名作落語大全集

名作落語大全集

2025.10.30
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カテゴリ: 落語

【粗筋】
 酔っぱらってかっぽれを踊るのを見ている蚤の親子。父親が人間につぶされたから気を付けろと言うが、好奇心旺盛で、踊っている男の足に飛び付く。背中に回ると、男は出掛ける様子、いけないと思ったが出るに出られず、表へ出てしまうと、この男にはぐれると迷子になる。男は馬の足、猪の足専門の役者で、飲み屋へ行くと女と話すうちに痒くなる。捕まった蚤が「助けておくれよ」と言う。

「お袋が心配するから」
「蚤にお袋があるのか」
「あるとも。無くって生まれる道理がねえ」
「理屈を言うな」
「小父さん家の畳で生まれたんだ。血を分け合った家族じゃねえか」
 その証拠に、かっぽれを覚えたと言うから、じゃあ踊って見せろというと、
「小父さんと同じだ。素面で踊れるかってんでここに来たんだろう」
 ってんで、一杯飲ませて、
「じゃあ、小父さん、景気のいい声で頼むよ」
「あ、かっぽれかっぽれ」
「あよいよい」
「沖いいいの」
「セッセ」
「うめえもんだな……暗いのおに〜」
「あよいとこさら」
「こりゃ面白ェや……白帆が見える、あよいとこらさ、あれは紀の国、えやれこのこれわにさ……それ、みかん船じゃえ……おい、どうした……合いの手を入れねえか……おい、どっかにはねちまったのか……あっ、しまった、ノミ逃げをされた」

【成立】
 小噺では蚤が敷居を枕に寝て「ノミがノミつぶれた」とし、歌だけなので「蚤の歌」という題がある。

【蘊蓄】
 ムソルグスキーの「蚤の歌」は『アウエルバッハの酒場でのメフィストフェレスの歌』で1879年の作品。ゲーテの『ファウスト』にある詩に曲を付けたもの。元々はアルトの歌手のための作品だが、バスの豪快な笑い声が定番になっている。ソプラノで聞いたことがあるがヒステリックでおかしかった。笑い声は原作にはなく、ムソルグスキーが作ったもので、詩もロシア語訳を使っているので、それに合わせたイントネーションが生かされている名曲である。ベートーヴェン「6つの歌」作品75の第3曲、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」第2部、ワーグナー「ファウストによる7つの歌曲」作品5の第4曲、ブゾーニの「2つのゲーテの詩」作品49の第2曲が同じ詩に付けられたもの。もちろんどれも笑い声はない。









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Last updated  2025.10.30 05:56:21
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名無し@ Re:落語「と」の86:とろろん(05/12) 「デロレン左衛門」は「デロデン祭文」では…
モルモタマ@ Re:65:油屋猫(あぶらやねこ)(10/21) これは小咄で、桂米朝が小咄ばかりを演じ…
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