私も事務所では何人もの部下を持つ身なのだが、目指すべきは部下一人ひとりが自ら課題を発見して積極的にチャレンジし、勝手にぐんぐん成長していく「ポジティブサイクル」と言われている状態なのだ。上司の役割はこの「ポジティブサイクル」を生むための環境づくりだそうで、多くの企業で研修を行っているそうなのだが、これらの研修でよく出る質問の 1 つは「部下が自分から動かない。どうしたらよいでしょうか」というものだといわれている。私の所属している建設業でも競争の激化や現場が抱える問題が複雑化したことで、チームの総合力がますます問われる時代になってきたことから、現場であれこれ手を打っている監督も沢山いるのだが、中には何も考えずに現場を回そうとしている監督もいるのだ。
管理職の研修でも「部下の課題意識を刺激し、自ら成長しようとする意識を育てよう」とする際に個々の部下がやるべき仕事や役割・期待について、上司と部下の間で共有し合うことはもちろんのことメンバー同士の関係性をケアし、チーム力を育てる視点も忘れてはならないとされているそうなのだ。管理者による主体的な働きかけがないのに部下が変わることはなく、真剣に悩みあれこれ手を打っている管理者も沢山いるが、中には「念力や超能力」に頼っている方もいるそうで、部下一人ひとりのキャラクターや強みに合った仕事を与えて成長を促そうという気持ちは残念ながら見えてこず、自分では何もせず遠くから部下を眺めながらため息をついてばかりの管理者たちがいることも事実なのだ。
部下の悪口を誰かに言っていたりため息をついたりする暇があるのなら、自ら動いてもっと部下とコミュニケーションをとることが大切だそうなのだ。エスパーでない限り「念力や超能力」で部下は動かせないし、前向きな人材は前向きな環境でつくられるというのだ。部下の発言に対してはオープンな気持ちで聞く姿勢を意識して、できるだけ否定的な言葉を使わないようにすることも必要だというのだ。たとえ意見が違うとしても「ダメだ、ダメだ」とか「ありえないよ」など否定反応をすると、部下は萎縮し話は発展しないし、次にまた意見をしようというチャレンジ精神を失せてしまいそうなのだ。最も重要な要素であり部下に強く影響を与えるのは「人格」で、手本として示すべきなのは「仕事の能力」だけではないということなのだ。
会社員は「そこにいること自体が仕事」なんだということも認識することも必要で、部下を批判し文句を言うだけでは問題の責任を自分以外の何かに押しつけているだけで、状況は何一つ好転しないのだ。ただ自分自身の責任として引き受けて、前向きに解決策を見出そうとすれば必ず状況は変わってくというのだ。何より管理職が前向きな姿を示すことは「どんな状況でも解決策を見出す」という格好のお手本になるというのだ。結果的にチームのパフォーマンスも向上するし、目の前の仕事の中から面白さを見いだせるようになるまでには、量の蓄積と時間による熟成の両方が必要で、大事なのは管理職自身が常に自分自身を高めようとする向上心を示すことだのようなのだ。
作業の数をこなしていくと仕事の中に自分が「面白い」と思えるポイントが見えてくる。すると仕事に対する意欲がわき創意工夫できるようになるそうなのだ。仕事に追われるままだといつまでたってもレビューの習慣は定着しないことから、プロジェクトが終わるごとにできればチーム全員で集まる機会を設けてメンバー同士で一緒にプロセスを振り返るようにすることもひつようだそうなのだ。変わろうとする意識を見せることは重要で、実際にはなかなかすぐに実践できなかったとしても、「よし、今までできていなかったことを明日から始めるぞ」と宣言するだけでも部下にはいい影響を及ぼすというのだ。たとえ不完全であっても自分自身を成長させようという気持ちが伝われば部下はついてくるものなのだ。
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