虹色のパレット

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2005.12.29
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カテゴリ: 心・人生



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『あんたが悪いのよ』


1、偏見




 いつか、機会を見つけて反撃しなければと思いつつ日々が過ぎた。

 ある朝、エレベーターを待っているマイクと同僚のエロスが見えた。私が、二人に
「おはよう。」

「ほらオリエンタルが来たよ。さあオリエンタルを殺そう。」
と思いがけない言葉がとび出したのだ。さすがの私も、もう許せないと憤慨しながらエレベーターに乗った。するとさらに、混んだエレベーターの中で
「どうしてオリエンタルの髪って、黒くて真っ直ぐで馬のしっぽのようなんだろうね。」
とエロスに言い、一人クスクス笑うのである。エロスの顔に困惑の表情が浮かんで、彼は黙っていた。私の怒りは最高潮に達した。どう切り出せばマイクに一撃を加え、反省を求めることができるか、そのことで頭はいっぱいだった。

 私は、仕事を始めてからも、不機嫌にだまりこくっていた。すると、マイクが、
「カズ姫、トウキョー。えらい静かだね。何も言わないけど、いったい何をしているの?」
と仕事の手を休めて、何時もの無邪気な笑顔で後ろを向いた。私は反射的に、
「ルーマニア人を殺しているのよ!」
と激しい口調で言っていた。まるで支え切れなくなった一滴の滴が落ちるように。それを聞いてマイクは、
「聞いたかい皆、だから日本人は攻撃的だと言っただろう!」
ともう得意満面である。するとエロスが、すかさず、

と低い声で言った。マイクはそれには耳も貸さず、日本人は残酷だと得意気に触れ回っていた。その後を追うように、エロスは、朝のエレベーターでの出来事を皆に説明して回った。

 小さな会社である。事件はたちまち、スタジオ中の知るところとなった。



To be continued.








発言する勇気












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最終更新日  2006.02.08 01:11:44
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