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2025.02.28
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 最近は誰でも歌える歌が少なくなってしまった。また誰でも彼でも「シンガーソングライター」気取りで、歌詞は悪くないのだがメロディーのないラップのような曲ばかりで、心に染み渡らないため興味も沸かず、もちろん覚えることなど至難の業なのだ。もちろん例外はあるとしても、やはり少なくとも作曲はプロの作曲家のほうが体に馴染みやすいよね。
 それにグループで踊りながら歌うジャニーズ系・AKB系のアイドルたちに至っては、そもそもファンたちは一体感が目的なので、歌そのものはオマケといった感がある。結局のところ現代は誰もが口ずさめるような歌がほとんど存在しないから、テレビ局も歌番組を創らないのだろうか。それどころかやはり一体感目的のコンサートが中心になったため、CDの売り上げもかなり落ち込んでいるという。

 ただメロディーのはっきりしない歌を間違えずに歌うのだから、現代のシンガーソングライターたちの歌唱力がかなり向上していることは間違いないのだろう。とは言え、難しい歌を聞くだけではなく、自分も歌って楽しめるほうがエンタメとしての懐が広がることは間違いないはずである。また歌全体の種類が少ないため、どれもこれも同じような歌にしか聞こえない。だからモノマネ番組を見ても、昔の歌手のモノマネは面白いのだが、最近の歌手のそれはさっぱり分からずチンプンカンプン状態になってしまうのだ。
「それはお前が年寄りだからだ」と言われるかもしれない。確かにその通りなのだが、少なくとも現代の歌の世界がかなり狭い世界に追い込まれていることだけは間違いないだろう。

 前置きが長くなってしまったが、戦後の昭和時代は、まさに「歌謡曲だよ人生は」だった。とにかくいろいろな人がいろいろな歌を歌っていたし、世代間のズレも少なく老いも若きも同じ歌を知っていた。カラオケなどない時代でも、忘年会や社員旅行では手拍子で「唱歌」「童謡」「軍歌」「歌謡曲」「演歌」「民謡」「ロシア民謡」「TV主題歌」「英語の歌」「シャンソン」「フォークソング」「ロック」それらに加えて「グループサウンズ」なども歌われていたよね。

 さていまは死語になってしまった「歌謡曲」だが、その守備範囲はかなり広かった。

「芸者ワルツ」「ヤットン節」「おひまなら来てね」などのお座敷歌謡、舟木一夫・西郷輝彦・三田明などが歌う学園歌謡、三波春夫・村田英雄・一節太郎の浪曲歌謡、東京ロマンチカ・ロスインデオス・クールファイブなどが歌うムード歌謡、松田聖子・山口百恵・中森明菜などのアイドル歌謡、荻野目洋子・松山千春・稲垣潤一などのニューミュージック歌謡、松任谷由実・玉置浩二・井上陽水などのシンガーソングライター歌謡、石原裕次郎・小林旭・加山雄三・吉永小百合などの俳優歌謡、まだまだ山ほどあるが、美空ひばり・沢田研二・都はるみ・チェッカーズ・プリンセス プリンセス・テレサ・テンなどのレジェンド歌手の歌謡曲も巷に溢れかえっていたものである。
 さらに現代の「嵐」「スノーマン」などの先祖ともいえるジャニーズ系のグループとして「ご本家・ジャニーズ」「スリーファンキーズ」「フォーリーブス」なども存在していたし、「AKB48」・「乃木坂46」などのアイドルグループの原点である「おニャン子クラブ」も昭和生まれである。

 おまけに付け加えると「ヒット歌謡映画」なるものが頻繁に上映されていた。これは大ヒットした歌謡曲名をタイトルとして、それを歌う歌手が主役または準主役として出演する映画のことである。もちろんスクリーンの大画面の中でお目当ての歌手がヒット曲を熱唱するのだから、ファンにはたまらない映画であった。
 具体的には、加山雄三の「若大将シリーズ」をはじめとして、橋幸夫・舟木一夫・西郷輝彦・三田明・黛ジュン・石原裕次郎・植木等などの映画が多く創られていた。

 あーっ疲れた、だがここに記した昭和の歌や歌手はほんの一握りに過ぎない。いずれにせよ戦後の昭和ほど歌謡曲いや歌の世界全体が輝いていた時代はないだろう。ところが悲しいかな、現代では小学校でも唱歌は歌わないらしいし、5歳違えば歌う歌はガラリと変わるといわれている。そして現代では過去の歌謡曲はフォークソングやグループサウンズなども含んで「演歌」としてひとくくりにされているではないか。
 それにしてもだ、あれほど活況だった昭和の歌謡界はいったいどうして消えてしまったのであろうか……。淋しいより悲しみばかりが心に染み込んでくるではないか。

​作:五林寺隆​

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最終更新日  2025.02.28 15:27:32
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