文部科学省の会議室では「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」の 3 回目の会合が開かれたそうなのだが、この会議はインターンシップの質的・量的拡大を目指し現状を把握するとともに、推進策を議論するためキャリア教育の専門家や、インターンシップを仲介する担当者に経団連や経済同友会・日本商工会議所・中小企業団体中央会といった経済団体の担当者らをメンバーにして発足しているそうなのだ。 3 月末までに結論を出す予定となっていることから日程的にも佳境を迎えるなか、今回の会議で議論の取りまとめの骨子案が出されたという。インターンシップからの採用を解禁するといった意見もあり、そうなれば採用日程ばかりか一括採用制度まで崩壊するとの声があったという。
その中でインターンシップと就職・採用活動との関係について、「インターンシップで取得した学生情報を活用したいなどの要望があるが、就職・採用活動の早期化・長期化につながることは避けるべき」としたという。「現在の就職・採用活動時期を前提としたうえで、インターンシップが就職・採用活動そのものとして行われることのないようにする」と明記するというのだが、インターンシップについては文科省・経済産業省・厚生労働省の 3 省が作成した、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」にその定義やあり方が記載されているのだ。そこでは就職活動の解禁日より前に開催するインターンシップについては、広報活動や選考活動を行ってはならないとされているというのだ。
インターンシップで入手した学生情報についても広報活動や選考活動に使用できないとされており、罰則規定はないがひとつのルールとして多くの企業がこれを意識した採用活動を行っているというのだ。解禁前の時期に会社説明会と変わらない内容の「 1day インターンシップ」や「ワークショップ」等の名目で行われる選考活動が増加しているが、これらは本来の定義するインターンシップとはかけ離れているためその名称を使わせないようにするという。この規定に対し内閣府が設置する規制改革会議がとりまとめた「規制改革に関する第 4 次答申」で、インターンシップで取得した学生情報を学生が希望すれば使用できるようにし、また中小企業に対しては人材確保に活用できる仕組みの方策を講ずるよう求めているという。
就職・転職が安心してできる仕組みづくりを実現させるために、インターンシップを活用したミスマッチの防止や、人材の確保が難しい中小企業のためにインターンシップの活用を投げかけていた。関係各省に検討を行うよう求められ、今回の会議でも議題のひとつとして挙がっていたそうだが、会議では「ノー」の方向性が示されたというのだ。インターンシップからの採用を認めるということになれば実質的にそこが就活の場となり、就活の早期化や長期化につながる懸念があるからだというのだが、そもそも「インターンシップの推進策を考えるのが会議のテーマだったはずで、就職活動の日程の議論とは切り離して考えていると文部科学省の関係者はそう語っていたそうなのだ。
今回の会議の骨子案を見るとむしろ「インターンシップの定義」をより明確化したい意図が見えるそうで、具体的には大学での単位化を進めていくためにその要素を定義し、事前事後学習の実施に加えて原則 5 日間以上のプログラムを「単位型インターンシップ」とすることを明示しているというのだ。さらにインターンシップの定義を再確認し在学中に自らの専攻や、将来のキャリアに関連した就業体験を行うことをインターンシップに求め、「就業体験が伴わないプログラムについては別の名称を用いるように促す」と付記しているという。経団連は「採用選考に関する指針」の中で夏の時期に行うインターンシップを想定して、解禁前に行うインターンシップの期間を最低 5 日以上と定義しているのだという。
しかし採用解禁時期が 3 月に変更となったこともあって 12 月~ 2 月に冬のインターンシップの開催が可能となっているが、「冬の時期に 5 日以上のインターンシップを組むのは難しい」として来年度の採用以降にその定義の見直しを検討しているそうなのだ。ただ今回の骨子案が何かしらの影響を及ぼす可能性があるということで、骨子案ではこのほかインターンシップの具体的な推進方法などが盛り込まれているそうなのだ。「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」ではこの骨子案に対しさまざまな意見が出されたが、この骨子案をベースにそうした意見を踏まえて、議論の最終の取りまとめ案を年度内に作成する予定となっている というのだが、そうした議論にいったん終止符が打たれようとしているみたいなのだ。
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