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つれりんさん

大型連休前のある日、会社のSさんが言いました。
「アシュケナージ、聴きますか?」
Sさんは、この仕事のエキスパートの才媛。うれしいことにピアノがお好きです。
「う~ん、若い頃はよく聴きましたけれど、今はあまり聴かないですね。」
「今は指揮者としての活躍の方が多いでしょうね。」
こんな、ふとした会話から始まって、話題はラフマニノフのピアノコンチェルトになりました。
「ラフマニノフのピアノ協奏曲、私は狂詩曲が一番好きですが、
かのんさんは誰の演奏がいいですか?」
「狂詩曲、あれね。♪タン、タ、タラララ、ランッ、タラララ♪パガニーニのカプリースの主題の」
「そうです、その主題もいいですが、私は第18番目の変奏部分が好きなんです。」
「あ、♪ラ~ララララ~、ラ~ラ~ラ~ラ~♪ですね~。」
「そうですそうです♪」
そこで急に思い出しました。
「狂詩曲は誰の演奏がいいか全然詳しくないけれど、コンチェルトの2番と3番なら、
ラフマニノフ自身の演奏するCDが、確か家にありますよ!」
「本当ですか!」
家に帰ってから、早速CDが詰まっている箱の中をごそごそとやってみました。
ずっと昔に買って、一度か二度聴いたきりでそのまま箱の奥にあるはずのCD。
自信がなかったけれど、かなり古い地層のところで見つけました。
翌日Sさんにお貸しして、連休明けに戻ってきました。
「とてもよかったです!!」
セルゲイ・ラフマニノフ、つまり、作曲家本人による自作自演のライヴ演奏。
SPレコードの復刻版、いわゆる「赤盤」です。
作曲家自身の演奏する音源が残っていることに、私たち音楽ファンは
喜びと感謝の気持ちが募りますね。
ベールがかかったような、遠い音質の演奏ですが、
ここには確かにラフマニノフの音楽の息遣いがあります。
同時に、彼の美学をも感じます。
意外とあっさりとして、けれども、
他の追随を許さない、スリリングでハイテンポな展開を見せる第1楽章は
聴きごたえがあります。
第2楽章は、現代のピアニストがあまり表現しないような
左手の音が際立っている部分が数箇所にあります。
フィナーレはもう圧巻。迫力ある演奏で、聴衆を魅了したことでしょう。
最後に少しだけ入っている拍手も、きっと鳴り止まなかったでしょうね。
ここ数日、ずっとこのCDを聴いています。
「古きを温ねて新しきを知る」
現代を生きるピアニストたちも、この演奏に耳を傾けて
多くを学びとっているのでしょうね。
全体的に、ほんの少しピッチが低い
“いにしへ”の音。
すっと背筋を伸ばしたくなるような、ソリスト、そしてオケと指揮者の気迫に満ちた
貴重な貴重な録音です。

今は、こちらが市場に出ているようですよ。
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