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F氏は着任後、管内の現状を現地視察するかたわら、リスク施設すなわち原発の災害対策、市町村の防災の指針である地域防災計画、なかでも原子力施設における地域防災計画(原子力災害対策編)、さらにこれまで実施した各種訓練の実施状況を調査してみた。 そして、消防の役割を検証するのである。「ん、原子力防災訓練において、自治体消防は住民の避難誘導を担当だって???」「おかしいな、災害の現場に出動して、被災者の救助や減災一般の活動をするのに消防が無関係!!!」「避難誘導以外に消防の役割がどこにも記載されていないではないか?」「いったいだれが現場で防災活動を指揮し、誰が活動をするのだろう???」「どうやら一時的に県のオフサイトセンター、そして最終的に国の中央防災会議、すなわち霞ヶ関の連中が指揮をとる??」「自治体の消防はなにもしなくてもよいということか。。。。。」「む、ひょっとして、原子力関連法の消防の現場活動を除外する規定があるのか????」 火影が調べた限りでは、そのような規定、法律は発見できなかった。 消防活動のバイブルたる消防法には、原子力災害は消防が現場対応していけないとは書いていないことはもちろん、災害対策基本法や災害救助法も同様だ。 むしろ、消防法には水火災その他災害とあって、あらゆる災害に消防が対応することを含んでいる。 原発災害の初動対応は、電力会社の自衛消防隊や職員に任せるのだろうか?もちろん、住民の避難は優先されるべきことは重々承知しているが、それだけで地域の住民の生命・財産の損失を最小限とすることが出来るのか? 消防の使命は国民すなわち会社従業員をふくむ地域住民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減することにある。(消防法第1条)一義的に、災害現場にいち早く駆けつけ、住民に被害が出ぬよう、主君を守るために敵の攻撃を一身に受け仁王立ちした弁慶のごとく、災害現場の最前線で活動するのが本分であると火影は承知している。もちろん、ただやみくもに身体を張るのではなく、民間人にはない専門的な防災知識と装備、さらにたゆまぬ訓練によって、常人には到達できない危険箇所に突っ込み、救助等の任務をこなすのである。「原子力災害についての除外規定はないな、では、わが消防本部独自の原発対応消防隊を創設しよう。」「避難誘導は、住民組織及び役場の一般職員の動員体制を強化することによって、まかない、消防職員は事故現場での活動に集中することにする。消防長と町長と直談判だ。」「それと町議会の説得だな。」「地域防災計画の書き換えも!」参考までに、福島原発事故では、東京消防庁が出動しているが、地元消防からの応援でなく、国からの応援要請に基づいている。本来なら地元消防本部から、まずオール福島の県消防の応援、それから国と、順を追うべきであるのに、いきなり地域の情報がない、あるいは福島原発敷地内の詳細地図や発電所構造図等の情報が得られない中での消防活動は、危険きわまりなく、無謀ですらある。消防は消防団や水防団とともに、地元の組織であり、ふるさとを愛し、住民を守るために働くという目的がある。かような実力部隊、組織を活用しないで、いきなり霞ヶ関の人間が来て、民間企業や民間人である東電従業員に指図しても、効果は得られない。放射能対策など後手後手となり失敗するのも当然と言える。本来災害対策は、地元の消防が責任を持つべきで、原発事故関連の知識、車両・防護服等の装備、そして訓練は、原発のない他の消防本部とは、比較にならないほど十分でなくてはならない。そのための予算は十分に交付されているはずである。かようなわけで、F消防次長は、地元消防で原発対応消防隊を設置することになった。もちろん、自治体消防だけでは、できないことも多く、県庁所在地消防本部や総務省との連携も協定を結んだ上、発電所事業所の自衛消防隊との密接な協力も必要である。消防は火を消すだけで、原発災害に対し、出る幕はないとの意見もある。しかし、現に福島の事故では東京消防庁の部隊が出動した。また、大阪や全国の消防隊も応援出動している。それならば、地域情報を有し、かつ消防の持つ力を熟知する地元消防や福島市消防局が消防隊の指揮本部を構成すべきである。警察や自衛隊の防災能力や原子力専門家の知識や意見を決して軽んずるわけではないが、災害対応の実戦経験+地元の防災情報+実働部隊の三拍子が充実しているのは地元消防+応援消防隊である。もちろん上記主張の前提として、地元消防が原発対応の覚悟と知識の研鑽、装備、訓練を充実させることがある。
2014年01月06日
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