「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 / Sweeney Todd:The Demon Barber of Fleet Street (2008) 」
トニー賞8部門に輝くスティーブン・ソンドハイム作の同名ミュージカルの映画化です。
2008年1月13日(日本時間14日午前11時)からの第65回ゴールデングローブ賞受賞者発表でみごとにミュージカル部門での作品賞&8度目のノミネートの今回、初のジョニーの主演男優賞が実現しました。
熱狂的なファンならずとも今や最も注目される俳優となったジョニーの受賞は皆が望んだ結果ではないでしょうか。
しかし、残念ながら今年の授賞式はアメリカ脚本家組合(WGA)のストライキに俳優協会も賛同することになり事実上中止と言うことになってしまいました・・・・
ジョニー本人も王様のブランチのインタビューで残念だと感想をもらしていましたね。
そんなこんなで、延期になった「シャンタラム(原題)」、「ラム・ダイアリー(原題)」の二作の前にジョニーの次回作は、マイケル・マン監督とのタッグ、米バニティ・フェア誌特約記者ブライアン・バローが書いたノンフィクション小説「Pubric Enemies: America's Greatest Crime Wave and the Birth of FBI, 1933-34」でジョニーは犯罪王デリンジャーを演じる予定で、今年三月にクランクインするそうです。
さて、肝腎な本作は、何度もブロードウェイで上演され、アメリカで最も権威のあるミュージカルの賞である、トニー賞にも輝いた現代ミュージカルの決定版。「ジョニー・デップ史上最も怖く、最も美しい映画」 と絶賛の声が上がり、本作ではデップが本格的な歌声も披露しています。
監督は、ジョニーと6度目のタッグとなる ティム・バートン 。
主役は、勿論、最もファンを大切にしてくれるベストサイナー・オブ・ザ・ワールド、ジョニー・デップ。
今回は、デビュー作のエルム街ではなく、フリート街が舞台、初心に戻って悪魔つながりと言うことで(っとエルムの場合はロバート・イングランド演じるフレディが悪魔だったので、まったく脈絡のないつながりではあったりするけど(笑)・・)、今までのキャリアの集大成ともなる本作で主演男優賞を受賞したことは、ジョニーにとって大変意義のある年となりますね。
Story : 19世紀、ロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーは愛する妻と娘と共に幸せに暮らしていた。しかし、美しい妻に恋をしたターピン判事の陰謀で、バーカーは無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。15年後、妻と娘を奪われたバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え、フリート街に戻って来た。理髪店を構え、パイ店の店主、ミセス・ラペットの協力を得て、ターピン判事への復讐を始める。
「2008年1月19日(土)公開 」
ー より ー
【STAFF】
監督:ティム・バートン
脚本:ジョン・ローガン
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム(スティーブン・ソンドハイムとヒュー・ホウィーラーによるトニー賞受賞ミュージカル「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」に基づく)
原作戯曲:クリストファー・ボンド
製作:リチャード・D・ザナック ウォルター・パークス ローリー・マクドナルド ジョン・ローガン
製作総指揮:パトリック・マコーミック
撮影:ダリウス・ウォルスキー
美術:ダンテ・フェレッティ
編集:クリス・レベンゾン
衣装:コリーン・アトウッド
共同製作:カッタリー・フラウエンフェルダー
【CAST】
スウィーニー・トッド= ジョニー・デップ
ミセス・ラベット= ヘレナ・ボナム=カーター
ターピン判事= アラン・リックマン
役人バムフォー= ティモシー・スポール
アドルフォ・ピレリ= サシャ・バロン・コーエン
トビー= エドワード・サンダース
ルーシー= ローラ・ミシェル・ケリー
ジョアンナ= ジェイン・ワイズナー
アンソニー・ホープ= ジェイミー・キャンベル・バウアー
ミュージカルなので歌うのは当然として、ジョニーが歌うのが楽しみの一つでしたが、最初から歌っていてびっくり、いや、何度も言うようにミュージカル映画なので当然と言えば当然ですが(笑)クライマックス部分で時々歌うのかなっと・・思っていたもので~ココまで本格的なミュージカル映画になっているとは夢にも思いませんでした。
邪悪なターピン判事の横恋慕の犠牲となり、無実の罪で終身刑でオーストラリアに流刑されたベンジャミン・バーカーが、15年後に脱獄してスウィーニー・トッドとして復讐の為にロンドンに戻ってくるシーンから始まります。
復讐を誓って戻って来たテムズ川の船上で歌う「 No Place Like London 」でスタートします。
歌詞その他については、文字制限の関係で載せきれなかったので、 私のメインブログ(MooonDreamWorks☆FC2) のほうでご確認ください。
妻ルーシーと娘ジョアンナとのつかの間の幸せだったシーンは、光に満ちていて、まばゆいばかりのパステルな色彩を使い、その他のシーンはすべて、カミソリの犠牲者の血の色以外はほとんどがセピア色で、復讐の鬼と化して殺人を繰り返す“スウィーニー・トッド”の、ダークで重い破滅の物語が暗がりの中で効果的に表現されています。
私が思うに、このミュージカルがこれほどまでに長い間愛され続けて長く演じられて来たのは、復習がテーマとなっている映画ではありますが、結局のところそれぞれの悪人は気前よくと言うか惜しげもなくというか一掃され、最後には正義が勝つ的な普遍的な終わり方が童話的だからではないかと思いました。
ミュージカル自体は未鑑賞ですし、あらすじも読まずに他の情報を極力入れずに鑑賞に望みましたので、ジョニー・デップが復習の鬼と化した悪魔を演じることで、ある意味イメージとして、あたかも悪魔がヒーローになった映画になってしまっているのではないかと言う懸念もありつつ、それもありかなと言う考えもありましたが、意外にもこのストーリーは、色々な意味で勧善懲悪で結末を迎えていました。
この映画は、おすすめ映画であって、おすすめ切れないのは、やっぱりこれってホラーですからね。しかもホラーの中でもスプラッタ系です。
どばーっと鮮血が飛びまくる映像や人肉を想像させる挽肉を挽くシーンなど、血を見るのが恐い方、苦手な方には到底おすすめ出来ません。かく言う私もホラーは苦手なのでほとんど観ません・・・
自他共に認める恐い映画が大嫌いな私でもこの映画を観ることが出来たのは・・・・
ジョニー主演&監督がティ・バートンで、おまけにドリームワーススの映画だから特別・・・っという感じです。
映像のどこかしこにもドリームワークスの映像に溢れ、ティム・バートンワールドが炸裂し、ジョニーのカリスマな演技が生んだホラーの傑作です。
本来なら、汚い&有害動物、有害昆虫の代名詞とも言えるねずみがちょろちょろし、ミセス・ラベットの作っているパイの生地の周りにはゴキちゃんがカサカサ・・っと蠢いては、パイの中にめり込まれて行くところなど、ドリームワークスのしゃれっ気たっぷりな映像そのものが気持ち悪くて可笑しいです。
ジョニー・デップにもヘレナ・ボナム=カーターにもこの二人だからこそ醸し出される独特の雰囲気と演技の妙が映画全体のグレードを上げているかんじがします。
そして、全員俳優が吹き替えなしで望んだ歌もみな素晴しいの一言です。特に、ベンジャミン・バーカーの娘ジョアンナを演じたジェイン・ワイズナーの歌声は本物ののミュージカル・スターのように素敵な歌声でした。
脱獄してスウィーニー・トッドとして生まれ変わった、ベンジャミン・バーカーを助けた青年アンソニーとジョアンナの愛も、悲惨な復讐劇の中にあって、ピュアな救いの休息と癒しを挟む効果的なストーリーになっています。


そして、トッドに憧れるがゆえに歪んだ悲しい裏切りのミセス・ラベット愛情、自分を無償の愛で救ってくれたトビーのミセス・ラベットの母性への愛情・・・・
単なる復讐劇に終わらない、そしてその愛情が故に訪れるラストの衝撃の結末・・・・・
なんといろいろなものをよくもこんな短い時間の中で表現したかと、関心させられる時間でした。
一見の価値はあるかと・・・・思います。
ただ、この芸術品とも言えるこのホラー作品に、私が満点をつけなっかた理由は、同じミュージカルの最高峰とうたわれた「オペラの座の怪人(2005)」を基準としたからです。あの映画を観たときの衝撃的感動は感じられなかった事や何度でも観たくなる映画かと言えばそうでもないところです。勿論DVDが出たら予約してでも買うでしょうが(笑)・・・・・
そして、もうひとつの理由は観る人を選ぶ点に加え、あくまでも歌を堪能するミュージカルとしては成立しているストーリーであって、映画としての盛り上がりには多少欠ける点があるからです。
~おしまい~
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