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2004年09月27日
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 行ってきました、ローマとフィレンツェ! 出発前に大騒ぎして、色々な方々にご心配頂き、本当に有り難いことだ、としみじみ感じております。 感謝とともに、無事に帰国できたことをご報告かたがた、ローマ、フィレンツェの石畳の道を、二人の娘と十日間、スリをかわしながら、歩き回った様子を書いてみたいと思います。 又よろしくお付き合い下さいませ。

 今回はパリ経由のエールフランスでローマ入りしたのですが、食事もサービスも、今まで使った航空会社の中では特筆ものの満足度。 ところが、ローマ空港に着いたのが、夜の10時近くで、空港から列車でテルミニ駅に着いたのは、11時過ぎ。 暗くガランとした、人気のない駅の階段を、重いスーツケースを担いで、何とか下りたのはいいけれど、ホテルまでのタクシーに、ボラレてしまったのには腹が立つ。 もっとも、右も左も分からないオノボリさん母娘が、深夜にテルミニ駅に着いたのだから、これはこっちの落ち度と諦めるしかない。 

 でも、翌日からのローマは暑くて、明るかった! 朝食を摂ったホテルの屋上のテラスからは、崩れかかった古い屋根瓦を乗せた、素焼きのようなオレンジがかった土色の建物が続き、その間に荘厳な白い石の建物や丸いクーポラの屋根が見渡せる。 デ、早速行動開始。 パンテオン、ナボーナ広場、トレビの泉にスペイン広場。 とにかくオベリスクや噴水のある広場が多く、世界各地の観光客で埋まった広場からは、裏路地が網の目のように伸びている。 しかも、多くの建物が、過去の栄華を物語る威容を誇り、凝った彫刻がほどこされているし、どの教会も、内部は壁や天井まで、びっしりと絵画で埋め尽くされている。 イタリアには、ローマ帝国とルネッサンスという二つの文明のピークがあったけど、ローマの街中が歴史の遺産だらけなのには、もうビックリ! 人懐こくて、オープンなローマっ子達は、未だに遺産の中で生活しているのだ。

 ヴァチカン美術館も凄かった。 開館時間前には、もう長くなった列の後ろに並んだけれど、イタリア人の団体に挟まれて、一斉に好奇の視線にさらされたのには、ちょっとビックリした。 イタリア人はとにかくジーッと視線を当て続けるので、私達はそれを、「ガン見」と名づけたほどだ。 でも、イヤな感じではなかった。 さて、美術館はとにかく大きくて、天井や壁のアチコチにフレスコ画があるのだが、私達はとりあえず、迷路のような階段を上ったり、下りたりしながら、システィーナ礼拝堂へと急ぎ、ミケランジェロの「天地創造」や「最後の審判」に対面した。 とてつもなく大きく、鮮やかで、やはり凄い! その後、ピナコテーカでラファエロの「変容」やカラヴァッジョの「キリストの埋葬」を見たが、これも感動した。 その他、数え切れないほどの、力強く美しいキリスト教絵画に、圧倒されてしまった。 荘麗な大伽藍、サンピエトロ大聖堂で見た「ピエタ」には、不遜ながら同じ母親として、死せるイエスを抱くマリア様に涙が出たほどだ。 しかし、マリア様の絵の前でひざまづき、涙を流しながら祈る女性を見た時、私は自分が単なる異教徒の観光客に過ぎず、宗教画や彫刻に感動はするものの、その底に流れる信者の深い宗教感情には、全く無縁なことを悟った。 だって、人間賛歌を打ち出したルネッサンス期のみならず、沢山の画家が、聖書の幾つかの場面を、繰り返し繰り返し描き続けているのだ。 当時、絵の題材としてだけではなく、やはりキリスト教が人々の生活や心に奥深く根付いていたのだろう。 

 ヴァチカン美術館の警備員に、「こんにちは! オハ、オハ! ゲッツ、ゲッツ!」とジェスチャー入りで突然話しかけられて、笑ってしまったが、実は、彼はアブストラクトのアーティストで、来年東京で個展を開くのだ、と言う。 彼が言うには、住むにはローマが一番だが、ローマは伝統を重んじ、新しいものを受け付けないのだそうだ。 だから、個展はミラノ、東京、ニューヨークで開くのだ、と。 ウーン、そうかもしれない。

 フォロ・ロマーノもコロッセオも紀元前からのローマ帝国ですもんね。 炎天下、ペットボトルの水を片手に見て廻った、崩れかかった石やレンガの広大な遺跡では、不思議な感覚に捕らわれた。 私達が風に吹かれて見下ろす丘の下では、下水道を掘り、神殿を建てて、王や巫女が実際に住んでいたのだ。 丘の上にも、延々と遺跡が続く。 コロッセオには7万人もの観客が集まったという記録が残っているそうだ。 人と猛獣を闘わせ、その死体を運び出した専用の門まである。 今なら、人権団体はもちろんのこと、動物愛護協会からもクレームがつくに違いない。 当時は、帝国が属国から搾取した富で、権勢を誇示するため、王はローマ市民に残酷な享楽を提供したというが、それが帝国没落の原因の一つになったのは、皮肉な必然と言うべきか。 奢れるのもは久しからず、は平家物語だけではないのですね。 

 ただ、富や権力が結集しないと、壮大な無駄(?)とも言える、コロッセオに限らず、宮殿も教会も芸術も、巨大で豪華、あるいは卓越したものは生まれないのも事実で、その点、歴史は功罪相半ばしているとも言えないだろうか? 当時の人々にとって、富や権力の偏在は苦しみには違いないが、セクシーで素朴で愛嬌があるけれど、とても勤勉とは思えない(失礼!)現在のイタリア人にとっては、それが大きな外貨獲得の手段になっているのだから。 しかも、同じ敗戦国ながら、伝統を否定し、新しい価値観の下で、せっせせっせとアリさんのように働いた日本人が、わざわざ十数時間も飛行機に乗って多数押し寄せ、スリの格好のターゲットになりながらも、お金を払って、目の保養をさせて頂いたりできるのだ! 

 アレ? 帰って来たばかりの再開日記なのに、ちょっと皮肉になってしまったかしら? 確かに、イタリアは人も街も芸術も魅力的である。 ただし、派手な反面、暗さもあったりする。 経済の停滞のせいなのか、同じ文化圏の中で、長年近隣に揉まれて来た、ヨーロッパ人特有の醒め方というより諦めなのか、カトリックの宗教観なのか、その辺は分からない。 スリも多かった。 世界各国の観光客は殆ど斜めがけバッグだし、貴重品用ポシェットを服の下にしまい込んでいたのは、私達だけではなかった。 駅や広場、人の集まる所では必ずと言っていいほど、出くわした。 私達は、「スリッパ」と名づけ、「前方にスリッパ一名発見!」と大声で、警告し合った。 日本語で叫んでも、誰も分からないから、気楽である。 日本人の、しかも間抜けそうな母娘3人連れだと見ると、すかさず寄って来るのが、腹立たしいが、手ぶらで、目つきが悪く、周りをウロウロし始めるので、すぐ判別できる。 スリはいかにもスリらしい風体というところが、イタリア的で笑えるが、狙われた時には、正直ぞっとした。 その話は又次回。 とりあえず、何の被害にも合わず、無事帰って来ましたので、報告いたします。 本当にご心配有難うございました。       














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最終更新日  2004年09月27日 22時32分36秒
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