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2025.11.27
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カテゴリ: 報徳記を読む
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二宮翁夜話巻の3

【54】尊徳先生はおっしゃった。

某藩士のなにがしが、江戸詰めで、顕職を勤めた。
一朝退勤の命があって、帰国することになった。

私は往って暇を告げ、

かつその者に言った。

あなたがこれまでの驕奢(贅沢)は、実に思いの外の事であったが、職務のことで、いいとも悪いとも言いますまい。



これまで用いられた衣類や諸道具等は皆分不相応の品物です。

これを持ち帰る時は、あなたの驕奢はなくならず、妻子なども同じく奢侈が止らないことでしょう。

その時はあなたが家は、財政がたちゆかず滅亡に至りましょう。

恐るべきことではありませんか。

刀は折れていない曲っていない利刀で、外飾がないのを残し、その他は衣類諸道具、一切これまで用いた物品は残らず、親戚・朋友や懇意にした出入の者等に、形見としてすべて与えなさい。

普段着・寝巻のまま、ただ妻子だけを連れて、帰国して、一品も国に持ち帰ってはなりません。

これが奢侈を退けて、驕意を断つの秘伝です。

そうでなければ妻子や扶養者までしみこんだ奢侈は決して退きません。

あなたの家が終には亡びる事は鏡に掛けて見るようです。

決して迷ってはなりません、

と懇々と教えたけれども、

なにがしは用いる事ができず、一品も残さず船に積んで持ち帰って、この物品を売り売り生活を立て、終に売り尽して、言うこともできないほどの困窮に陥ってしまった。

歎かわしいことではないか。

これが分限を忘れて、驕奢に馴れて、天をも恐れず人をも憚らない過ちである。

自分の驕奢が、誠に分に過ぎていると気付いたならば、同藩に対しても、憚からなくてならない。

このケースは驕奢に馴れて自ら驕奢と知らなかったためである。

歎くべきことだ。

二宮翁夜話巻の3

【54】翁曰く、
某(それ)藩士某(なにがし)、東京(えど)詰にて、顕職を勤めたり、
一朝退勤の命あり、帰国せんとす、
予往きて暇を告げ、且曰、
卿(きみ)が是迄の驕奢、実に意外の事なりといへども、職務なれば、是非無し、
今帰国せんとす、是迄用ふる処の、衣類諸道具等は皆分不相応の品なり、
是を持ち帰る時は、卿が驕奢退かず、妻子厄介も同く奢侈止らざるべし、
然る時は卿が家、財政の為に滅亡に至らん、
恐れざるべけんや、
刀は折れず曲らざる利刀の、外飾なきを残し、其他は衣類諸道具、一切是迄用ひし物品は残らず、親戚朋友懇意出入の者等に、形見として悉く与へ、
不断着(ふだんぎ)寝巻の儘にて、只妻子而已(のみ)を具して、帰国して、一品も国に持ち行く事勿れ、
是奢侈を退け、驕意を断つの秘伝なり、
然らざれば、妻子厄介迄染み込んだる奢侈決して退かず、
卿が家終に亡びん事鏡に掛て見るが如し、迷ふ勿れ
と懇々教えたれど、某(なにがし)用ふる事能はず、一品も残さず、船に積みて持帰り、
此物品を売り売り生活を立て、終に売り尽して、言ふ可らざるの困窮に陥り果たり、
歎ずべし、
是分限を忘れ、驕奢に馴れて、天をも恐れず人をも憚らざるの過ちなり、
我驕奢、誠に分に過ぎたりと心付かば、同藩に対しても、憚らずば有るべからず、
是驕奢に馴れて自ら驕奢としらざるが故なり、歎ずべし。





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最終更新日  2025.11.27 00:00:14


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