公的年金には大きく分けて国民年金と厚生年金があるが、「老後が心配だ」と多くの方が口にしている。しかも私のような年金受給者よりも 40 代や 50 代の現役世代のほうが不安感は大きいように思われている。資産の引き出し方には多くの方法があってそれぞれに一長一短があるといわれるが、「老後は年金だけで暮らせる」という本によると、厚生労働省の夫婦 2 人分の年金額は厚生年金モデル夫婦が月約 22 万 1000 円で、国民年金夫婦は月約 13 万円となっている。将来の年金額は厚生労働省が 5 年に 1 度「財政検証」を行い試算するが、財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約 25 年後の年金月額は厚生年金モデル夫婦が約 24 万 4000 円で、国民年金夫婦が約 12 万 5000 円となっているそうなのだ。
また国民年金には保険料に月額 400 円を上乗せして払う「付加年金」という制度があって、これを利用すると将来年金をもらうときに 200 円が付加年金を払った月数分がプラスして支給されるという。毎年国民年金に加算されるといっても毎月の年金額にするとわずかなのだが夫婦だと月 400 円の付加年金保険料からすると大きいというのだ。付加年金でもらえる年金額は保険料を払う月数に比例することからできるだけ早く手続きすることがお勧めだという。さらに付加年金の上乗せは一生続くことから 40 歳で付加年金を始めると、年金をもらい始めて 2 年たつと付加年金分として 2 年間で支払った保険料の元が取れるというのだ。つまり 3 年目以降はずっともらい得が続くことになるという。
年金は国民年金も厚生年金も、 65 歳からの支給が原則なのだが、希望すれば 60 ~ 70 歳の間の好きなタイミングでもらい始める制度となっている。 65 歳より早くもらい始めることを「繰上げ受給」といい、 65 歳より遅くもらい始めることを「繰下げ受給」というのだが、 65 歳より早くもらい始めると 0.5 %も早くもらった月数分が減額されるというのだ。たとえば 60 歳からもらい始めると 0.5 %の 12 カ月に 5 年で 30 %の減額となってしまうという。国民年金満額の年金額は月約 6 万 5000 円だというので 5 年繰り上げて 60 歳からもらい始めると 30 %減額され、月約 4 万 5000 円になってしまうというのだ。早くからもらえるのはメリットですが 76 歳以上長生きすると一生に受け取る年金総額で損になってしまう計算となる。
私のように厚生年金に 20 年以上加入している夫が年金をもらい始めるときに、年下の妻を扶養していたら妻が 65 歳になるまで「加給年金」がもらえる制度もあって、加給年金は 18 歳未満の子がいる場合などにも支給されるが、妻の場合は年 22 万 4300 円となっているという。妻の年齢による特別加算も付き厚生年金モデル夫婦の妻が夫より年下だった場合は、特別加算も合わせて年約 39 万円もらえるようになるという。これは月約 3 万 3000 円だから忘れずに年金事務所に届け出る必要があるというのだ。加給年金をもらえる方が年金を 65 歳より遅くもらい始める「繰下げ受給」を行って実際に年金をもらおうというときに、妻が 65 歳を過ぎていたら加給年金は一切もらえなくなるというのだ。
そういう方は厚生年金部分と国民年金に当たる基礎年金部分とを分けて基礎年金だけ繰り下げる手もあり、夫と妻との年齢差などで加給年金を何年もらえるか厚生年金を繰り下げたほうが得かが変わるというのだ。それと退職した際すぐに国民健康保険に切り替えると、保険料が思わぬ負担になることがあるという。国民健康保険の保険料は前年の収入をもとに計算されるのですでに退職して収入が減っているのに翌年の保険料が高くなってしまうというのだ。お勧めなのは企業の健康保険を任意継続することで、保険料は全額自腹になるが標準報酬月額 28 万円という上限が定められているので、月々の保険料はその約 10% で 3 万円弱となり、国保の保険料より安くなることがあるというのだ。
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