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2023.06.27
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​ ​ぼくのあだ名を知ってるかい 新聞健ちゃんと言うんだぜ
​
 そうぼく鈴本健二は中学二年になったばかりだが、先月はじめに父親と兄貴が事故にあって急死してしまい、病気の母親と小さい妹を養うために新聞配達をしているのだ。朝刊配ってもう三ケ月、朝早く起きるのはなんとか慣れたけど、12月になって急に寒くなってしまったな。
 でも朝刊だけでは収入が足りないので、今月から夕刊も配ることにしたんだ。それほど寒くないし部数も少ないので、朝刊よりはずっと楽なのだけど、皆が活動している時間なので、黙々と新聞を配っていても退屈でしょうがない。

 それで近所にいる子分のひろしを誘うことにした。ひろしに配布先を教えて二人で新聞を配ると、当然だがかなり効率が良い。それに話をしながら配達していると退屈しないし、いつの間にか終わってしまう気がしてとても楽である。
 ひろしには自作の怖い話をして、脅かしてやれば「キャーッ」と言いながら飛び回っているが、面白くて堪らない様子だ。怖い話とは例えばこんな話である。

 A君とB君は仲良しで、一緒に旅行に来たのだが、夜中になるとやせ細ったB君が布団から抜け出して、フラフラと外に出て行くのだった。どこへ行くのか気になったA君が、後をつけて行くと、B君は近くにある墓地のほうへ歩いて行った。そして墓石を堀り返して、死体を取り出してガリガリと骨までしゃぶっていたのだ。
 びっくりしたA君が思わず声を上げると、「見たな~」と言いながら振り返ったB君が、A君に向かって襲い掛かってきた。

 そしてぼくは「グワー」と言いながら持っていた懐中電灯で顎を照らして、ひろしに襲い掛かるのである。と……いつも同じような話をしながら、同じパターンでひろしを脅かすのだが、ひろしはいつも同じように逃げ回っていた。だが最近は話のネタも尽きてくると、ひろしもだんだん驚かなくなり退屈そうな顔を向けるようになってしまった。

 そんなある日、いつものようにひろしを誘いに行くと、「家の仕事があるから、もう一緒に行けなくなった」と断られてしまった。よく話を聞くと最初の頃はひろしの両親も、ぼくの親孝行な新聞配達に感心していたのだが、毎日のようにひろしをただ働きさせていたので、そんな暇ならば「家業の和菓子製造の仕事を手伝え」と父親に叱られたということらしい。まあ残念だが、ひろしの父親が怒る気持ちも分かるので、もうこれからはまた一人で新聞配達をすることにした。

​新聞配達つらいけど きっといつかはこの腕で つかんでみせるよでかい夢​

​作:五林寺隆​


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最終更新日  2024.01.05 15:08:48
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