「酒を飲む」とコミュニケーションの合成語である「飲みニケーション」なのだが、共に居酒屋などといった場に出向き酒を飲むことで、酔った勢いで互いが馴れ合って親密な会話ができるようになるということを目的として行われており、企業の中には「飲みニケーション」を各部署で行うということを奨励している会社も存在しているそうで、これを行うための手当を支給しているというところも存在しているという。親密でない人との飲み会は面倒くさいと思う人も多いですが、会話を弾ませるためには「飲みニケーション」は有効で、日本能率協会が新入社員約 1,300 人に対して行った調査によると、上司との飲み会を「有意義」と感じる新入社員はなんと約 9 割以上に上っているそうなのだ。
「最近の若者はお酒の付き合いが悪い」なんてイメージが溢れているにもかかわらず、20歳代おける酒離れ傾向が指摘されるなか「飲みニケーション」の意義を認める新人が多いのは驚きなのだが、一方で「飲みニケーション」の場で部下に説教をしたり、行きたくないと思う者を強制的に参加させたりして、パワーハラスメントに該当するといった否定的な見方も存在するといわれている。ところで仕事の人間関係の向上に「飲みニケーション」がよく利用されるのは、 お酒を飲むことで脳の働きが変わる ことと関係しているということのようで、適度にお酒を飲むと 新しい脳と言われる「大脳新皮質」の働きが少し麻痺してしまうが、その代わり古い脳と言われる「大脳辺縁系」が活性化 されることが分かってきているそうなのだ。
この古い脳と呼ばれる 「大脳辺縁系」 の力を借りれば固い会話も丸くなるそうなのだが、新しい脳つまり「大脳新皮質」は人間が進化の過程で最も新しく獲得した脳のセクションで、主に物事を理性的に考えたり合理的に対処したりすることを行うという。一方で古い脳つまり「大脳辺縁系」は五感や情動・記憶をつかさどるセクションで、この働きを高めると感情が豊かになり思ったことを素直に表現できるようになるとされている。現代的な生活では 「大脳新皮質」を働かせる場面が多く 「大脳辺縁系」 の働きが少し抑制されているという。そこで お酒を適度に飲むことで「大脳新皮質」を少し緩めて「大脳辺縁系」の働きを高めてあげれば、理性によって押さえられていた素直な感情や喜怒哀楽を表現することができるというのだ。
「飲みニケーション」が絶好調なのはこのときだそうで、理性の縛りをすこし緩めるとリラックスして固くならずに話が弾むようになり、この状態の目安は 「気持ちいいな」というほろ酔い加減がよいというのだ。 大事なのはそこから酒量をぐんと伸ばさないことで、今飲んでいるお酒をちびりちびりとやっておかわりは 1 杯程度で止めておくことが大切だというのだ。それ以上飲むと今度は飲みニケーションが滅茶苦茶になるそうで、 ほろ酔いから酩酊状態になると気が大きくなって相手に失礼なことを話したり同じ話を繰り返したりするようになって、正常な飲みニケーションはできなくなるという。 「ほろ酔い」で止めるなら酒量からいって も 2 時間程度でお開き にできるし、コミュニケーションを楽しむにはちょうどいい時間だというのだ。
さてこの時の酒量ということでは酩酊し始めるのは個人差が大きいのだが、平均的にはビールでは 3 本とか日本酒では 3 合やウイスキーではダブルで 3 杯くらいの酒量だと言われているそうで、 2 時間以上飲んでいるとあっという間にこのくらいの酒量は超えてしまいますので用心することを進めている。会社の飲み会に誘われたときの気持ちを 20 代・ 30 代の約 6 割が「嬉しい」や「やや嬉しい」と回答しているそうなのだが、「飲みニケーション」では人が主役でいるうちに飲み会はさっとお開きにするとよいそうなのだ。飲み会では「人」が主役で「酒」は脇役であることをわきまえて酒で人との関係を壊さないよう、楽しい会話ができる「飲みニケーション」を考えたいものだというのが結論のようなのだ。
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