真理を求めて

真理を求めて

2003.05.22
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昨日紹介した田中さんの本をもう少しで読み終えるけれど、田中さんの文章はとても面白いので、しばらくは田中さんにしぼってその著書を読みたいと思うくらいだ。衝撃的で、自分が考えもしなかった観点を教えてくれるという点でとても刺激的だ。しかもそれが説得的で充分納得がいく。

「アメリカ「超帝国主義」の正体」で衝撃的な考えは、今アメリカを支配しているネオコン勢力の考えが、基本的には世界を不安定な状態にして、アメリカの強大な軍事力を必要とするような状況を常に作り出しておくというものだった。常に有事体制を作り出すことが基本政策になっていくだろうという予測だ。

有事体制というのは、日本の法律でもそうだと思うが、議会の承認を経て何かを行うというのでは対処が遅すぎるという議論で、権力を集中させる独裁体制を何らかの形で承認するものになっている。平時なら許されることのない、民主国家での独裁が、有事なら実現出来るということは右翼的な保守層にとっては非常に都合のいいことだ。

アメリカの民主主義は、世界の平和を願い、多くの人々の幸せを実現する方向に進むということが、全くの幻想であるということを田中さんは教えてくれる。テロリストについても、ネオコンの考えとしては、それは温存しておく方が利用価値が高いという結論になってくる。イラク戦争は、テロリストを生み出すのだからやめるべきだという批判は、ネオコンには届かないのだ。テロリストを生み出すのはかえって好都合だということになる。

権力の座にいる人間はテロリストには狙われない。テロリストは、パレスチナを見ても分かるように、戦車やミサイルに石を投げて抵抗するような人たちだ。直接強大な軍事力にぶつかることが出来ないからテロに走ってしまう人々だ。狙われるのは、もっとも警備が弱いところになる。もしくは、権力の側がわざとやらせるために警備を手薄にしたところになる。それはたいていは一般民衆が集まるところになる。

権力は、このテロを憎しみの心を植え付けるのに使うだろう。そうして民衆が憎しみあってくれれば、国内的にも反政府運動をする人間を多く生み出さなくてすむからだ。反政府運動をする人々を孤立させておけば弾圧するのにも都合がいい。アメリカの今の状況がそれに近いだろうか。

このような状況を田中さんに教えてもらうと、現在は悲観的な要素ばかりで絶望するしかないようにも思えてくる。しかしこのような状況だからこそ、民衆の多くの部分がもっと賢くなって、憎しみの気持ちを乗り越えなければ、本当に悲惨なことになってしまう。こんな状況だからこそ民衆は、お互いに理解し合い手を取り合わなければならないと考えていかなければならないと思う。国家の枠を越えて世界市民を形成するというジョン・レノンの夢が実現しないと、我々はひどいことになるだろう。

世界市民になる必要がない時代は、それを訴えてもそれは「夢物語」として相手にされないかもしれない。でも、それが必要だという時代になったら、もしかしたらこの夢が実現されるんじゃないだろうかと、そう未来に光を見ながら生きたいものだ。ジョンは、少し早く生まれすぎたけれど、時代がようやく彼に追いついてきたと思いたい。

イラク戦争が起こるかもしれないという時に、世界中で盛り上がった反戦の思いは、世界が一つになっていく可能性を感じさせてくれた。アメリカにも、マイケル・ムーアのような人が生まれるということは、民衆のレベルでは人々は理解し合えるということを、これまた感じさせてくれるのではないだろうか。






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最終更新日  2003.05.22 10:56:46
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