愛媛県伊方町の消防出初め式がこのほど伊方町川永田の町民グラウンドであり、消防団員と四国電力伊方原発の自衛消防隊の計約 540 人が訓練などを通して地域防災への決意を新たにしたという報道が地元紙に乗っていた。その消防出初め式で高門清彦町長が「最近県内外で大きな火災が発生している。町内には空き家がたくさんあり、いったん火災が起きれば皆さんの力添えが必要だ」と訓示したという。そんな私の住む愛媛県では広島県と愛媛県の住民4人が昨年8月に再稼働した四国電力伊方原発3号機に関し、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てで、広島地裁は判断を今月の30日に示すと住民側と四国電力側に伝えたそうなのだ。
四国電力伊方原発3号機の運転差し止めの決定が出れば、稼働中の原発としては関西電力高浜3・4号機の運転を差し止めた昨年3月の大津地裁の仮処分に続く2例目の判断となることなのだが、裁判の主な争点は耐震設計で想定した揺れの大きさである「基準地震動」や津波の高さの妥当性だと言われている。これについて住民側は「南海トラフの大地震に連動した場合などの地震の揺れの評価が非常に小さい」と主張したのに対し、四国電力側は「地震の不確かな要素を考慮しながら揺れの大きさなどを算定し、伊方原発の安全性は原子力規制委員会の承認も受け、充分に確保されている」などと争っているというのだ。また事故が起きた場合の海洋汚染や瀬戸内海を隔てた広島への影響に言及するかも注目される。
四国電力側は近くの中央構造線断層帯など約480キロが連動した場合を想定して基準地震動を650ガルとし、一部の施設は1000ガルに耐えられると主張しているが、住民側は650ガルには根拠がないとし「新規制基準の審査を通ったからといって安全性が保証されたとは到底言えない」と訴えている。しかも昨年8月に再稼働した四国電力伊方原発3号機に関し、地元新聞社が実施した県民世論調査で、再稼働に否定的な意見が 68 . 4 %となっているのだ。四国電力伊方原発3号機運転差し止めを求めた仮処分の申し立ては広島地裁だけでなく、大分県内の住民4人が申し立てた仮処分の第6回審尋も大分地裁でなされており、ここでも住民側は前回の審尋で基準地震動が過小だとプレゼンをしている。
最大の争点となっている四国電力伊方原発の耐震設計の目安となる地震の揺れである「基準地震動」について、四国電側が「十分に信頼性、保守性が確保されている」と裁判官にプレゼンテーションをしている。大分地裁で行われた仮処分の第6回審尋でも四国電力は土木建築部門の社員が説明したそうなのだが、原発の敷地や周辺で十分な調査をして地域特性を把握し信頼性の高い手法を使った上で、過去の地震の知見などを踏まえたさまざまな「不確かさ」を保守的に考慮している―と主張したそうなのだ。前回の審尋で基準地震動が過小だとプレゼンをした住民側は会見し、「四国電力は住民側が指摘した重要な論点にほとんど触れなかった」などと批判している。
これで大分地裁における双方のプレゼンは終了したわけなのだが、住民側によると地裁は今年の5月に行われる次回審尋までに質問事項を双方に示す予定だとされ、結審は次回もしくは7月以降になるといわれている。住民側は審理を担当してきた大分地裁の竹内浩史裁判長が春の異動で交代する可能性があるとの認識も示しているが、伊方3号機は原子力規制委員会の安全審査に合格し、昨年8月に再稼働した。四国電力伊方原発3号機の運転差し止めの仮処分、大分地裁だけでなく、松山地裁や山口地裁といった瀬戸内海周辺各県の地裁でも住民が申し立てており、今月の30日に示される広島地裁は判断がこれからの仮処分の申し立てでの指針になるかもしれないというのだ。
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