がんの予防をはじめ病気にならないということを謳った食材や料理の話はメディアによく登場するのだが、その一方であまり語られることはないが「がんになりやすい食事」も存在するという。世界各国でがん発症と食事の関係について研究が進んでいるそうなのだが、醤油やソースなどで着色料として使用される「 4― メチルイミダゾール」は、米保健福祉省がマウスに対して行なった実験で食道がんや肺がん・白血病の発症が認められているという。ただし人間への悪影響は報告されておらず日本では食品添加物としての使用が認められているという。またから揚げなど高温の油で揚げる調理法との関連を調査した研究もあって、元ハーバード大学研究員で米・ボストン在住の内科医である大西睦子医師は次のように解説している。
「揚げ時間の長さや温度の上昇とともに生成される、 終末糖化産物は、前立腺がん発症の原因となる慢性炎症を増やします。例えば 20 分間揚げた鶏の胸肉は 1 時間ゆでた胸肉に比べて終末糖化産物が 9 倍以上も含まれます」という。人間の身体は 10 万種類にもおよぶたんぱく質でできているといわれているが、これらのたんぱく質は加齢によって品質が劣化し働きも悪くなって老化につながっていくが、とくにたんぱく質に糖が結びついて加熱されると「糖化現象」が起こるというのだ。これが進行して最終段階で生成されるのが 終末糖化産物 という物質だというのだ。健康寿命を長くするにはたんぱく質の老化を防ぎ終末糖化産物を「溜めない、作らない」ようにして老化を緩やかにする必要があるというのだ。
終末糖化産物 は強い毒性を持っていて老化を進める原因物質と考えられているが、終末糖化産物は 「 たんぱく質と糖が加熱されてできた物質」 と定義されている。たとえば終末糖化産物が血管に蓄積すると血管の弾力が、血管の壁が厚く硬くなって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるし、目に蓄積すると白内障となり骨に蓄積すると骨粗鬆症といった加齢にともなって発症しやすい病気の一因になるとされているというのだ。このように身体のいたるところで深刻な病気を引き起こすリスクが指摘されているわけなのだが、米フレッドハッチンソンがん研究センターがシアトル在住の人について調べたところ、週に 1 度以上フライドチキンを食べた男性は、月に 1 回未満の男性より前立腺がんのリスクが 30 %上昇したという。
この「たんぱく質と糖が加熱されてできた物質」は多くの食べ物や飲み物にも含まれており、たとえばホットケーキは卵と牛乳に小麦粉と砂糖などを混ぜて加熱調理するが、表面のこんがりと焼けた部分は糖化の現れでここに終末糖化産物が生成されているという。ちなみにこの「こんがり」を専門的に表わすと 「メイラード反応」というそうだが、 加熱した状態で糖分とアミノ酸が反応して茶色くなり、さまざまな香り成分を生む反応のことを指しているそうなのだ。最もわかりやすい例がステーキで強火で焼きつけると表面がカリカリになって茶色くなるが、これはメイラード反応が関与しているからだという。飲食物の場合終末糖化産物の多くは消化の段階で分解されるもののおよそ 7 %は排出されずに体内に蓄積されるといわれている。
揚げる・焼く・炒めるなどの調理をした動物性たんぱく質食品には多くの終末糖化産物がるというが、唐揚げ・焼き鳥・とんかつ・ステーキなどだという。フライドポテトやポテトチップスだけでなくタバコにも終末糖化産物が非常に多く含まれているされ、加熱温度が高いほど発生する量が増えるという。つまり 200 ℃ 以上のオーブンで焼くような調理法はとくに大量に発生するが、煮る・蒸す・茹でるといった調理法では同じように加熱するものの水分を用いるため終末糖化産物発生量は少なくなるという。加熱をしない生野菜や刺身などは終末糖化産物の少ない食品で、終末糖化産物と飲み物の関係性を見てみるとジュースや炭酸飲料などの甘味づけに使用される「人工甘味料」は、ブドウ糖の 10 倍の速さで終末糖化産物をつくるという。
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