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2025.09.27
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夜間飛行 サン=テグジュベリ 山崎庸一郎訳

4
p.25

「監督ロビノーは、詩ではなく報告を提出してもらいたい。
監督ロビノーは、その職権をよく活用して、従業員の熱意を刺激してもらいたい」
そんなわけで、彼は毎日のパンにとびつくように、人間の過失にとびかかっていった。酒を飲んで機関士にも、幾晩も徹夜した飛行場主任にも、着陸時にバウンドした操縦士にも。

リヴィエールは彼のことをこう評していた。
「あまり頭はよくないが、そのためにかえって役に立つ」と。
リヴィエールが定めた規則は、リヴィエール自身にとっては、人間の認識にもとづいていたが、ロビノーにとっては、もはや規則の認識しか存在しなかった。


ーロビノー、出発が遅延した場合はすべて、精励賞を取り消すべきだ。
ー不可抗力の場合もですか?霧が発生した場合もですか?
ー霧が発生した場合もだ。
するとロビノーは、不正に陥る事も怖れないこのような峻厳な上司を得たことで、一種の誇りを感じるのだった。・・・

彼はそのあと、飛行場主任たちにたいして、こう繰り返した。
ーきみたちは、6時15分の出発を指示したじゃないか。われわれとしては精励賞を出すわけにはいかんぞ。
ーでも、ロビノーさん、5時半には、10メートル先も見えませんでしたぜ。
ー規則は規則だ
ーでも、ロビノーさん、霧を追っ払うわけにはいきませんよ!
するとロビノーは、謎の沈黙のなかに閉じこもってしまうのだった。
彼は上層部に所属していた。彼は上層部に所属していた。

「あの男はなにも考えない。だからこそ、まちがった判断が避けられるのだ」とリヴィエールは彼を評していた。
機体を破損させた場合、その操縦士は無事故賞を失うことになっていた。
ー森のうえで故障したときもですか、とロビノーはたずねた。
ー森のうえだろうと変わりはない。





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最終更新日  2025.09.27 08:00:09


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