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2004年06月17日
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テーマ: 法律(493)
カテゴリ: 民法

昨日 申し上げましたとおり、いくらお金に困っても二重売りをしたら犯罪(横領罪)になってしまいます。
とすると、 履行期 が来るまでは三島さんは何らお金を得る手段が無いのでしょうか。

ちょっと考えてください。
もし、三島さんが貴方に「履行期はまだ来ていないけど、履行期がくれば100万円支払ってもらえる 債権 を私は持っている。そこで、この債権を90万円で買ってくれないか?私は今すぐお金が必要なんだ」といってきたらどうしますか?
履行期まで待ちさえすれば貴方は10万円の儲けになります。
三島さんは10万円損してますが、自分で納得済みなので問題はありません。
清水君は支払う相手が代わっていますが、金銭的な損害はありません。

このように、債権を売ったとしても誰も損害を受けることがありません。
誰も損害を受けることが無いのなら認めてもよさそうです。
そこで、法律も債権を売ることを認めています。
これを「債権 譲渡 」と言います。(売ることも 「譲渡」 といいます)

(債権の譲渡性)

第四百六十六条  債権 は、 譲り渡す ことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。


このように債権は 譲渡 でき、債権の売買は 通常の売買と同じように 成立します。
ということは、債権は債権を売る人と買う人が承諾すればよく、その債権についてお金を払う人(債務者)が全く関知しなくても債権の売買自体は成立します。
本件の場合、三島さんと貴方が売買を承諾すればよく、清水君は関知しなくてもいいのです。

とすると、新しい 債権者 が貴方になり、清水君は貴方に支払わねばならないところ、清水君は依然として三島さんが債権者だと思い込んでいて三島さんに100万円を支払ってしまうかもしれません。

そこで、債権譲渡時には債務者の関知は不要ですが、債権譲渡後には何らかの方法で債務者に債権譲渡を知らせる必要があります。

(指名債権の譲渡の対抗要件)

第四百六十七条 指名債権の譲渡は、譲渡人が 債務者 通知 をし、又は債務者が 承諾 をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

「譲渡人が債務者に通知」するか、「債務者が承諾」しなくては、債権譲渡を債務者に対抗できないとあります。
「対抗できない」というのは主張できないということです。
つまり、「譲渡人が債務者に通知」か「債務者が承諾」が債務者に対する 対抗要件 なのです。

まず 「通知」 について考えてみましょう。
「譲渡人」とは債権を「譲り渡した人」ですから、債権を売った人です。
もう一度言います。債権を「売った」人が債務者に 通知 しなくてはなりません。
本件の場合、三島さんが清水君に「債権を譲渡しました」ということを通知しなくてはならないのです。貴方が清水君に「債権譲渡を受けました」と言っても無意味なのです。


なぜなら、大抵の架空請求詐欺は「A社の貴方に対する債権を私どもが譲り受けました」と言うことが書いてあるからです。
もちろん、債権を譲り受けたこと自体嘘であることがほとんどです。

しかし万一債権を譲り受けていたとしても、その通知は譲り渡し人、つまりA社の方からしなくてはならないのです。A社のほうから通知しない限り万一債権譲渡は本当でも払う必要はありません。
架空請求葉書をまだお持ちの方は一度ご確認してみてください。
笑ってやりましょう。



ただし、いきなり「○○裁判所へ来い」とか、「支払督促」とかいてあった場合は無視してはいけません。


ところで、なぜ譲り渡し人が通知しなくてはならないのでしょう。
架空請求詐欺でもわかります通り、譲受人が通知できるとすると
嘘をつけてしまうからです。
債権を譲り受けてもいないのに「債権を譲り受けました」といわれると 債務者 は信じてしまいます。
そこで、債務者が騙されないように譲り渡し人だけが通知できるとしたのです。


逆に 「承諾」 については、ちょっと違います。
通知は債権譲渡を知らない債務者のためにいろんな制約がありました。
しかし、承諾は債務者がすることですから 債権 譲渡を債務者が知っていると言うことです。
債権譲渡を債務者が知っているならば特に制約を設ける必要はありません。
そこで、承諾の場合は譲り渡し人に承諾してもいいし、譲り受け人に承諾してもかまいません。

さて、ここまで読んで、債権も売れるなら、 動産と同じように 債権も二重売りできるのではないか?と考える方もいるでしょう。
実は、債権の二重売りもできるのです。明日は債権の二重売りについて考えましょう。





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最終更新日  2005年01月13日 17時21分04秒


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