交際費は人間関係の潤滑油だといわれるが、人間関係やコミュニケーションをスムーズにするためにも多少のお金は必要で、忘新年会にクリスマスやお正月とイベント盛り沢山の年末年始は誘われるたびに飲み会に参加したい気持ちはあっても家計と体は疲れてしまうのだ。ある程度は優先順位を決め家計と体の無理のないように参加することは大切なのだが、夫妻の場合も「夫婦仲良く」はお金があってもなくても楽しく暮らすコツだという。それでもおひとり様が楽しく暮らすにはということなのだが、ある男性は「僕はね、いま人生楽しくてしょうがないんだ」というのだ。彼は 65 歳の時に奥様と死別したが子供は独立して県外におり孫にも恵まれているそうなのだが、それでも最愛の奥様を亡くした 3 年間は死んだようになっていたという。
勤め先は私と同じような建設関係だったのだが大企業ではなかったので、給料は飛びぬけて良かったわけではないという。それでも小さなマンションタイプの自宅は持っているが体の弱い奥様のために購入したというのだ。「子どもにお金がかからなくなってから購入した」というのだが、奥様が亡くなって数年たってやっと一人暮らしに慣れたころ、自治体主催の教養講座で水彩画や写真の楽しみを覚えたそうで、私とは15年くらい前に市の管理する庭園のボランティア養成講座で一緒になってからの付き合いなのだ。東京の家を売り払って松山のマンション暮らしだが拾数年前に決断をする時には奥さんの手を借りて移住したというが、松山での暮らしは彼にとって「正解」で本当に活き活きと暮らしているのだ。
畑を借りて野菜を作りドライブをしてはスケッチをして楽しむ毎日で美しい山々を見ながらピクニックやハイキングをしているし、私の所属しているウォーキンググループにも参加しているが仲間とおしゃべりをしたりするのも楽しいという。からの住むマンションの周りには他の地域から移ってきた人も住んでいて、よそ者同士で畑仲間になったりスケッチ仲間になったりしたそうなのだ。もともと夏には毎年 1 カ月ほどは別荘を借りたりしていたという生活をしていたそうで、こちらに引っ越してみると全く感じが変わって見えたという。暮らし始めてからはどんどん友人が増えていったそうで「もうね、まわりは 70 を過ぎている人ばっかり。でも、みんな前向き。明日どうする、どこ行くっていう話が多いんだよ」と語っている。
そればかりか「よそ者だからさ、その周りでも、行きたいところがいっぱいあるんだよね」と言うことで旅行も楽しんでいるというのだ。中には会社の偉いさんだったと思える人もいるけれど、会社勤めをしていた時のことは一切言わないね。役員やっていたとか海外赴任だったとかは、聞かないし、話さない。もっぱら、野菜や絵の話が中心でさ、楽しいよ。気持ちのいい人たちに出会えてよかった」と語っているのだ。もちろんその中には「素敵なガールフレンド」もいるそうなのだがどちらも独身でも結婚するつもりはないという。「青春だよ。一緒にいて楽しいもん。生きていてよかったよ」と朝からもう最高な気分だというが、日中は友達と畑仕事したりおしゃべりしたり時々出かけたりしてもう退屈なんてしないというのだ。
夜は一人で自炊しているが昼間にさんざん友達とおしゃべりしているから、じっくり本を読んだりワインを飲んだりしていい時間が流れていくという。しかも「自炊しているでしょ。物価が安いし畑で野菜も取れるし、農家の人から余ったものをもらったりもするから、あんまりお金がかからないんだよ。少ない年金でも十分生活できちゃうんだよね」という。年金は月に 17 万円だがあまりが出る時も多いという。老後を楽しく暮らす方たちのリアルな生き方と覚悟ということでは、 住む場所や現役時代の肩書や年収に退職金や年金の多寡で暮らし方が決まるわけではなく、長い老後を「楽しく暮らす」秘訣は夫婦関係が良好なことにつきるが、おひとり様も同じで一緒に楽しめるパートナーや仲間がおり、良好な関係が築けていることが一番なのだという。
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