「働き方改革」がいよいよ待ったなしになってきているが、この 4 月から大企業では「 36 協定」でも超えてはならない罰則付きの時間外労働規制が施行となるというのだ。「企業経営者の皆様、改革の時は来ました。準備はよろしいでしょうか」と先月に国会の施政方針演説でそう呼びかけた安倍総理なのだが、時間外労働の罰則付き上限規制や年収 1075 万円以上の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」など、賛否を呼んだ「働き方改革」によって私たちの生活が 4 月からどう変わるのかといったところなのだ。その中でも本来なら有給休暇は会社側と時期を決めておくものではなく、「急にライブに行きたいな」とかなったときに好きに取るものではないのかと疑問に感じるのが有給休暇のことなのだ。
残業についても月 45 時間・年 360 時間という原則に変わりはないものの、繁忙期などの場合は単月 100 時間・複数月平均 80 時間・年 720 時間に変更されている。中小企業には猶予期間があるものの違反した場合は 6 か月以下の懲役または 30 万円以下の罰則となるし、月 60 時間を超える残業の賃金割り増しについては、中小企業の残業割増賃金率が 25% から大企業と同じく 50% に引き上げられるという。違反した場合にはこれも 6 か月以下の懲役または 30 万円以下の罰則が課せられることになるのだ。年次有給休暇の取得も義務付けられ現状は労働者から取得を申し出る形になっているが、上司が労働者の希望を聴きそれを踏まえて時季を指定する形が加わり、こちらは違反の場合 30 万円以下の罰金となっている。
専門家によると「残業時間の上限規制については今までもあった「 36 協定」をよりワークさせるための規定が設けられた。ただし単月 100 時間というのは過労死ラインを超えているという問題も残されている。「残業規制されたら残業代で飯食ってる僕みたいな人はどうなっちゃうのよ。それに残業なんて無かった事にされたら意味無いじゃん」とか、「こんなんされたら私生きていけない。残業代があるからなんとか生活できてるのに残業規制すると国に何のメリットあるの、国民の収入が減って景気がさらに落ち込むだけじゃないの」といった不安の声もあるという。そこで残業をしようがしまいが残業手当を 45 時間分出しておいて、そのうえ残業時間が 45 時間を超えた分はちゃんと払うという会社もあるというのだ。
有給取得の義務付けについて補足すると年 10 日以上の有給が付与されている者というのが前提で、 5 日は労働者が自由に取る、残りの 5 日は使用者が休ませるものとなるという。専門家によると「結果としてサービス残業が増加してしまっていったり、有給を取る前日の労働時間が長くなる傾向が強くなったりする可能性がある」と指摘する。今回の改革によって、休暇が固定化されてしまうのは若干危険だ」としている。その対策は簡単にいうとその分賃金を上げろという話と残業しなくてもよい人員の確保だという。収入が減るという問題に関して、一部の企業では残業削減手当といって、個人レベルや組織レベルで残業を対前年比で何 % か減らしたら、その分の残業手当を出すという制度が始まっているがうまくいってないというのだ。
働き方改革が叫ばれて以降は今も負の連鎖みたいなものが起こっており、いわば「働き方を変えましょう」という話が「働かせ方を変えましょう」という話になり、時短問題に矮小化されていると言われているそうなのだ。人を増やしトレーニングも必要だといったトータルなデザインができている会社はいいが、そうではないところは叩かれるのが嫌だから、気合と根性で残業時間を減らせとか、残業代がつかない管理職に丸投げするようになるという。日本商工会議所が中小企業を対象に実施したアンケートによると、上限規制について知らないと答えた経営者が約 40% で有給取得についても知らないと答えた経営者が 25% に登っているという。中小企業での導入は来年からとは言えあまりにも認知度が低いと言われている。
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