真理を求めて

真理を求めて

2003.12.23
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今日目を引いたニュースは、道路公団民営化枠組み決定を知らせるものだ。僕が購読している毎日新聞でも1面のトップニュースだった。

それぞれの立場から利益を代表するような主張は、眉につばをつけてみなければならないけれど、問題はどの主張が立場を離れた客観性を持っているかということだ。本来は信頼できるジャーナリズムこそが中立性を持っているのだが、マスコミはジャーナリズムという点では信用できないので、報道された事柄からいかにして客観性を読みとらなければならないかを考えたい。果たしてそんなことが出来るだろうか。

まずは、解釈を含まない事実の報道として、次のものを基礎に置くことにしよう。

「<道路公団>民営化の基本的枠組みの要旨
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031222-00001048-mai-bus_all

ここに書かれていることは、明確に一つの解釈が出来るようにはなっていないだろうから、これの解釈にどれだけの客観性があるかを見ていかなければならない。それぞれの立場からの解釈を報道しているものを見ていこう。まずは小泉さんの解釈だ。

「8割以上は民営化委員会の考え尊重=道路改革案への反発で首相
「改革の難しさだ。賛成者(の間で)も賛否分かれる。反対者も賛否分かれる。ここが改革の難しさだ。しかし、2年前は出来ないといっていた。(未整備計画路線について当初見込んでいた建設費用)20兆円を10兆5000億円まで削減した。必要な道路は作らなければならない。コストも削減した。8割以上は(民営化委員会の考えを)尊重している」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031222-00000643-reu-bus_all



一方、基本的枠組みに反対する側からの主張は次の記事に書かれている。

「<道路公団>民営化推進委の2委員が辞表提出
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031223-00000072-mai-pol

ここには、反対の理由として次のようなことが報告されている。

「田中、松田、川本3氏は記者会見し、田中氏は(1)この枠組みでは債務返済が遅れることは確実(2)新会社の経営自主性が担保されていない――などと批判。松田氏も新会社による道路資産の保有ができない点などを批判し、川本氏も「新しい特殊法人が増えただけ」と述べた。」

これも、具体性という点ではまだ不十分ではあるけれども、具体性を持たせるような方向を感じさせる主張だ。なぜ債務返済が遅れるかを具体的に説明してくれと求めることが出来る。どこに経営自主性が担保されていない面が出ているのかの説明を求めることも出来る。

しかし、小泉さんの主張では、具体的な説明に発展することが出来ない。安く作れるからいいというのなら、無駄かどうかはどうなっているのか、ということはもう議論しないのだろうか。今まで安く作れなかったのはなぜなのかということも具体的に説明できるのだろうか。8割ということの具体性はどうやって説明するのだろうか。具体的に展開できない説明は、いったい説明といってもいいものか。

委員の中にも、評価している人間がいるようだが、その理由は具体性を持っていない。次のような感じだ。

「猪瀬氏は単独で会見し、「日本道路公団の分割、建設費削減、自主権などが無駄な道路の歯止めになる。良か可の線だ」と評価。大宅映子委員も「100点満点ではないが、良い方に進展した」とのコメントを出した。」

どうして歯止めになるのか、何も説明せずに、ただ単語を並べているだけなのではないのか。100点満点でない限り無駄な道路の建設など止められないのではないか。抜け道が一つでもあれば、そこから利権が広がっていくのは歴史が教えているのではないか。ここには次のような報告も書かれている。

「田中氏は22日午後に合意内容への対応を協議する委員会を開く予定だったが、猪瀬、大宅氏の都合がつかず、定足数(委員の過半数)を満たさず開催できなかった。」



さてこのことに関しては、事実の報道のみではなく、その解釈についても書かれた記事がある。マスコミは客観性に疑問が残るが、直接的な利害関係にはないので、まだ客観性の要素が多いかもしれない。読売の解釈を見てみよう。次の記事だ。

「高速道、全線建設可能に…民営化の枠組み決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031222-00000002-yom-bus_all

読売は、この見出しを見る限りでは、あの枠組みでは建設の歯止めにはなっていない、建設が可能になったという解釈をしているように見える。次のような文章が見える。

「黒字路線の収入を採算性の低い路線の建設に充てられる「プール制」が実質的に維持された形で、4公団で約40兆円に上る債務の返済を優先すべきだとしてきた政府の道路関係4公団民営化推進委員会の一部委員が反発するのは確実だ。」



「<道路公団民営化>すり替わった改革目的
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031223-00000163-mai-pol

この記事は冒頭で、「市場原理を働かせ、無駄な道路を造らないことを目的にした小泉純一郎首相の道路改革は、単なる建設コストの削減にすり替わってしまった。」と語っている。僕が受けた印象と同じだなあ。僕の感じ方が、客観的なものに近いかどうかは、立場を離れた人の多くが同じように感じるかどうかにかかっているんじゃないだろうか。

「民営化委の最終報告が示した民営化後の道路建設では、路線ごとの収支・採算性の低い新規建設には民間金融機関の選別も当然厳しく、資金調達が望めないため、建設の一定の歯止めとなるはずだった。

 しかし今回の改革では、独立行政法人の「保有・債務返済機構」が、新会社が建設した新規の道路資産を負債ごと引き受けることが確実で、現行の公団方式と大きく違わない「政府保証付き」融資案件となりかねない。」

この解釈をとると、将来的にも無駄な道路を造る歯止めにはならないと言うことになる。未来が本当にこの予想通りになったら、その無駄の責任は誰がとるんだろうか。せめて、無駄が証明されたときの責任がどこにあるのかを明確にしてからスタートして欲しいな。無駄な道路を造った人間は、それこそ私財を投げ捨てて責任をとらせるような仕組みを作って欲しい。

「ただ新会社が示した建設できない理由が、審議会で「正当なものと認められる」場合には、建設は見送られるが、その判断基準は明確でない。新会社の拒否権を一応は認めるものの、最終的には国が判断する仕組みともいえ、「自主権の行使は不透明」(公団幹部)といえる。」

という解釈では、やはり無駄な道路建設の歯止めにはならないと言うことだ。むしろ、新たな利権が絡んできて、無駄がさらに進むという事態にもなりかねない。

「民営化問題の本質は、高速道路の建設に民間原理と採算性重視を導入する抜本改革か、コスト縮減の改良手法かの選択であり、前者こそ推進委の発想で、道路族が容認できないものだった。」

という解釈は、どちらの改革が日本の未来に明るさをもたらすのかを問いかけている。一部の利権に奉仕する構造を温存したままの改革になるのか、利権を廃し、賢い人間こそが生き残る構造にするのかということではないかと思う。こういうむしろ改悪に近い改革をしている小泉さんが、他のことでも現状を正しく認識してそれにふさわしい対処をしているとはとうてい思えない。これで、イラクへの自衛隊派遣に反対するための理由がもう一つ増えた感じだ。小泉さんが送りたいと思っている限りでは、これは正しい判断とは思えないので、やっぱり派遣は反対だ。

この記事以外にもちょっと目についたのは次のものだ。

「<教員>「わいせつ」処分、最多の148人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031223-00000110-mai-soci

僕も教員をしているけれど、この問題では同業者をかばう気持ちは全然わいてこない。記事の中の森毅さんの次の意見に賛同しちゃうな。

「先生たちが急にわいせつになったとは考えにくい。いままでうやむやになっていたものが表に出やすくなったのではないか。昔と比べて子供や親が教師の行動に敏感になっていると考えられる。ただわいせつだと相手が感じれば、わいせつ行為なのだから教師は自戒しないといけない。教師の常識は世間の非常識というのは多い。せっかく出た数字なのだから、その質的な分析をする必要があるだろう。」

被害者が泣き寝入りをしなくなったので、これはむしろいいことなのだろうと思う。今まで不当に見逃されていたものが、正当に裁かれることになっただけだと僕は思う。イラクでは、相変わらず道路に仕掛けられた爆弾で死ぬ米兵が多い。

「爆弾攻撃で米兵ら3人死亡 イラク旧陸軍少将を拘束
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031222-00000289-kyodo-int

このことに関しては、僕は次のように解釈する。米兵が車で移動すると言うことはなくすことは出来ないから、道路に爆弾を仕掛けられるという心配はこれからも存在する。

問題は、米兵がどの道路を通過するかが、爆弾を仕掛ける人間がどのように情報を入手するかだろう。スパイ行為による情報入手だとしたら、これは減ってきてもいい感じがする。フセイン拘束をしたときに、かなりのスパイ情報も手に入れたみたいだから。

しかし、米兵がどこを通るかは、毎日生活している人間にはすぐに分かるものだ。そうすると、いつどこに米軍の車が来るかは、生活者の協力があればかなりつかむことが出来る。もしそうであったら、反米活動は、市民の支持を得て行われているかもしれない。だから、あれだけの武力と情報網がありながら、単純な戦術にいつまでも手を焼いてしまうのではないか。

イラクはベトナム化しないと言う人は多い。確かにベトナムとそっくり同じ状況にはならないだろう。イラク人の間には対立がある。しかし、イラクの反米勢力は一つにまとまらなくても、アラブ全体の反米勢力は、イラクをきっかけにまとまってしまうかもしれない。イラクはベトナム化しないが、ある意味ではアラブ全体がベトナム化してしまうことになっちゃうんじゃないだろうか。





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最終更新日  2003.12.23 10:53:29
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