きまぐれうさぎ

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2010.11.16
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テーマ: 本日の1冊(3799)
カテゴリ: カテゴリ未分類
西加奈子「おはよう」 豊島ミホ「この世のすべての不幸から」 竹内真「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」 光原百合「木漏れ陽色の酒」 佐藤真由美「ダイヤモンドリリー」 三崎亜記「あの空のむこうに」 中島たい子「やさしい本音」 中上紀「像の回廊」 井上荒野「きっとね。」 華恵「やさしいうそ」


「嘘」をテーマにしたアンソロジー。嘘をテーマにしているのですが、タイトルに「やさしい嘘」とあるように全体的に温かい雰囲気の物語が多かったです。「嘘」は基本的にいけないことだとは思いますが、「嘘」をつく人も「嘘」をつかれる人もお互いを慮ることによって、「嘘」の裏側にあるものに気付くことが出来き、「嘘」を通して人間的に成長出来ならば、それは一概に悪いこととは言えないような気がしました。
ほろ苦くもほんのり温かいので、今の季節にはピッタリのアンソロジーだと思います。


西加奈子「おはよう」
同棲をしている若い恋人同士の話でした。この作者らしい家族の温かさを感じさせてくれる作品です。何気ない日常を大切にしたくなるような作品でした。

豊島ミホ「この世のすべての不幸から」
とても醜い妹を世話する兄が主人公の物語。生まれた時から土蔵に閉じ込められて育つ娘など、個人的に好みのテイストの作品でした。少し短かったのが残念だったのと、もう少し雰囲気のある文章だったならもっと良かったような気がしました。

竹内真「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」
月に土地を持っていると話すクラスメイトが登場する物語。初めて読んだ作家さんでした。全体的に雰囲気の良くて悪くない物語なのですが、あまり心に深く残らない印象でもありました。


マノミと呼ばれる不思議な果実を巡るファンタジックな物語です。作品に登場するお酒がなかなか面白い設定で、「世にも奇妙な物語」の原作になれそうな雰囲気で面白かったです。また、切ない余韻を残すラストも良かったと思いました。

佐藤真由美「ダイヤモンドリリー」
男の子とその母親の女友達の物語。初めて読む作者でした。ありがちな設定ながら、まとまった印象の作品でした。ただ、主人公の少年や、母親、その女友達などの性格にいまいちリアリティが感じられなかったのが残念だったと思います。

三崎亜記「あの空のむこうに」
恐らく少しだけ未来の物語。この作品で一番ネガティブな雰囲気の作品でした。読み進めていくうちに頭の中で描いていたイメージが、どんどん塗り替えられていくことになると思います。

中島たい子「やさしい本音」
何気ない日常を描いた作品。この作品を読むと、普段生きているなかで、自分も結構嘘をついているんだなと気付かされます。美容院の描写は秀逸で、結構「あるある」と感じる人も多いのではないでしょうか。

上条紀「像の回廊」
旅を通して知り合った男女三人の微妙な距離感を描いた作品でした。この作者らしく風が吹き抜けてゆくようなイメージの作品です。切ない余韻を残す物語でした。

井上荒野「きっとね。」
ゲイのカップルを描いた作品です。なので、このアンソロジーの中でも少々毛色の違う作品でした。恋愛作品だったのですが、少々食傷気味になっていたこの作品の中で良いアクセントになっていているんじゃないかと思いました。


少年と母親の女友達の物語。女同士は男同志よりも嘘が多いように思います。それを、思春期の少年の目線から描いた作品でした。少々気になったのは主人公が思春期にしては、良い子過ぎるところと、「ダイヤモンドリリー」と主人公がだぶって見えてしまったところでしょうか。もう少し少年にバリエーションが欲しいと感じてしまいました。





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最終更新日  2010.11.16 21:18:09
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