こうなるともうオセオセムードとなってブランコ選手がこの回2個目の押し出しで1点差にすると、さらに満塁のチャンスに今季初スタメンの佐伯選手がグラマン投手から左前に逆転打を放った。この日スタメン出場で4安打の佐伯選手は「夢のようです。元々はなかった1年。中日ドラゴンズ、落合監督、チームメート、ファンの皆さんに何とか恩返しをしたいと思っていました」と話してお立ち台で拍手を浴びたのだ。
入団時に佐伯選手は「やるからにはレギュラーを獲るつもり。故郷を失った自分は、新しい場所を故郷にする」と意気込んでの新天地に来た四十男の侍なのだが、中村紀洋選手や河原純一投手も落合監督の下で蘇っており、やっと期待に応えてくれた結果になったのだ。
中日ドラゴンズの先発はチェン投手だったのだが、初回に3ランを打たれていきなり3失点のビハインドを背負うと、5回にもタイムリーで1失点してしまい7回を投げて4失点では、左のエースとしては少し物足らない結果になってしまった。
九回に5点差をひっくり返した中日ドラゴンズは3年目の小熊投手にプロ初勝利が転がり込んだ。敗色濃厚となっている0-4の八回に2番手でマウンドへあがったのだが、中島選手と中村選手に連打を浴びて失点してしまい、「次からは自信を持って抑えたい。点を取られてはいけない」と反省の言葉をまず口にしていたのだ。
3年前に滋賀県の名門である近江高からドラフト6位で入団した右腕なのだが、入団当初から怪我をすることが多くてやっと今年初勝利という投手なのだ。思わぬ初勝利に小熊投手は「僕の力ではない。野手のみなさんがくれたもの」と感謝しきりだった。落合監督も「途中で帰った人もいるだろ。俺だったら帰るな」と言うほど劇的な展開だったのだ。
一方の埼玉西武ライオンズは5点のリードで九回を迎えながら、新人の牧田投手が完封寸前に降板すると、2番手投手の岡本投手が乱れ最後はグラマン投手が手痛い一打を浴び、連勝は3で止まってしまったのだ。5対0とリードして迎えた最終回だったのだが、ここまで好投した先発の牧田投手が野本選手にタイムリーを浴び降板したのだ。
牧田投手は新人ながら8回を無失点に抑えていたのだから合格点といっていいだろう。大逆転を食らった渡辺久信監督の試合後の談話で「最後がすべて。あそこはきちんと抑えてほしかった。弱いところですね。岡本投手には普通に投げろ、マウンドを楽しめと言いました。岡本投手をちょっと引っ張りすぎた。すべて俺の責任です。ゲームの形としては最高の試合で、中押し・だめ押しと点を取れて絶対に取っておかなきゃいけないゲームでした」と悔しがっていたのだ。
野本選手が最後に大逆転のきっかけとなったタイムリーを打ったのは良かったのだが、相手の先発投手である牧田投手を一番知っている野本選手が、攻略の突破口を開かなければいけないのに、初対戦での併殺打はもう少し考えてもらいたいものなのだ。好調の中日ドラゴンズと対戦した牧田投手なのだが、サブマリン右腕で球速はないが、下手投げから浮かび上がるストレートと多彩な変化球を操り打者を詰まらせる投球が持ち味で、勝ち星にはあまり恵まれてないが1年目から先発ローテーション入りしている投手なのだ。
中日ドラゴンズの野本選手とは同い年で、日本通運時代にチームメートだったのだが、プロとして3年目の野本選手が最後の先輩の意地を見せたというところだろう。これで中日ドラゴンズは交流戦で3連勝と好調なのだが、少し心配なのは抑え投手がこのところ浅尾投手となっているところなのだ。
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