測量は「測天量地」から生まれた言葉だといわれており、「天を測り、地を量る」とは北極星を観測して地図の基本となる北方向を定め、租税の基礎となる土地の測量をしたことを指すとされている。私も現場で工事のための測量をよく行うのだが、一般に「測量」という言葉から抱くイメージはおそらく街角で三脚から測量機械を覗きこんでいる測量マンの姿だろう。ところがこの 40 年間に測量技術はどの産業界と比べても突出した技術革新を遂げており、特に 1972 年に米国が打ち上げたランドサット 1 号は最初の地球観測衛星で、ここから遠くから手に触れないで電磁波を感知する技術である「リモートセンシング」と呼ばれる、新しい学問領域である送料技術が次々に登場したとされている。
測量は空間情報工学に進化し先端技術を駆使した新しい学問に成長したというのだが、東北地方の大震災で誰もが知っているように、大地震とその後では地球が変動し水平方向にも上下方向にも大きく動くのだ。大地震の前にもわずかながら動きがありそれを前兆として測量技術で予測可能なことはあまり知られていないのだ。動いている地球の上では動いている地球は測れないたており、これは動いている新幹線のなかで新幹線の速度や移動距離を測れないのと同じなのだ。そこで地球の外を周回している測位衛星の登場となるのだが、測位衛星は一般的に「 GNSS 」と呼ばれており、私たちなどがよく利用している「 GPS 」とよばれる全地球測位システムはそのうちの 1 つにはいるのだ。
この動く測位衛星によって地球上に固定された「電子基準点」と呼ばれる受信機で、正確な三次元座標を測量することができ、現在の測量技術はこうした動く地球を測量する高度な先端技術に支えられているのだ。 1970 年代の初めに確立した地理情報システムである「 GIS 」は、数値化された地図情報や位置情報を駆使して行政やマーケテイングの改善に役立つようになっているし、また 1990 年代に発達したデジタルカメラを利用したデジタル写真測量は、安価で効率的な三次元測量を可能にしているのだ。軍事技術として開発された衛星測位は 1993 年に米国で全地球測位システムが運用されその実用化が一気に進み、いまやすべてのケータイやカーナビに GPS が搭載されている。
現在ではロシアの測位衛星システムである「 GLONASS 」の運用も開始され、「 GPS 」と共同で利用できるまでに発達している。 1999 年の国連宇宙会議では衛星測位の一般名称を「 Global Navigation Satellite System ( GNSS )」としたのだ。さらに軍事技術だったレーザー計測装置は姿勢計測装置とともに航空機に搭載されて、地形の三次元座標群を瞬時に提供でき三次元地図の作成に利用されるようになったのだ。地上に設置されたレーザー計測装置は様々なモニュメントを三次元計測でき、これらの先端技術は従来の「測量」という概念では包括できなくなってきたことから、国際的に新たに「 Geo-informatics (空間情報工学)とか)」、「 Geo-spatial Information Technologies (地理空間情報技術)」と呼ぶようになっているのだ。
地理情報システムである「 GIS 」はいまや政府や自治体の行政を効率的に行う上で必須になっており、たとえば宅配会社・運送業・配送会社では効率的な荷物の積み下ろしになくてはならない技術となっているのだ。「 GIS 」と「 GNSS 」と組み合わせればバスやタクシーの運行情報をスマホに配信することも可能となるし、災害時の避難に役立つハザードマップは今では「 GIS 」なしでは描けないとされているのだ。スパイ衛星が民生化されて高分解能衛星画像が取得できるようになり、いまや 40cm の地上分解能の画像が宇宙から取得できるし、雨天でも夜間でも地上を探査できるレーダー技術も 1m の分解能の画像が得られるというのだ。そこで「動く地球の測量」の研究を続けその成果として地震予測を行っているというのだ。
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