名無し人の観察日記

名無し人の観察日記

2023.09.22
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9月は関東大震災があった月なので、各地で防災についてのイベントがあったりしますが、限界おリベラル様が それより関心を持っているのが大震災時に発生した朝鮮人虐殺事件 です。まぁこれも道義的に憤っているとかではなく、ただ単に 「被害者の側に立つ事で他人に対して道徳マウントを取りたい」というのが真の動機でしかない のですが。

その限界おリベ様方にとって格好の素材となっているのが、松野官房長官の記者会見です。

大震災と朝鮮人虐殺 史実の黙殺は許されない

関東大震災・朝鮮人虐殺「記録ない」 松野長官発言

関東大震災時の朝鮮人虐殺、神奈川での記録見つかる

と何度も同じネタで日記にしていますが、これは8月30日の官房長官記者会見で松野長官が記者の

「当時、被災地ではデマが広がり、多くの朝鮮人が軍・警察・自警団によって虐殺されたと伝えられています。政府として朝鮮人虐殺をどう受け止め、何を反省点としているのか。併せて、現在の日本社会における在日コリアンを含むマイノリティに対するヘイトスピーチやヘイトクライムをどう捉えているのか」

と質問したのに対し

「政府として調査した限り、 政府内において事実関係を把握することの出来る記録が見当たらない ところであります。いずれにせよ、災害発生時において、国籍を問わず、すべての被災者の安全、安心の確保に努めることは、政府として極めて重要であると認識しています」

現在の政府見解を踏襲しています 。平成29年にこの件についての質問主意書が当時立民の議員だった初鹿明博氏から出ているので見てみましょう。

関東大震災における朝鮮人虐殺に関する質問主意書(平成29年11月10日)
質問本文

答弁本文

政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらない ことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

国会答弁は閣議決定を経ているので、 政府の公式見解であり新しく閣議決定された新見解で上書きされない限り変更されませんし、官房長官がこれに反した事を言う事もありません。 これに対し 「内閣府の中央防災会議がまとめた資料があるので政府は嘘をついている」 と非難する意見が見られます。
この中央防災会議がまとめた資料ですが、質問主意書の中でも触れられていますね。

>内閣府の中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」報告書によると、関東大震災の「殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが、震災による死者数の一~数パーセントにあたる」と記載されています。関東大震災の死者数が約十万人であることを考えると殺傷事件による犠牲者の数は一千から数千人に当たります。

まぁ昔の通説である「六千人余りが殺害された」という主張に辛うじて合致しうる可能性がある事から、 普段は政府の言う事など頭から否定の対象とし、都合が悪ければ無視するか捏造されたあるいは改竄されたものとして非難しまくる限界おリベ様からも金科玉条として扱われている報告書 なのですが、これを踏まえた初鹿氏の質問がアホなので困った事になっています。

>政府は関東大震災に当たって発生した殺傷事件による犠牲者の総数が何人だと考えていますか。また、政府として把握している犠牲者の数は何人ですか。

うーん……
繰り返しますが中央防災会議報告書での記述はこれです。

殺傷事件による犠牲者の正確な数は掴めないが 、震災による死者数の一~数パーセントにあたる」

これが「政府の公式見解」であるとすれば、 答えは「人数はわからない」なんですよね 。なので 報告書を元に政府に虐殺被害者の人数を厳密に求める事自体がアホの所業 と言えます。
ついでに言うと、この中央防災会議の報告書は「災害に対する政府の公式な報告書」つまり 政府の公式見解ですらありません。

「過去に経験した大災害について、被災の状況、政府の対応、国民生活への影響、社会経済への影響などを体系的に収集することにより、被災の経験と国民的な 知恵を的確に継承し、国民の防災意識を啓発するとともに、将来の災害対応に資すること」

を目的とするとあり、数値については割とざっくりした内容しか書かれていません。 それをまとめるのが目的ではないからです。
災害の公式な被害総額や被害者数と言った資料を収集し、纏めているのは現代では総務省の統計局です。関東大震災があった時代だとおそらく内務省が同じ事をやっていたと思いますが、百年前の出来事で、しかも内務省の資料自体が敗戦とそれに伴う解体で散逸している部分も多く、関東大震災については死者・行方不明者の総数を「推定で10万5000人」としています。 推定なので正確な数は今も不明なんですね。
21世紀初めごろまではこの震災の死者・行方不明者は東大地震学教室の今村明恒教授がまとめた 「約15万人」が通説 でした。厳密に数えられるべき死者・行方不明者の総数ですら百年前は正しく計測できなかったし、そのくらい大きな災害だったわけで、おそらく今後も決定的な数は定まらないでしょう。まして 軍や警察と言った公的機関が関与していない民間自警団による殺害数などもっとわからない と思われます。

という事で「朝鮮人虐殺の被害者について、総数は何人?」という質問に対し、公式見解は「わかりません」な政府が、記者に対しても同じ回答をしたのが松野官房長官の記者会見というわけですが、まぁ見ての通り 背景事情を知らないとこの回答は「不誠実」に見えます 。初鹿氏の質問主意書も、この記者会見も、 おそらくはこの回答が来る事を知ったうえで「政府を不誠実に見せる事で支持者を煽る」のが目的 というわけです。実際は「わからないものはわからないとしか答えられないし、今となっては知る術もないし、いい加減な事は言えない」というのは、それはそれで誠意ではあるのですけどね。

しかし、限界おリベ様からしたらこの「いい加減な数字は言えない」政府の態度を逆手に取り、被害者の言う事を金科玉条として、とにかく被害者の見解に従え、従えないのは差別意識があるからだ、こんなレイシズム政府があるのは国民が愚かだからだ、みたいに言えれば 「自分たちが道徳的に高みにあるとマウントを取る」という目的は達成できるから願ったりかなったり ですね。それが良く現れているのがこちらの日記。

差別感情から攻撃 今も

>100年前の関東大震災時に朝鮮人虐殺事件が起きた原因は、当時の社会に「民族差別」があったからだと指摘する有識者は多いが、その100年後の現代日本では、「民族差別」はどうなっているのか

と愚問、もとい疑問を呈していますが、結局結論はこれです。

>低レベル日本人が、一定数存在するというのは、実に情けない実態

一定数と言いますが、ぶっちゃけ一億三千万人も日本人がいる中で、 アホな行為をやらかすのが千人もいない、と言うのは社会には良識がある証拠なのでは?  と私は思うのですが。何しろ千人と言うのは日本で殺人で逮捕される人数と同じくらいです。
そして日本は治安の良い国と言われています。 同じ人数のアホを見て一方では日本は治安が良いと言い、もう一方は日本の情けない実態だという奴がいたらそいつこそが真性のアホ でしょう。残念な事に限界おリベ様は その真性 なのですけど。





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Last updated  2023.09.22 22:14:16コメント(0) | コメントを書く


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