2011年04月30日
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カテゴリ: Career-Tracks
もうダメだ。限界だ。広告なんてキライだ。日本に帰りたい。

そう思ってから、もう2年が経った。


一つの仕事を、終えた。

人はそれを僕がやった仕事、という。

何もないところから、ここまできた。

期待も、信頼もないところ。

そしてこの広告という仕事の、最も難しい理由を知った。

目の前に"まだないもの"を売るということ。

僕はこの仕事を、イメージを売る仕事だと思っていたけれど、



相手は僕の「経験」と「自信」と、「ほんの少しのイメージ」を買うのだ。


この仕事に最も大切なその「自信」を、僕は2年前に壊してしまった。

自信がないのなら、更に努力してその自信をハリボテでもつくらないといけない。

クライアントと一緒になって不安になってるのなんて、プロフェッショナルじゃない。


あのとき、焼け野原で呆然として、何を失ったのかさえわかっていなかった。

でも今、あのとき何を失っていたかがわかる。

そして何を取り返さなければならないかも。


主体性、アイデンティティ、イニシアチブ、意志。

それが広告を創る上での、本当の肝。

それを育て、伸ばすことが、いい広告につながっていくのだ。


この仕事が、僕のやった仕事かと言うと、



それは僕の仕事がしばしば主体的でなく、反応的であったことが

心のどこかにあるからだと思う。

もっと魂を込めた仕事が、過去の経験の中にあるからだと思う。

それでも今回、僕の想いはチームの仲間に届いたし、

だからこれだけいいクリエイティブを創ることができた。




イベントではじめてTVCMが流れたとき、会場からささやかな拍手が起こった。

映画でも、ミュージカルでも、コンサートでもなく、TVCMに。

なんだか涙が出てきた。

拍手のある仕事って、いいな。

この一瞬のために、ここまで来たのかもしれない。


イベントの後、尊敬する上司は、僕にこう言った。

苦労というのは、お前へのギフトだ。

苦労こそが、その先で自信につながることを

たぶん上司は自分の経験から知っているのだろう。


3年前、日本で決意したこと。

ここで今、学べることはもうない。だから海外で勝負するんだ。

そして今、ここで苦しむ自分は、青い鳥を日本に追い求めている節がある。

わざわざ再確認しなくても、日本でできるのなんて当たり前。

その前提で海外で勝負していることを今一度、思い出したい。


誰と競いあっている訳でもない。

過去の自分と競い、今の自分と戦い、未来の自分を目指しているだけ。

結論は、導きやすい。

今ここにある風景はもう、焼け野原ではない。






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最終更新日  2011年05月01日 01時52分54秒
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