安倍政権が成長戦略と位置付けるカジノを含む統合型リゾート実施法案が衆議院で可決され経済成長を促すことが期待されているが、そもそもカジノは「 VIP ルーム」がなければ成立しないビジネスだと言われており、カジノには安い掛け金で誰でも遊べる「平場のエリア」と最低賭け金が 1000 ドルにもなる「 VIP ルーム」があって、収益の大部分を稼いでいるのはバカラという賭博で 100 億円以上負けた大王製紙の創業家 3 代目のような高額な賭け金で遊ぶギャンブラーを相手にする「 VIP ルーム」参加者だと言われている。カジノ全体の収益の 85 %は「 VIP ルーム」だそうで、掛け金が安い「平場のエリア」は賑々しく見せるためのショーケースにすぎず、そこから上がる収益はカジノ全体から見れば取るに足らないというのだ。
野党は与野党対決法案の審議を阻止するため内閣不信任案提出から作戦を変更し、カジノを含む統合型リゾート施設実施法案などの審議中断を与党側に要求しているそうなのだが、カジノ実施法案を付託されている参院内閣委員会は理事懇談会を開き、法案の審議を行う日程を柘植芳文委員長の職権で決めている。参院内閣委員会の理事懇談会では自民党が「6時間の質疑を行いたい」と提案すると、カジノには反対だった公明党も「会期が短くなっており審議すべき」と同調したそうなのだ。野党各党は「災害復旧の陣頭指揮をとるべき石井啓一国土交通相が、その身分をわきにおいてカジノ担当大臣として委員会に出席するのはありえないことだ」とのべてカジノを含む統合型リゾート施設実施法案などの審議中断を迫ったという。
安倍政権の豪雨被害対応への批判を野党が強めているのは、今回の豪雨によるインフラ復旧などを担当する石井啓一国土交通相が、カジノを含む統合型リゾート実施法案の担当閣僚として参院内閣委員会に約6時間出席するのを優先したことに批判を集中させ、大雨の予報が出ていた夜に安倍晋三首相ら自民党議員数十人が東京都赤坂の議員宿舎での「赤坂自民亭」と名付けられた飲み会に参加したことに対して、「なぜいま委員会を開かなければならないのか与党にも説明ができない」として批判を続けているという。立憲民主党の辻元清美国対委員長は「国交省が中心とならないと、道を開けるなどさまざまなことができない。人命第一と言いながらカジノ第一だ」と批判している。
立憲民主党をはじめ国民民主党・共産党の野党各党と衆院会派「無所属の会」の代表らは菅義偉官房長官と首相官邸で面会し、西日本豪雨を受け安倍晋三首相や関係閣僚が最優先で災害対応に取り組むよう求める申し入れを行っている。立憲民主党の枝野幸男代表は記者団に「政府が災害対応に全力で取り組めるように、与野党の政治休戦を含めて対応する」ととして、予定されていた安倍首相の欧州・中東歴訪を狙って提出する方向で検討していた内閣不信任決議案についても当面は見送る方針を決めたことを菅義偉官房長官に伝えたという。 この「政治休戦案」は共産党の小池晃書記局長が提起し、枝野立憲民主党代表が自由党の小沢一郎代表らと会談して調整したといわれている。
菅義偉官房長官は枝野立憲民主党代表らの「政治休戦案」の申し入れに対し「国会の問題は国会で対応をお願いする」と答えたそうだが、強行に行われた参院内閣委員会の審議では「一刻を争う状況が続く中、カジノ法案の審議をしていていいのか」や、「頭をカジノ法案の方に向ける状況ではない。今は災害対応に当たってほしい」と注文を付けると、石井啓一国土交通相は「国会審議のあり方は国会で決めていただく」と述べるにとどめたという。この日の審議は野党が政治休戦を主張する中柘植芳文委員長が職権で開催を決めて行われたものだが、野党側は豪雨災害の対応に当たるべき国土交通大臣が委員会の審議に出席すると「災害対応という大臣の職責を果たせないのではないか」などと反対しているという。
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