作者特有の甘い恋愛の話も登場し、ただ悲しいだけの物語になっていなかったのが良かったと思います。ただ、個人的にこの作品の中で最も印象に残ったエピソードは、やけにリアリティのある身内のごたごたや作家活動の話の方でした。身内のごたごたは置いておくとしても、作家活動の方で「実際に仕事でこんなトラブルあったの?」とか「実際にこんな嫌がらせされたの?」など、野次馬根性が働いてしまいそっちに気を取られていたせいで、肝心のストーリーをあまり堪能出来なかったのが残念でした。


米澤穂信「玉野五十鈴の誉れ」
前に読んだ「儚い羊たちの祝宴」にも収録されているこの作品。感想はそっちで述べてしまったので、ここでは内容についての記述は避けますが、このアンソロジーの中では他と少し違ったテイストのこの作品がアクセントになっていて良ったのではないでしょうか。

佐藤友哉「333のテッペン」
これも何かのスピンオフなのでしょうか。いまいちすっきりしないまま終わる作品でした。
あんまり読んだことのない作家さんなのですがこの作者の作品はなんとなく際どい所にいると感じました。凄く深いことを語っているのか、それともただ難しそうに語っているだけで意味の薄いことを語っているのか、その境界にいるような感じを受けました。なので、読む人が、その境界のどちら側として捉えるかで好き嫌いが分かれるような気がします。

道尾秀介「光の箱」
この作品が一番このアンソロジーのテーマに嵌っていたように感じました。中編の長さに物語がぴったり合っているし、読者を離さない展開と、読者の予想を裏切る結末がきちんと用意されているので、上手くまとまっている作品だと思います。作者のファンも初めて読む人にもおすすめの作品です。

本多孝好「ここじゃない場所」
これもスピンオフだろうかと考えてしまうような説明不足な終わりでした。一応ミステリなのですが、そこは意外にあっさりしています。主人公の行動や考えにあまり共感出来なかったのでいまいち物語に入り込めないような気もしました。というか主人公だけじゃなく女友達など、女性の登場人物たちにリアリティを感じなかったのが少々残念でした。





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最終更新日  2010.07.16 21:20:42
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