法律なんて怖くない!

法律なんて怖くない!

PR

プロフィール

法律伝達人max-asayu

法律伝達人max-asayu

バックナンバー

2024年11月
2024年10月
2024年09月
2024年08月
2024年07月
2024年06月
2024年05月
2024年04月
2024年03月
2024年02月

キーワードサーチ

▼キーワード検索

お気に入りブログ

北野天満宮 ライト… ぴんく はあとさん

Wizardry: Proving G… 剣竜さん

theネタ帳☆ ぞっこんボスさん
★cellfood健康法 「… soliton_kobaさん
さむらい業日記 モダニストさん
Love Thirties! きよみっぴさん
つんつんの主に読書… つんつん1955さん
Natural koukiakiさん
私の湘南スタイル VIVA7354さん
ペンギンさんの南極… penguin3.comさん
2005年01月23日
XML
テーマ: 法律(494)
カテゴリ: 民法





7遺言書

今までは遺言書が無い場合についてお話しました。
しかし、ドラマなんかでは遺言書が出てきて大騒ぎとなるシーンが良くあり、皆さんにとっては遺言書による相続の方がなじみがあるかもしれません。

まず、遺言書の内容は基本的に自由です。
故人の自由に遺言が出来ます。ですから、遺言書がある場合には相続分でもめることはあまりありません。
しかし、内容が自由に定められるからこそ、その遺言がちゃんとした物なのかが大変問題になります。
そこで、法律も遺言書の形式について定めてあります。

第九百六十条  遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。

まず、法定の形式に従わなければ遺言は出来ません。
もし、形式に従っていない遺言が有ればただの覚書です。

第九百六十一条  満十五歳に達した者は、遺言をすることができる。


遺言は15歳から出来ます。
契約が単独で出来るのは20歳から でしたが、遺言の場合はそれより幼くても良いのです。
そもそも、未成年者が契約を単独で行えないのは、未成年者が変な契約をして不当に財産を失うのを防ぐためでした。
しかし、遺言の場合は、遺言の効力が発生したときには遺言者は既にこの世に亡いことになります。遺言者がこの世にいない以上、遺言者の財産が不当に失われると言う事態を想定する必要がないから多少幼くても遺言を認めてあげるべきなのです。

第九百六十八条  自筆証書によつて遺言をするには、
遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
○2  自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれを署名し、
且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。

まずは最もポピュラーな遺言である自筆遺言書です。
日付け・氏名と印が必要で、全て自筆であることが必要です。
つまり、ワープロなどで印字することは原則として無効になってしまいます。
というのも、全部自筆であれば筆跡から偽造かどうかがわかるので、全て自筆が求められます。

第九百六十九条  公正証書によつて遺言をするには、次の方式に従わなければならない。
一  証人二人以上の立会いがあること。
(以下略)

次に公正証書遺言です。
公証役場という公的な機関で作られる遺言です。
これだと偽造の可能性がほぼ0%になるので、絶対に自分の遺言は偽造されたくないと考える方はこの手段をとることがあります。
ただし、公正証書遺言も自筆遺言も効力は同じで、一番新しい遺言で前の遺言を破棄出来ます。
つまり、公正証書遺言をしたあと、自筆遺言で「前につくった公正証書遺言を破棄し、新たに遺言する」と書けば、新たに作った自筆遺言が有効になります。

第千二十二条  遺言者は、何時でも、遺言の方式に従つて、
その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。

以上が通常の場合の遺言です。
しかし、人間いつ最期を迎えるかわかりません。
遺言をしないまま、死んでしまうことは無念です。
そこで、法律もそんな万一の場合に備えて、死にそうになった場合には緩やかな方法で遺言が出来るように定めています。

第九百七十六条  疾病その他の事由によつて死亡の危急に迫つた者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもつて、
その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。
この場合には、その口授を受けた者が、これを筆記して、
遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、
各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
○2 (略)
○3 (略)
○4  前三項の規定によつてした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力がない。
○5  家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

イメージとしては、重病患者が突然危篤になった場合を想定してください。
そんなときに、患者は一々自筆で遺言など残せません。
そこで、証人が3人以上いれば口伝えで遺言出来ることにしています。
目の前の人が死にかけていると、「喋らずにじっとしていて下さい!」と言いたくなってしまいますが、ちゃんと聞いてあげるようにしてください。
ひょっとしたらどうしても遺言しておきたいことが有るのかも知れないのです。
無念のまま逝かせる事はあまりにかわいそうです。

ちなみに、なぜ3人も証人が必要なのかはお分かりですか。
もし、一人だと捏造される恐れがあるからなのです。
よく時代劇で、兄弟の派閥間で世継ぎ争いをしているさなかに殿様が危篤になるシーンが有ります。
そんな時、ある派閥の一方が殿様の枕もとで「殿、お世継ぎは?」と聞いて、殿様は喋れるはずも無いのに「わかりました。お世継ぎはご長男様ですな」と自作自演することがあるシーンをご覧になったことがある方は多いでしょう。
そういうような自作自演で遺言が捏造されないように証人は3人必要なのです。

こんな場面はめったに無いですが、万一遭遇したら故人のためにちゃんと遺言を聞き取って上げてください。



応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。
人気blogランキング





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年01月23日 00時07分07秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: