夏の食物の中で水分が多く栄養価が高いとされる胡瓜に疫病や厄難を封じこめて、夏の暑い時期を無病息災に過ごすために特に土用の丑の日ころに行われる「きゅうり封じ」は、空海が胡瓜に疫病を封じて病気平癒を祈願したことにちなみ、昔から厄病除けの祈祷 「きうり加持」ともよばれる行事が盛んに行われるようになったともいう。「きゅうり封じ」とは寺で胡瓜が並ぶ受け付けへ行って氏名年齢と軽い怪我から精神病まで網羅された病名表を見つつ自分の病気を記入し、寺の坊様が秘法によって胡瓜にパワーを帯びさせ、参拝者はその胡瓜で体の悪いとこを撫でさせるという。その撫でた胡瓜に悪いものが乗り移りそれを捨てることで病気も一緒に捨ててしまえるのが「きゅうり封じ」の祈祷だという。
「世界一栄養のない野菜」としてギネスにも認定されている胡瓜だが、昔から定番のダイエット食材として親しまれてきたという。最近では胡瓜に含まれていて脂肪分解に関わるホスホリパーゼという酵素がテレビで取り上げられて話題になっているが、胡瓜を食べるとみずみずしくその水分量の多さを感じることができるというのだ。きゅうり 1 本が 100g とするとそれに含まれる水分は 95.4g となっており、ほとんどが水分であることがわかるというのだ。きゅうり 1 本が 100g あたりとしてのカロリーは約 14kcal ほどと言われており、 100 g当たり 14kcal というのは全食品の中でもトップクラスのカロリーの低さだという。また「水ばかりなのに食べる意味はあるの」と思ってしまいそうなのだがこれは決して悪いことではないというのだ。
特に夏場はこまめな水分補給が大切で飲みものだけでは体の中の水分が不足しがちになってしまうのだが、暑い気温の中で味噌汁やお吸い物などの汁物を飲むというのもなかなか難しいので夏場は固形の食事からもしっかりと水分を摂ってあげることが理想的だという。ビタミン K は胡瓜に含まれている必須栄養素の中では一番割合が多く、胡瓜 1 本から成人の 1 日の摂取目安量の 23% の量を摂ることができるという。このビタミン K の働きは主に血液を凝固させ、骨を強くするといったもので、健康のためには必要な成分なのだが直接ダイエットに効果のある栄養素とはいえないという。またビタミン C もきゅうり 1 本から成人の 1 日の摂取推奨量の 14% を摂ることができるそうなのだ。
胡瓜はほとんどが水分でギネス級に栄養が少ないということなのだが、これはあくまで人が生きていくために必要な必須栄養素における話で、食品には必須栄養素の他に「機能性成分」と呼ばれるものがあって「生きていくためには必ずしも重要ではないが、摂ると健康に役立つ成分」として位置付けられているそうなのだ。胡瓜に含まれている機能性成分のピラジンは胡瓜の青臭さの元になる成分なのだが、ピラジンには血栓を予防して血液をサラサラにしてくれる効果があるという。またアミノ酸の一種であるシトルリンは一酸化窒素を作り血管を拡張させる効果があるし、ダイエット視点で見ると胡瓜に含まれているピラジンやシトルリンは血流を良くし代謝を上げる効果が期待できるというのだ。
難しい栄養成分や脂肪分解のメカニズムはさておき胡瓜は低カロリーでシャキッとした歯ごたえがあるので、しっかり噛むことができるという点だけでもダイエットに役立つという。もっともきゅうりのほとんどは水分なので摂取されてもお腹の中に溜まらず、汗や尿としてすぐに排出されてしまい腹持ちが悪いというデメリットがあり、その結果他の食べ物などを食べ過ぎてしまいカロリーをたくさん摂ることに繋がり太る原因になってしまうということも言われている。夕方や夜など「今、おやつなどを食べたら太るかも」というタイミングで胡瓜を利用するとよいのだが、ただし無理な食事制限は良くないので「夜ごはんは胡瓜だけ」とか、「 3 食とも胡瓜だけ」といった極端なダイエット方法はおすすめできないという。
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